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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第五章 黄金勇者と謎のアサシン
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第353話 天大樹(あまたいじゅ)の世話とまさかの名前

「ジュマジさん、その中身は」

「おう、魔石を砕いた肥料じゃな」


 翌朝、僕とアンジュちゃんがラルス村の屋敷へ戻ると、

 ティムモンス小屋から大きなアイテム袋を運んでいたジュマジさんが

 窓から目についたので聞いた所だ、肥料っていうと畑を思い浮かべるが、これはおそらく……


「ひょっとして例のウネウネに」

「そうじゃな、アマリも手伝ってくれておる」


 遅れて小屋から出て来た、

 一回り小さいアイテム袋を大事そうに抱えて……


「アンジュちゃん、転移してあげて」

「あいあい」


 一瞬で移動すると天大樹(あまたいじゅ)がそびえ立っていた。


「もうこれ立派な塔ですね」

「そうじゃな、大樹というより生きた建物じゃな」

「はーいごはんだよー」


 最近は女の子っぽい声を出しているアマリちゃん、

 いや最初から女の子だけれども!

 あいかわらずこっちの街中いや村の中では男装してるのだろうか、うん、怖いからね。


(アマリちゃんの声にウネウネ触手がいっぱい集まってきた!)


 そしてまるで指を集めて手で掬うみたいな格好になってる。


「この魔石って」

「ニィナさんやクラリスさんにのう」

「肥料になるっていう知識は」「この触手が、ボディランゲージでの」


 なんだそれ、

 そういえば触手と握手してた時があったけど、

 あの時に会話みたいなものが成立したんだろうか。


(あれ、魔石肥料がもうない)


 どうやって食べたんだ?

 いや自分に振りかけたんだろうか。


「はーいおかわりー」


 二回目だよく見よう、

 また触手が、ツタが指みたいになって掬って……

 あっ、触手の先が吸い込んでる!


(植物は呼吸するっていうけど、餌も食うのか)


「おしまーい」


 おっ、ツタの触手がアマリちゃんの頭を撫でてる、

 頬にすりすりしているのまで、すっかりなついているな。

 このままアマリちゃんがコイツの飼い主になるのも良いかも?


(あれ、アンジュちゃんが突っつかれてら)


「うんわかったー、いっくよー」


 そう言って杖をかざすと、あ、雨か、

 ざっと降らせてあげる、慌てて僕らの頭上に大きな葉っぱが!

 なるほど、これだけ大きな樹でも水やりは必要なのか。


「アンジュちゃんもこの樹と会話できるの?」

「ぼでーらんにんぐ? だよー」

「ボディーランゲージね、うんうん」


 ツタの仕草が人間くさい時あるもんな、

 いやどっちかっていうとティムモンスター……


「ひょっとしたらこの天大樹(あまたいじゅ)って、魔物?!」

「そんな話を天使がしでおったぞ、大概は大きな土魔石が中心にできると」

「と、いう事は」「魔物とまでは行かないようだが、妖精に近いのかのう」


 ジュマジさんの話からすると、

 やはりきちんとした生物というか、

 エント系魔物の親玉みたいなのになるのかも?


(あっ、エントサキュバスとなら会話できるかも)


「アンジュちゃん、ヘレンさん連れてこられる?」

「ぶわっちぶわいぶわい」


 何語?!

 とか思っていると姿が消えた。


「そういえば実は今、どうなっているんだろう」


 その言葉に応えるようにツタがやってきて、

 指を振るような仕草を見せた、まだだよってことか。


「あと、どのくらいかなあ」


 今度はツタが二本きて、

 指でするあとちょっと、みたいな感じの仕草だ、

 なるほど、これがボディランゲージか。


「おせんたくしてたー、すんごい下着をー」

「旦那様、何でございましょうか」

「あーうん、あ、アンジュちゃん、雨もういいって」


 上をツタがさして左右に振ってたからね。


「あいあいあい」

「ヘレンさん、エントサキュバスを」

「かしこまりました」


 召喚されるとあいかわらずニィナさんよりでかい、

 それでいて抱き心地が結構……ウッホン、そんな場合じゃない。


「エンちゃん、この樹と会話できる?」

「ヤッテミマス」


 近づいて若い幹に手をあてると……

 おお、そのまま吸い込まれていった?!

 かと思ったら顔だけ出て来た、ちょっと怖い。


「人間さん、ありがとう」

「あれ、エンちゃん喋り方、それ」

「私はそちらの方に名前を頂きました、私の(あるじ)順四番です」


 ツタでアンジュちゃんを指してる。


「ええっと、お名前は」

「私の名前は『アマタツ』です、よろしくお願いします」

「あまたつーーー!!」「はい、何でしょうか」


 名前になっちゃってるううううう!!!

 アンジュちゃんがきっと連呼したからなんだろうな。


「おーはーなーしー、できるのー?」

「はい、こうしている間だけ」

「ちょ、エンちゃん食べないでね」「お借りしているだけです」


 あまり長くしてるとまずそうだ。


「ええっと、(あるじ)順って?」

「順番が高い方の言う事を聞き、護り、従い、愛します」

「アマリちゃんは? この少女ね」「八番です」


 結構低いんだな。


「このお爺さんは」「七番です」

「このむっちり悪女風は」「まあ」「五番です」

「ええっとそれじゃあ僕は」「一番です、愛しています」


(僕なんかしたっけええええええ?!?!?!)


「デレスくんデレスくん」

「はいアンジュちゃん」

「お前がナンバーワンだ!!」


 どこで憶えたの、それ。


「旦那様、エントサキュバスが辛そうです」

「えっもう? じゃ、いいか」

「わかりました、解放いたします」


 エントサキュバスが吐き出された。


「ふう、エンちゃん大丈夫?」

「セナカガ、セキズイガ、イタイデス」

「繋がってたのかな、アンジュちゃんヒールを」「あいさー」


 ちょっとエントサキュバスが大変そうだけど、

 アマタツと会話ができたのは、なかなかの収穫だな、大樹だけに!!


(今のは口には出さないでおこう)

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