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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第二章 勇者ポーターと暗殺聖女
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第35話 消えた生命と教祖の試練

「ふふふ、デレス様♪」

「そ、そんなにくっつかなくても」


 無事、暗殺能力を上書きで捨てたクラリスさんは、

 僕と一緒に女神教の本部へと向かう、ニィナさんは所用で別行動だ。


「愛していますわ、デレス様」

「そ、そんな急にスキスキスキされても」

「だってこれは女神様から授かった運命ですから」


 身長差がなければ腕でも組みたいんだろうなぁ、

 でもおかげで?彼女のふくらみがばふばふ僕の頭部に当たる、

 そんな状況に困惑しつつも商業ギルドの前を通りがかる。


「あ、そうだ、持ってる大金貨を白金貨に交換してきてもいいかな」

「そうですね、もし教祖様が、私が嫁ぐにあたって

 お布施を要求された場合に必要になりますね、ではロビーでお待ちしております」


 さすがに商業ギルドは勇者専用受付なんてものはないので、

 普通の商人や僧侶服の人たちの列に並ぶ、

 クラリスさんは綺麗な布に包んだ箱を持って機嫌良さそうに座っている。


(あれで大丈夫かなあ)


 教祖様から出されたクラリスさんを貰う条件はみっつ、

 まずひとつ、暗殺能力を消す事、これは昨夜達成した、

 ふたつめ、女神教に多大な貢献をする事、これも魔王退治でほぼ達成だろう、

 念のためクラリスさんが献上品を用意した、今持っているあれなら文句は無いはず。

 以上のふたつをクリアしてはじめて最後の条件が提示されるそうだ。


(どんな試練だろう、ニィナさんは無理難題だったら、ひと暴れして強奪なんて言ってたけれど)


 ひとつのそこそこ大きな宗教団体相手にそこまでしたくない、

 できれば穏便に、納得してクラリスさんをお嫁に貰いたい所だ、

 でも結婚するって事にするのは彼女がこの国を出るための建前で……

 

(とはいえ、クラリスさん、すごく良かった……)


 ニィナさんとは違うタイプの素晴らしい身体だった、

 一方的に蹂躙してくるニィナさんとは違って、

 クラリスさんはクラリスさんで甘えさせ上手というか……


「んっ?!」


 突然、クラリスさんの所に殺気の気配を感じた!

 と当時に上がる悲鳴!見るとそこには僧侶服の女性が、

 クラリスさんの胸に鋭い杖を刺している、しまった、油断した!!


「ううっ、あ、あなたは、愛と自由教のっ!」

「そうよ、調べがついたのよ、私が妹みたいに可愛がっていた、ジョリーを殺したって!」

「ああ、あの、あの子……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」


 杖が抜き取らると大量の血が噴き出す!

 僕が慌てて回復魔法をかけようと近寄ると、

 綺麗な布に包んだ箱が光り、中から熱くない炎が上がる!


「ああっ、女神様、ありがとうございます……」


 そうつぶやいたクラリスさんの身体から血の流出が止まり、

 傷口を見ると綺麗に塞がっていた、そう、教祖様に献上予定の、

 身代わり人形が発動したからだ、これで箱の中は燃えカスか空だろう。


「そんな、そんな、そんなあ!」


 警備や近くにいた冒険者に捕らえらてた女、

 他教徒の聖女かなにかだろう、完全に油断していた、

 クラリスさんが持ってるような気配を消す魔法を使ったみたいだ。


「大丈夫ですか?!」

「ええ、もう平気です、流れた分の血も体内で回復したようです」

「なんで!なんで生きてるのよっ!うあああああああああ!!!」


 泣きわめく聖女が連れ去られる、

 さすがに商業ギルド内での殺傷沙汰という事もあり、

 僕らはしばらく事情聴取を受ける事になったのだった。



「デレス、クラリス、災難だったな」

「すみません、僕の完全な油断、ミスです」

「私もです、ニィナさんが居ない時に、ごめんなさい」


 もう夕方、ようやくルアンコの警備隊本部から出た所を、

 待ってくれていたニィナさんに謝罪する、

 見るとその表情は本当に心配してくれている感じだ。


「能力を上書きできて、安心しきってしまっていたな」

「彼女が、クラリスさんが命を狙われていた事を、すっかり忘れていました」

「私も商業ギルドの中なら安全だと、まさか聖女が捨て身で来るとは」

「しかし失った物は痛いが結果、無事で良かった、それでこれからどうする?」

「はい、何にせよこのまま最初の予定通り、女神教へ参りましょう」


 さすがにもう大丈夫とは思うが僕らは警戒しながら女神教の本部へ、

 ニィナさんも念のために一緒についてきてくれる、敵は身内にもいるらしいし。

 中は豪華、色んな女神様の壁画やら像やら、でも照明は天使様だ、そこはどうでもいいか。

 お布施の力すんげぇーって思いながら、いかにもな祭壇に通されるとピンクの司祭服のお婆ちゃんがいた、

 一度面識はあるがあらためて思い出す、女神教で一番偉い人間、教祖様ことレナン様だ。


「クラリスでございます」

「話は聞いておる、大変なようじゃったのう」

「レナン様、遅れて大変申し訳ありません」

「我々にも責任はある、それより身体はもう」

「はい大丈夫です、こちらをお納めください」


 あらためて綺麗な布で包装し直した献上品の箱、 中はちゃんと入れ直した。

 側にいた年配聖女ぽい人が中身を確認する、

 入っていたのはレアアイテム『サキュバスの下着』だ、うん、苦し紛れ。


「なかなか良い物じゃ、愛用させていただこうかのう」


いいんだ!

いや、一緒に白金貨を入れておいたけれども!


「さてクラリスや」

「はい」

「我が女神教への多大な貢献を認めよう」

「ありがとうございます」

「個人スキルの確認を」


いかにも幻術師なおじいさんが出てきた、本物かっこいい!

杖をかざしながら、クラリスさんをまじまじ見ている、無詠唱か。


「新しい個人スキルになっておるな、危険はない、内容は伏せよう」


渋い声!そしてよかった、空気読んでもらえた。


「ではクラリスや」

「はい」

「そなたに最後の試練を与える」


さあ、いよいよきたぞ!

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