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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第五章 黄金勇者と謎のアサシン
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第346話 弟子入りは忍耐とかいう話らしい、ってめんどくさっ

「それで加工して欲しいというアイテムはどれだぞい?」

「いやいやいやルゾイさん!」「人間は黙るぞい!」「?!」


 抗議しようとした僕を止めるニィナさん、

 アッギーさんは……なんだか隅で膝で座って頭を下げている。


「ニィナさん、あれって」「ああ、弟子入りの最初の作法だ」「……あっ!」「気付いたか」

「あーはいはいはい……めんどくさっ」「黙れ小僧! ……だぞい」

「わかりました、でも彼は奴隷とはいえ、立派な我がパーティーの一員ですから」


 ちょっとピクッとしたルゾイさん、

 こういう時は権力使って良いよね?

 リザードマン相手にどれくらいあるかわからないけれども。


(帰れと言われて土下座で待って、許して貰えるまで待つやつ……弟子入りの儀式、か)


「デレス、まずはストーンサキュバスを」

「あっはい」


 アイテムボックスから出す、

 子供に見せちゃいけない石像だな、

 ここの女性リザードさん、魔法付与担当のラッサーさんも見てきゃあきゃあ言ってる。


「これをどうしてほしいぞい?」

「どうにかなるか?」

「……背中の穴を塞ぐくらいだぞい」「使い道は」「飾り物だぞい」


 せっかくなんでやってもらう、

 若手リザードマンらしき連中が持って行った。


「次はこの三本の杖だが」

「これは……解呪の杖だぞい、石化解除専用や特化だぞい」

「これを一本にまとめられるか」「長くなるぞい」「そこをなんとか」


 ルゾイさんがラッサーさんを呼んで話し合っている。


「……魔法自体はできるぞい?」

「組み合わせ方次第さー」

「あとは形状ぞい」「縦に繋げるのが一番楽さー、それができないのであればさー……」


 仲良さそうなんだけどルゾイさんの娘さんなんだっけ、

 リザードマンは年齢がよくわからないな、ああっ僕の視線に顔を紅くしないで!!


「よし、この三本、バラさせてもらうぞい」

「効果はどうなる」

「組み合わせて上手く行けば魔力を増幅して石化だけでなく麻痺も解除できるようになるぞい」


 おおーこれは期待したい。


「リスクは」

「成功確率は89%だぞい、失敗しても元に戻らないぞい、その時はお代はいらないぞい」

「なんだ、ドワーフの姫なら間違いなく100%に」「たったいま99%になったぞい!」


 えええええ何だそれは。


「ならドワーフの姫に」「100%ぞい! 100%、いや1000%完成させるぞい!!」


 謎の対抗心によって成功確実になったらしい、

 どういうことなんだ、気分次第で成功確率が変わるものなのか。


「すまないなルゾイ殿、申し訳ない」

「これはリザード鍛冶屋の、鍛冶師としての意地と誇りの問題だぞい」


 クラリスさんが僕に耳打ちする。


「おそらく、材料を貴重な物にするとか、量を多くし採算を無視するとか」

「なるほど、ってお金の問題ならいくらでも出すのに、って魔石か」


 そう、ここの通貨は魔石だ。


「あと人も多くかけるのでしょう」

「なんだか申し訳ないね」

「それだけドワーフの鍛冶屋に負けたくないのでしょうね」


 と話しているうちに次のアイテムへ。


「続いてだが、貴重な天使族の羽根を手に入れた」

「な、なんと、ほ、ほほほほ本当かぞい?!」

「ああ、しかも十人分、取れるだけ取ってきた、ドワーフの姫にも見せていないものだ」


 いつのまに……別れ際ごちゃごちゃやってた時かな?

 僕はその時はなんだっけ、ヘレンさんのヤンデレ具合を聞いてた間かな、

 あとナスタシアさんの爪を見せてもらってた時か。


(ニィナさんの魂が抜けてないって事は、例の魅了羽根みたいなのは貰ってないのか)


「十人分にしては少ないが十分な量だぞい」

「それで何ができる」

「欲を言えばその天使族の皮が欲しいぞい、生きたまま剥ぐのが一番だぞい」


 いたいいたいいたい、やめてあげてー!!


「ドラゴンの皮では」

「それで良いぞい、亜竜でも良いぞい」


 いいんだ、不味くて肉が食えないダークネスワイバーンとかでもいっか。


「ふむ、光属性のがあったな」「それで良いぞい」


 えっ、そんなの狩ったっけ?

 と思ったがシフリンで狩ったな、

 半分がそうなやつ、そこまで多くないけど。


「ではこれで」

「マントにするぞい」

「ナスタシア、それで良いか」


 あっ、ナスタシアさん用なんだ、

 少し考え込んでいる、そして挙手した、

 聞かれて答えるんだから普通に喋っていいのに。


「この、私の勇者アサシン専用『フルコンボコングマント』に仕込むというのは」

「だそうだルゾイ」「それには羽根があと三倍居るぞい、そのうえで成功確率は45%だぞい」

「ドワーフの姫なら」「68%になったぞい!」「よし、ドワーフの姫に」「100%にするぞーーーい!!」


 あ、ルゾイさん血管ぶち切れそう、

 これ相当無理させちゃうな、可哀想に。


「良いのかルゾイ殿」「そのかわり羽根は八倍、もっと質の良いのが欲しいぞい」

「では生きたまま羽根をむしるか」「生きたまま連れてこられるぞい?!」


 あっ、これ下手すると生きたままマントにされるやつだ。


「ニィナさん、さすがに天使殺しは」

「とはいっても亜人でしかもあの性格だ」

「いや確かに毒はありましたけど」


 さすがに命までは取りたくない。


「ルゾイさん、殺さないでできますか?」

「十人連れて来て並べたら、ぎりぎりなんとかでき、いや、するぞい」

「ニィナさん」「あれだけ食わせてやったんだ、断れんだろう」


 結果的にアンジュちゃんが奢ったのがナイスプレイだな。


「それで完成品は今のマントより」

「さらに素早くなるうえ、おそらく、空を飛べるぞい」

「本当か?!」「ただし勇者アサシン専用装備だぞい」「構わん」


 事実上のナスタシアさん専用防具だからね、

 むしろその方が良い、盗まれる心配がまったく無い訳じゃないけれど。


(あとは天使族との交渉かぁ)


「ナスタシア、100%だそうだ、良いな?」

「はい、お任せします」

「他にあるぞい?」「そうだな、後は……」


 こうしてお話が終わりアイテムを渡す、

 ナスタシアさんのマントは天使族と一緒に来た時にだけど。


「ではドワーフの姫が加工してくる物より、良い物を頼む」

「それは見せて貰えるぞい?」「ああ、全て見せよう」「わかったぞい!」

「代金は今回も任せる、受け取りの時にガス魔石で払おう」「嬉しいぞい」


 こうしてリザード鍛冶屋を離れるのだが、

 アッギーさんは邪魔にならない隅で土下座したままだ、

 ニィナさんが近くへ行ってしゃがんで声をかける。


「ではな、宿が必要ならクラリス城を使え、信じているぞ」


 肩をポンと叩いて離れた、

 クラリスさんも祈ってあげて横を通る、

 僕はええっとええっとお……高級 最中(サイチュー)置いておこう。


(無事、弟子入りが許されるといいな)


 鍛冶師の外へ出るとドワーフ村内部を見て回りながら会話を。


「ニィナさん、ああいうの、どのくらいで入門できるんですか」

「さあな、だが私のお爺様の所へ弟子入りに来た勇者は、

 風雨の中、門の前で三日三晩ああやって土下座をしていたぞ」

「そんなに!」「もちろんトイレや飲水は夜中のわからない隙に行っていたようだが」


 それでも十分凄いよ。


「リザード村が室内で良かったですね」

「いや、むしろそのせいで日数がかかるかも知れん」

「そんな」「我々の威光が効いているよ良いがな」


 ニィナスターライツお抱え鍛冶屋になるんだ、

 そのあたり、本人にも、いや本ハーフリザードにも頑張ってもらわないと。


(アッギーさん……がんばれ!)

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