表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第五章 黄金勇者と謎のアサシン
319/878

第312話 審議の結果と帝国幻術師がどうしてもアンジュちゃんにお願いしたいコト

「おおっと皆様お待ち下さい、審議です、副審のアピールを受け、

 主審のボルゲノ様が審議のポーズを取っておられます!」


 司会であるチアー女史の思わぬ声にどよめくコロシアム、

 戸惑いの空気が流れる中、スフマの治療を終えた副審も加わり、

 ステージ上で主審副審の十三名が何やら話し合っている。


(なんだなんだ、ちゃんとアンジュちゃんが勝ったはずでは)


「クラリスさん、これは」

「……アンジュちゃんの負けは薄いにしても、再試合はあるかと」

「なんでまた」「上へ逃げ過ぎましたね」


 ああ、僕もそれは疑問に思ったんだった、

 ステージから外へ出たら反則、その外の範囲が上にも適用されるかだ。


(すっかり審判から見えなくなったもんな、でもそれは黒い竜巻のせい……)


 アンジュちゃんはお構いなしに三階席のお客さんにサインを書いている、

 ってアレ、サインだよな多分? 色紙と書く物が用意されているし!

 あんな位置で用意がいいな、いや終わってからの出待ち目的かなあ?


(ていうか、あるのかアンジュちゃんにサインなんて)


「あの、デレス御主人様」

「ナスタシアさん、爪あんまり噛まないでね」

「それより、副審の何人かの、身振り手振りが怪しいです」


 なんだろう、見るとうーーーん、

 出たって感じのジェスチャーに見えなくもないな、

 でもこれ浮遊や瞬間移動禁止の再試合とかになったら……


(スフマ爺さん、魔力が切れたのだろうけど、夜に再試合とかだったら回復しちゃうなぁ)


 帝国の事だ、魔力回復ポーションとかしっかり用意されてたら即、再試合もありうる。


「ヘレンさん」

「愛しています」

「いやそうじゃなくて」


 まったく淫乱バーサーカーの首輪を外すと、こうなってしまうのか。


「ヘレンさんは、どう見えました?」

「ずっとデレス様を見ておりました!」

「……ん、シル姉ちゃんはー?」「どうでしょうね、ふふふ」


 駄目だ、ここは本職に聞こう。


「天使族の皆さん、お弁当食べながら見た今の戦いは」

「出てましたよ」「出てましたね」「はい、ステージの区画からは、はみ出ていました」


 駄目かあああああ!!!

 本職がそう言うんだから結果、負けもあるのか、

 一体、スフマが優勝した時にアンジュちゃんにするお願いとは、どんな物なのか……?!


(あっ、ようやく審議の輪が解けた!)


 チアーさんではなく主審が説明するようだ。


「あー、あー、魔法で声を大きくして済まない、責任審判のボルゲノだ」


 コロシアムが静かになり、皆がジャッジの行方に注目する!


「副審のふたりから、ダークネストルネード、スフマ選手の竜巻魔法だな、

 あれがステージの枠からずれて上空へと伸びたと説明があった、

 つまり竜巻から逃げたのであれば必然的に、アンジュ選手もずれたと推測が出来る」


 つまり、判定負けって事?!


「だが、アンジュ選手自身が枠からはみ出したという確認にまでには至らなかった、

 そして上空に関しては特別ルールでも範囲の制限は設けていない、以上の結論を踏まえて……」


 あーこれは勝敗未確認で再試合か、それとも?!


「勝者、アンジュとする!!!」


 大喜びのコロシアム場内!

 僕らもおお喜びさ、うん、良かったぁ。


(次回から幻術師の闘いは、副審に天使族でも入れた方が良いな)


 意識を取り戻したスフマもガックリ肩を落としている、

 くるくる舞っていたアンジュちゃんも主審の所へ行って腕を上げられている、

 チアーさんも司会を忘れて拍手してるいが、仕事を思い出したようだ。


「幻術師部門、あらためて優勝はアンジュ様で確定致しましたー!!」


 みんなに、全方向に両手を振ったあと、

 ステージ上から消えた! 転移魔法で退場かぁ、

 かっこいいなぁ、と思ったら僕の真上にアンジュちゃんが!


「ナデナデしてー」

「あっうん、お、おめでとう」

「えへへへへーーー」


 ご褒美にフードの中へ手を入れ頭を撫でてあげていると、

 今度は少し離れた階段通路にスフマが瞬間移動してきた!


「うわっ、まだそんな魔力が」

「……ワシは頑張った、頑張ったんじゃ、じゃから、じゃからぁ……」


 階段から少し入った座席、

 僕らのエリアの空席前で膝を折って手を付き、

 頭を下げるスフマ爺さん!


「な、なんですか、なんなんですか」

「この通りじゃ、一目見た時からお願いしたいと思ったんじゃあ」

「ひょっとして、優勝した時にするつもりだったお願いですか?!」


 土下座までして一体何を……?!


「頼む、じじいの、冥土への土産と思って!」

「……何が欲しいんですか!!」


 しばらくの沈黙、

 僕らみんなが注目する中、

 転移までして来たスフマの願いとは……!!!


「アンジュに、アンジュに素足で踏まれたいんぢゃあああああぁあああああ!!!!!」


(ど、どっ、どどどどど変態だあああああ!!!!)


「頼む、素足で、素足で踏んでくれえええええ!!!」


 うん、これは付き合わなくて良い。


「誰か、お引き取り願って」

「はいデレス様ぁ」


 ヘレンさんがシルちゃん以外のサキュバス七体を出して、

 スフマ爺さんをがっちり捕まえてどこかへ飛んで行ってしまった……


「素足で! 素足でえっ! アンジュ! アンジュちゃん! ほわっ! ほわああああああっっ!!」


 ……最後のは断末魔か何かだろうか?


(アンジュちゃんもポカーンとしているな)


 さあ、ニィナスターライツの出場者はこれでもう残りひとり、

 誰が相手でも勝ちは確定だろうけれども、

 そういう試合こそ全力で応援してあげなくっちゃ!!


「デレス様」

「はいヘレンさん」

「あの、よろしかったら今夜、素足で踏みましょうか」


(いや中身出ちゃうからっ!!!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ