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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第五章 黄金勇者と謎のアサシン
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第308話 サモナー最終決戦とまさかの展開

「勝者、スイセ!!」


 クリスタルに輝く精霊系の魔物で一角の魔獣を倒したテイマー、

 いかにも猛者といった中年女性だ、大喜びで鞭を舞わせている。


「さあテイマー部門の優勝が決まりました、

 彼女はお好きなティムモンスターを半額で買う事ができます!」


 へえ、この街だとお高いのも多かったはず、

 いったいどんな魔物を買うんだろう?


「ではお聞きしましょう、スイセ様、お目当ての魔物は?」

「噂では神獣であるケルピーがこの街で飼われていると聞いたので、

 是非とも交渉したいと思います」


 いやいやいや、飛び火しないでーー!!


(あれを売るなんて、とんでもない!!)


「クラリスさん!」

「非売品は半額になっても非売品かと」

「だよね、安心して良いよね、無理矢理持っていかれないよね?」


 不安ならクラリス城へと持って行くか、

 もしくは途中のあの屋敷に、裏庭にでっかい、うにょうにょの樹が生えはじめた……


「さあ皆様、特に男性陣の皆さま、お昼前からお楽しみの時間でありまあっす!!」


 おっ、いよいよか。


「サモナー部門エクストラマッチ、まずは挑戦者、ゴブリンサモナーのラティット様、御入場でえぇーーっす!!」


 勇ましいゴブリン四匹と一緒に入場してきた、

 随分と長い間、一緒に過ごして鍛えてきたのだろうに……


(倒したら記憶も経験も、全部無くなっちゃうんだよなぁ)


 このあたりはサモナーの宿命とでも言うべきか、

 ゴブリンでもコボルトでも、もっと単純なスライムでも、

 長く長く育て続ければほぼ無制限に強くなり続ける、が……


「愛着も湧いているでしょうし、胸が痛みますね」

「しかしこちらも負ける訳には」「ですよねー」


 こっちだってあの、そうそうたるサキュバス達が魔石に戻るのは見たくない、

 育成のためにさんざん魔石も食べさせ続けているし、

 蓄積させた経験はまだ二か月にも満たないとはいえ、消えたら精神的ショックが大きい。


(ここは心を鬼にして……!!)


「それでは皆様の、男性陣のお楽しみ、サキュバスサモナーのヘレン様、ご入場でえっすえっすえっすえっすえっす!!!」


 セルフエコーきたああああああ!!!

 そしてヘレンさんに続いて飛んで入場、

 新顔の黒光りサキュバスに興味津々なお客様も居る。


(うん、見るからに強い、八体ともただのサキュバスじゃないのは、あきらかだ)


「なおヘレン様は『隷属の首輪』をしておりますが、あの!

 七大魔王のひとつを倒した『ニィナスターライツ』様の保有奴隷ですので、

 そのあたり、当然のごとくアンタッチャブルでお願い致します!」


 なんだその表現は!

 でもちゃんと告知してくれて良かった、

 サキュバス好きスケベエ貴族が白金貨積んで来ても困る。


「さあ勝っても負けても恨みっこなし、サモナー最終決戦、スタートでっす!!」


 ゴブリン四匹もさすがにこの相手は、という表情だ、

 不気味に見下ろすサキュバス八体、

 うん、一体も掛ける事なく終わってこれよ……


(審判が両サモンを見渡して……」


「はじめっ!!!」


 結果、サキュバス八体が、

 一直線に相手サモナーのラティットさんを持ち上げ、

 ぽーーいっ、と場外へ投げ捨てた。


「勝者、ヘレン!!」


 うん、良かった、

 ゴブリンの攻撃がまるっきりサキュバスには効いてなくって、

 何事もなく無反応でラティットさんへずんずんと向かっていった。


「ヘレンさんの様子、安心しましたよ」

「ええ、本来ならサモナーはサモンに護られ、触れられる前に決着がつくはずなのですが」

「力の差があり過ぎて、逆に良かったって感じですね」


 うちのサキュバスだけじゃなく、

 甘いと言われようが相手のゴブリンも無傷で良かった。


「それでは『ニィナスターライツ』のリーダー、

 ニィナ様の意向により、只今よりヘレン様の、

 『隷属の首輪』を外させていただきまあああっす!!」


(えええええええええええええええええ?!?!?!)


「クラリスさん!」

「今回の賞金で払ったとしても、まだ借金はあるはずですが」

「思い切った事するなあ、どうなっちゃうんだろう」


(サキュバスの群れを引き連れた淫乱バーサーカーを野に放つかぁ)


 商業ギルド奴隷部門の人が何やらカチャカチャやっている、

 こっそりニィナさんも居るけどあの巨体でこっそりも何もないな、

 そばらく経ったのち……うん、無事に首輪は外された!


「只今を持ちまして、ヘレン様は奴隷を解放されました!!」


 やんややんやの大拍手、

 コロシアムがこういう盛り上がり方をするとは!

 チアーさんが感極まっているヘレンさんに聞きに行った。


「ヘレン様、今後はどうなさいますか?」

「は、はいっ、愛するお方にその気持ちを、伝えたいと思います」


 その言葉に僕は、背筋が寒くなった。


(あーこれ僕の方を見ているな、どうしよう)


 どうしようもこうしようも、ないか。

 突然の、急な事とはいえ、僕には受け入れる選択肢しかない、

 クラリスさんを見ても頷いている、ナスタシアさんは……


(な、なんで爪を噛んでいるのおおお?!?!)


 羨ましいのだろうか。

 聞きたいけど聞くべきじゃないな、う、うん、なんとなくそんな気がする。


「以上、サモナー部門のエクストラマッチでした!

 さあ次はいよいよ、幻術師部門の準決勝でええええっす!!」


 おおお、ついにとうとう、アンジュちゃんの出番だぁ!!!

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