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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第二章 勇者ポーターと暗殺聖女
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第30話 怪しいマントと妖しいマント

「よし、注文していたマントを取りに行くぞ」


 冒険者ギルドでレベルアップを確認したカーナさんクラリスさんと別れ、

 すっかり夜になった街を僕らふたりは武器防具屋へと急ぐ。

 カーナさんは旦那さんからの伝言でパーティーメンバーが体調を崩したらしい、

 クラリスさんは突然、天啓を授かったらしくその言葉というのが、


 『ショウワのタ○ムショックとか元ネタが古すぎてごめんなさい』


 とかいう意味不明のもので、それを分析するために女神教へ戻ったらしい、

 女神様よりさらに上の存在からのお言葉らしいが何か焦りを感じたそうだ。


「やはり宿はふたりきりの方が良いな、部屋に着いて早々に襲ったらすまない」

「い、今から謝らないでください!そうする事が確定してしまいます」


 本気で拒めばやめてくれるだろうとは思うんだけれど、

 そうすると結構本気でシュンとしてしまうのも目に見えている、

 それに恐ろしい事に、なんだかんだ言っても襲われたい自分がちょっと居る。


「そういえば、今日まで下準備だったのはマントを待っていたんですね」

「うむ、これで装備が全部揃う、ビキニアーマーも常時装着できるな」


 マント屋につくと青ヒゲの、ノンケでも食ってしまいそうなオネエサマが奥から笑顔でやってきた。


「あら、お待ちしておりましたワ」

「ということは、例のものは出来ているのだな」

「夕方には届いたワ、この教会都市だからこそ仕事が早いのヨ」


 手招きされて奥へ、僕ひとりだったら怖くてホイホイついていけない。


「ほうこれは」

「結局ローブっぽくなっちゃったけどマントになるワ」


 真っ黒でなおかつ上質な毛皮、同じ素材でフードまで付いている。


「想像より大きいな、まずはデレス、着けてみてくれ」

「はい、マントだから今のこのままでいいんですよね」

「そういうことになるワネ」


 着て包んで見るとすっぽり身体が足元まで隠れ、

 フードを被ると小さい謎の魔法使い、いや、幻術師っぽい。


「これで顔が完全に隠れたら幻術師ですね」

「動いてみてドウ?」

「ええっと、うわ!軽い!体がめっちゃ軽い!」


 ぴょんぴょん飛跳ねてみると体が面白いように軽く感じる!

 かけてないのに『ラピットペース』の魔法がかかっているみたい、

 ということは、この状態でかければ、もっと凄い事に!


「凄いです店主さん!これ凄い!」

「うふアリガト、ちなみに名前はジェラルドよん」

「ジェラルドさん、これどうなっているんですか?!」

「勇者や賢者といったレア職業の方が持つ魔力が、自然とその毛皮に流れてるのヨ」

「それでですか、これならどこへでも跳んで行けそうです!」


 大げさだけど、それくらい凄く感じる。


「デレス、顔はちゃんと出しておけ」

「あ、はい……うん、フード被っても被ってなくても変わらないや」

「店主、魔力依存という事は消費は?」

「減らないワ、装備と一体化しているっていうか、消費しても微々たる量で回復のが上回ってるワネ」

「そうか、では私の試着だ……そうだ、ちょっと時間をくれ、ひとりで着てくる」


 何だかわからないけどジェラルドさんとふたりきりにされた。


「ええっとジェラルドさん、これってマントですかローブですかコートですか」

「良い質問ね、まずコートとローブは、ほぼ同じものって思って良いワ」

「じゃあマントとローブの違いは」

「マントは首元に止めて羽織るだけで、冒険者にとっては主に魔法付与させるための媒介、媒体として着るワ、

 ローブは着るもの、袖がついていてフードもついていたりする、鎧や僧侶服みたいな着る装備ね」

「じゃあこれは、マント?ローブ?」


 僕の予備を広げて見せてくれる。


「袖がないデショ?それだとマント、フードがついてるケド」

「なるほど、そういう事になるんですね」

「ちなみに他の普通サイズを頼まれたから、ローブになっているのもふたつ作ったワ」


 確かに完全ローブな袖ありもある。


「これって袖ありのローブを着たうえでマントのを羽織ったら能力が二倍にって事は」

「無理ネ、同じ勇者サマならその方の魔力を使っているから媒体が増えても能力は同じヨ」

「そっか、なるほど」

「待たせたな」

「ニィナさん!」


 すっぽりとマントで身を包んだ巨体女性、

 夜に見るバスローブ姿より数段、艶めかしい気がする。


「店主、これは良いものだな」

「デショ?デショ?」

「ああ、こうするとさらに動きやすい」


 マントを広げると、その中は、ビキニアーマー!


「アラ素敵」

「ぶおっ!!!」


 あまりの衝撃に吹き出しそうになる僕!

 これは、僕のさっきの姿は怪しい幻術師だったが、

 ニィナさんのこれは完全に妖しい痴女だ、やばい、食われる!


「ホウホウ、そういう事ネ」

「えっ、ジェラルドさん、どういう事ですか?」

「このビキニアーマーも本人の魔力を媒介して身体を守ってるんだけれど、

 それがこのマントと親和性を強くして、より通りやすくしているのヨ」

「と、いう事は」

「動きも防御力も普通に着けるより増してるでしょうネ」


 恐ろしい、こんな見た目なのに能力が凄く上がっているのか。


「気に入ったぞ、丈夫そうだな」

「そうネ、バラバラにされたらアレだけど、多少の傷は魔力で自動修復されるワ」

「それで普通サイズのは」

「コレよ、マントふたつにローブふたつ、ドウスル?」

「じゃあ各種類ひとつずつ貰う、残りは買い取ってくれ」


 機嫌良さそうにふたつ仕舞うジェラルドさん、香水が無駄に良い匂いしている。


「じゃ、お代は差し引き金貨五十枚で良いワ」

「安いな」

「素材は提供されたモノだし、加工賃は高いケド、

 こんな凄いマントとローブ手に入ったんだもの、気持ち的には差し引きゼロにしたいくらい、

 とはいえコッチも商売だからネ、ちゃんと仕事した分はいただくワ」

「ありがとうございますジェラルドさん、高く売れると良いですね」

「マントはこの店の象徴として非売品で飾っておくワ、ローブはオークションね」


 予備のマントと普通のマント&ローブを重ね、

 余った素材、残りのセクシーパンサーの毛皮と一緒に渡してくれる、

 それを受け取ってアイテムボックスに入れる僕。


「店主、展示用とはこれまたもったいないな」

「そんなことないワ、これだけの加工技術があるって知らしめられるし、

 非売品って事は値段がつけられないって事だから、逆に言えば青天井で売れるワ」

「どうしてもという客には売る可能性もあると」

「やぶさかでないワネ、でも半年は売らないワ、オークションでローブならでますって言って競わせないと」

「なかなか賢いな、良い店に注文できて良かった」


 がっちり握手するニィナさんとジェラルドさん、

 そして僕には優しめに握ってくれた青ヒゲのオネエサマ、あ、ウィンクしないで!


「じゃ、またネ、アリガトネ!」



 宿への道、セクシーパンサーマントに身を包んだまま宿へ向かう僕とニィナさん。


「うっわ、これほんとに身が軽いや」

「私も怖いくらいだ、これならもう一日、この装備を試す日を作るか」

「準備期間の追加ですか、確かに今のこの装備初日でボス探すぞーってなったら、深く潜りすぎそうですね」


 慣れる必要はある、確かに。


「とりあえず今夜はこれをベッドで試そう」

「え?そんな使い道って、あ!ひょっとして予備を作ったのって、そのため?」

「ふふ、ふふふ、ふふふふ……」


 あースイッチ入っちゃった、宿についたら覚悟しよう。



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         反省してます。

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