第24話 攻略初日と何の勝負なのこれ!
「おらっしゃーーーい!!」
目の前から襲ってきたキラーキャタピラーの群れを、
両手に持ったふたつの巨大盾で圧し止めるカーナさん!
「ウィンドカッター!」
風魔法で盾に貼り付いた敵を攻撃しながら剥がすクラリスさん!
「とどめだ」
プリンセスソードで華麗に舞い、
敵を真っ二つにするニィナさん!
この程度の敵ならベルセルクソードの出番ではない、通路もまあ狭いし。
「はいはい失礼しますねー」
敵から魔石を急いで回収する僕、手が芋虫の体液まみれになるが気にしない、
この肉、焼いて食えない事もないらしいが需要が無いため売れないので、
そこまで回収はしない、放っておけば勝手にダンジョンが掃除してくれるらしい。
「いやー潜って一時間ちょっと、こんなにやり易いのは初めてだわ」
「ええ、私もいつもは女神教のパーティーなのですが、それより体が軽いです」
カーナさんとクラリスさんが楽しそうにしている、
僕とニィナさんの勇者個人スキルのおかげだろう、
おそらくふたりとも能力は上がり、僅か一時間で恐ろしい程の経験値を取得しているはず。
「今度はウッドスライムの群れだ」
「あいよ!彼氏は早く下がって」
「はいいぃぃ」
「何匹か削ります!ブレスストーム!」
「数が多いな、デレス、お願いできるか」「はいっ!」
魔法で何匹か倒しその勢いでバラけさせたといえど、
ガーナさんの盾に二十匹近いウッドスライムが体当たりしてきた!
それをプリンセスソードで削り取るように斬るニィナさん、
遅れてきた敵を僕は銅の剣で倒す、このくらいの、数で勝負の敵なら容易い。
「彼氏も強いな、さすがニィナが見込んだ事はある」
「いえいえ、あのくらいの敵でしたら」
「デレス様が凄いのは攻撃が的確すぎてまったく外さない事ですわ」
「あーえーっと以前籠ったダンジョンでちょっと」
「冒険者カードを見せていただいたら勇者ポーターでした、どこを悪くされたのでしょう?」
あれ見せたっけ?と思ったが受付に混じった時か。
「話すと長くなるので休憩の時にでも」
「デレス、またあの話をイチからするのか?あればベッドでする前に話すような長さだぞ」
「ど、どういう基準ですか」
「まあいい彼氏は訳ありなんだね」
「すみません、一言で済ますと、婚約者四人を寝取られてショックで勇者が出来なくなった、って所です」
唖然とするクラリスさん。
「そ、それはいくら賢者の私でも、魔法で治す事はできませんわね」
「ああ、だからパートナーで勇者である私が毎晩毎晩治療している所だ、なあデレス?」
「と、とにかくニィナさんが疲れたり怪我したらすぐにメインの攻撃を交代しますから、言ってくださいね」
そんな話をしていると部屋についた、
罠のある事が多いので慎重に入ると、
木の壁に囲まれた中心にステージがあり縄が円形に置かれている。
「よく来たな、装備を脱いで勝負だ!」
円の中心にはフンドシ一枚の姿の人語を話すオーク、
ただ太っているだけではなく、そこに筋肉がついているタイプだ。
「よし、ここはアタイが……」
「女は上がるな!男だけだ!」
「えっ、僕?」
「そうだ、パンツ一枚になれ」
「まいったなぁ」
と言いながらもステージに上がる。
「ルールを説明する、両者がこの中央にふたつ向かい合って引いてある白線に、
両手を着いたら勝負開始だ、相手を倒すか手を着かせるか縄から外へ体の一部を着かせれば勝ち、
殴るのは禁止だが手で張るのは良い、あと噛みつき目つぶし金的も禁止な」
「禁止が多いですね」
「負けたら足元に穴が空いて飢えた雌オーク百匹と朝まで勝負(意味深)する事になる」
ひええ……
「僕が勝ったら?」
「お楽しみ宝箱が人数分貰える、どうする?」
「……やらないって言ったら先を通してもらえます?」
「通れないな、引き返せ」
「わかりました」
装備をアイテムボックスに入れる、
もし落ちてもアイテムボックスから剣を出して倒せばいいや、
むしろ雌オーク百匹の魔石と肉が手に入るんだから、それはそれで美味しいかも知れない。
「ジャッジはからくりギョージだ!カモン!」
喋るオークが呼び込むと奥から扇みたいなのを持ってきた木の人形がやってくる、
そして二つ並んだ白線を避けて見守るような形で立った。
「さあ、俺はドスコイオークって名前だ、お前は?」
「デレスです」
「よし、はじめるぞ!」
からくりギョージが扇を前に出して喋り出した!
「かたや、ドスコイオーク~!、こなた、デレス~!」
オークがしゃがんで両手を握り、片方を白線につけた。
「さあ、いつでもきやがれ!」
ステージの下では三人が応援してくれている!
「体格差などデレスなら問題ないだろう、信じているぞ」
「彼氏、ぶちかましてやんな!やり方さえ間違わなければ簡単さね!」
「信じていますわー、女神様がきっと勝利の微笑みをくださいます!」
僕も上半身裸が恥ずかしいから早く終わらせたい、と体をしゃがませると……
「ハッケヨイ~」
からくりギョージもさあ始まるぞ、という姿勢で謎の言葉を発した!
僕が同じように握った両手を白線につけた瞬間、
ドスコイオークももう片方の握り拳を着けた!
「のこったーのこったー!」
そのからくりの声と同時にぶつかってくるドスコイオーク!
まともに当たったらまずい、と僕はとっさにその胸元に潜り込んでしゃがみ、
夢中で両膝裏を掴み、相手の勢いを利用して後ろへ投げる!
「ばかば!居反りだと?!」
ずってーーーん、と背中から落ちたドスコイオーク!
「勝者、デレス~デレス~」
その瞬間、ドスコイオークの地面が割れ、下へ落とされる!
一瞬見えたその中は無数の雌オークが……
「いやだーーー枯れ果てるーーー」
うーん、同族同士仲良くしてください。
「よくやったデレス」
「アタイも勝つと信じていたよ!」
「さあ、ご褒美は何かしら?」
からくりギョージが宝箱を四つ積み重ねて持ってきた、
中に入っているのは……ひとつは金貨いっぱい、
ふたつめは『どすこいマンジュウ』と書かれたお菓子みたいで紅白ふたつづつ、
あとみっつめは、どすこいオークのいろんな姿がついた特大コップ四つ、
最後は超特大『どすこいバスタオル』四枚、これ、いる?
「ほう、このタオルは私やカーナにはありがたいな」
「そうさね、このサイズはなかなか手に入るのは大変だ」
あ、いるみたいだ。
「先の扉が開いたみたいですわ、さあ行きましょう」
からくりギョージが扉の横で頭を下げている、
いちいち倒す必要ないか、と僕は装備を着てみんなと出た。
「で、この勝負、いったい何だったんだろう……???」




