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第23話 勧誘!勧誘!また勧誘!とこっそり合流

 昼過ぎの冒険者ギルドは午前に一度クエストを終えた冒険者が、

 午前の報告や午後のクエストを求めて結構並ぶ時間帯である、

 それでも早朝よりもはマシなのだが、勇者専用受付には二組が並んでいた。


「……きたか」

「いいかい彼氏は絶対目を合わせるんじゃないよ」

「はいぃ」


 後ろに並ぼうと進んだだけで十数人の僧侶服の女性に囲まれる、

 そして口々に何か言い始めた、聞くとやはり内容は……


「元アイリー騎士団のニィナ様ですね、お待ちしておりました、我がルアンコ教国最大派閥、ルアンコ純聖教へ是非」

「ご一緒に天へ祈りませんか?天祈教は貴女と一緒に祈る仲間です、さあ、共に祈りに参りましょう」

「女神教は女神様のお言葉を皆にお伝えする教団です、ニィナ様、カーナ様、女神様からのお言葉をお預かりしております」

「あの、本当の意味で信頼できるパートナーを御所望ではないですか?愛と自由教はそういった相手探しに……」

「愛を、愛を求める人生、愛に満たされる人生、愛とは何か考える人生、愛を配る人生、愛に溺れる人生にご興味はないですか?」


 同時に喋ってくるから内容を理解できなさそうに思っていたが、

 一人一人の声が綺麗かつクリアなのではっきり何を言っているかわかってしまう、

 だからといってどうとも思わない、こういうやり口なんだろうなくらいにしか……


「魔物との共存をお考えではないですか?サモナーをご存じですか?素晴らしい人型の魔物も召喚できる超レア職業で……」

「四分、四分だけください!世の中は四分で解決します!四分でSSRだって引けちゃいますから!」

「あの、あの、不幸なことがあったりしませんか、それをみんなで話し合って、自分はより不幸ではないということを確認……」

「おめでとうございます!貴女はたった今から永遠の十七歳になれる権利を与えられました!キャッ☆」

「のど飴をどうぞ!甘くて美味しいものって心を解放してくれますよね、私たちの集会に来れば毎日お菓子を食べながら……」

「今!今私たちの『パンツは前後裏表四日履く教』に入会すると!なんと!特別製の七色に光るパンツを!」

「せがば○だーーーい!」「うきょっきょ!うきょきょ!うきょきょきょきょーーーー!!うきょきょ??」


 あーはいはいこういう話に興味あって乗ろうっていう人いるのかな、最後は雑音だし。


「興味ないからお前たちあっちへ行け!」

「あんまり煩いとアタイの盾がその声の持ち主ごと弾いちまうよ」


 しかし聞く耳持たずといった感じで一方的に話続ける勧誘者たち、

 僕はニィナさんの後ろとカーナさんの前で挟まれ、

 隠れてじっとしていたのだが、さすがに気付かれたようで声を掛けられる。


「坊や、ルアンコ純聖教って知ってる?ここに入ると一番安全で安心するよ?」

「あぁ、貴方のような未来ある若者こそが、我々と一緒に天に祈る運命なのですよ」

「そこの君、女神様に抱きしめられてみない?君みたいな子供だって大歓迎なのが女神教なの」

「まあ素敵な紳士様!きっとウチへ来ればアナタにとって将来を共にできるパートナーがすぐに!」

「ねえ、本当の愛って知りたくない?君くらい小さいうちから知っておくと、女の子にもモテるようになるよ」


 うーん、やはりというか完全に子供しかも比較的ちいさ目の男の子として見られてる、

 仕方ないとはいえ言われている言葉に色々とツッコミたいが、それをしたら負けなのも、わかる。


「そちらの坊ちゃまは、かわいい魔物と美人な魔物どっちが好き?この国に二人しかいないサモナーが召喚してくれるよ?」

「四分間だけ何でも好きな事ができるって聞いたらどうする?ちょっとお姉さんで試してみよっか?」

「その、その、一番不幸な話をしたら賞金や賞品が貰えるので、子供の部門もあるので、参加して、みませんか」

「おめでとうございます!貴方もちょーっと背伸びして、今日から永遠の十七歳に成長する事ができます!キャッ☆」

「刺激のある飴をどうぞ!美味しいですよー、お菓子お腹いっぱい食べてみたいって思った事ない?いっぱいあるよ!」

「男の子の子供用パンツもありますよ!今だとフライングエレファントのプリントパンツが!なんと無料で!」

「せがば○だーーーい!子供もお預かり致しまーす!」「うっきょうっきょうきょうきょうきょ、うきょっきょきょっきょーーーー!!!」


 子供相手にも容赦なしだな、いや子供じゃないんだけど。

 これがいかにもモテないオッサン勇者相手だと、

 どんなえげつない事になるか見て聞いてみたくはある。


 「……」「……」「……」


 僕らは相手にするのをやめて、黙っておとなしく待っているとようやく順番がきた、

 さすがに受付中は邪魔できないみたいで下がって他のターゲットを探し始めたみたいだ、

 ニィナさんは冒険証を渡す、水晶に乗せられ情報を見られる、昨日来た事もわかるのだろう。


「勇者様、お待ちしておりました」

「あいつらはなんとかならんのか」

「申し訳ございません、あれでも勧誘できるのは各教会一名ずつ、聖女様に限られているのですよ」


 あれ全部聖女、つまり賢者だったのか……すごい。


「これからダンジョンに潜る、からくりダンジョンだ」

「ありがとうございます、Cクラス勇者様への個別依頼が四件ほどあります」

「手短に頼む」

「無くしたプリンスソードの捜索、おそらくダンジョンに回収され宝箱になっていると思います、

 からくり博士の生け捕り、このダンジョンに魅入られて魔物側についた裏切り者冒険者の捕獲です、

 サキュバスの下着回収、ごくまれに落とすレアドロップですが履き心地がとてつもなく気持ちよい以外の効果はありません、

 最後に幻のからくり自動販売機ルームでできるだけ商品を買って戻ってきて欲しいという依頼です」

「うむ、では覚えておこう、見つけてからの後追いクエストで構わないな」


 冒険者ギルドのクエストとして、あらかじめ受ける事でその詳しい情報を聞いたり補助を受ける正式受注とは別に、

 どういうのか最低限聞いたうえで、達成した後にできましたよーって持って行くスタイルもある、今ニィナさんが言ったやつだ、

 前者は決められた期間に達成しないとギルドからの評価が下がり下手すると罰金も取られるが、

 後者はできたらで良いので評価は下がらない、が、成功報酬は半分になってしまう、

 それでもエリクサーの材料や魔王クラスの素材レベルなら十分だ、

 そういう高価なものだとクエストの発注が手に入れた後から『それください』と来る事もある。


「それでは今回のパーティーを確認します、パーティー名がまだ空欄ですが」

「結成したばかりだし今日は他パーティの者もいる、仮でいい」

「では空白のままにしていきます、全員の冒険者カードをお願いします」


 みんなで渡す、あれ?腕がひとつ多くないか?カードもニィナさんのを合わせて四枚。


「こんにちは、昨日のお話の続きに来ました」

「……クラリスとか言ったな、冒険者もやっているのか」

「はい、聖女の勧誘はダンジョン内でも行いますから」


 直後ボソッとすごく小さな声で『あと暗殺行為も』と呟いたのが聞こえた。


「あの、この四名で間違いありませんね?

「……ああ、頼む」

「かしこまりました、どのくらい潜る予定でしょう」

「とりあえず明日までかな、二十四時間は超えないつもりだ」

「それではご活躍をお祈りしております、行ってらっしゃいませ」


 受付から離れるとさっき勧誘してきた聖女のひとりが驚いている。


「クラリス!貴女いつのまに」

「行ってきますねー」


 手をひらひささせて僕らについてくるクラリスさん、

 上半分が僧侶用、下半分が魔法使い用の杖を持っている。


「……聖女仲間か」

「はい、女神教で二十代の聖女は私とカノン、彼女の二人だけです」

「ほう、クラリスはまだ二十代だったか」

「もう二十八ですけれどね、皆さんは」

「二十三だ」「アタイは二十九」「じゅ、十九です……」


 クラリスさんやっぱり結構行っていて二十八かぁ、

 僕を捨てた元パーティー仲間で婚約者だった、フラウ先生と同じ年齢……

 ちょっと運命感じちゃうかも?信用できるかどうかはまだわからないけど。


「その年齢で私の事をお姉さまとか呼んでいたのか」

「私より目上の方は全員お姉様かお兄様です、助けてください」

「詳しい事は後でな、さあ潜ろう」


 からくりダンジョンの入り口は冒険者ギルドの地下にあった、

 東の大陸のダンジョン都市と一緒だ、あそこは上に宿や娼館まであったけれど。

 ニィナさんが入り口の扉前でくるりと振り返って僕らに言う。


「このダンジョンはいつのまにかパーティが分断させられている事が多い、

 孤立したり別れたらできるだけ同じ方向へ逃げよ、そうすれば浅い階なら非常脱出口がある」

「了解」「わかりました」「心得ておりますわ」

「では、出発!」


 扉を開けた先はボス部屋、なんて事はなく、普通の木製の通路だった。

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