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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第五章 黄金勇者と謎のアサシン
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第212話 お屋敷購入とおまけの裏庭

「ここだんべ」


 金歯のマッサさんに案内されたのは平屋建てではあるものの、

 なんだこの広さは、といった感じの屋敷だ、外見だけ見ると百人寝ても大丈夫。


「いくらだ」

「金貨で換算すっべと、二千枚かんのう」

「中だけ確認させてくれ」


 うん、使われてない部屋が多いけど綺麗だ、

 って使ってある部屋があるって事だよなここ。


「マッサさん、これって元々どういう」

「あー、大昔は辺境伯の隠居邸だべ、今はたまの集会所」

「いいんですか売っちゃって」

「集会所にできる空家ば、まだんまぎょさーんあるんど」

「ならいいんですが」


 アンジュちゃんそわそわしてる、

 そろそろ時間がやばいのかなって思ったら

 トイレを見つけて駆け入った、びっくり。


「はんえーこどもだで、まるんで飛んでるよーだべ」

「はは、アンジュちゃんはすばしっこいですから」


 そういや勇者は驚くのに浮く幻術師に驚かないのはなぜだろうと思ったら、

 ラルス村に着いてからずっとクラリスさんの背後に密着していたから、

 おろらく背負っているように見えたのだろう、ぱっと見、母子に見えなくもない。


(にしても、ここまで女性を一人も見ないな)


「マッサ殿」

「なんべ」

「買おう」


 商業ギルドへ行くまでもなくアイテムボックスから金貨を掴み出す。


「そ、即決だんべ?!」

「ああ、二千枚だな」

「ちょ、ちょっとまっぱ!」


 アイテム袋を持ち出して拡げるマッサさん、

 ニィナさん雑に放り込んでいるようで枚数はしっかり数えているんだよな、

 クラリスさんはトイレを済ませたアンジュちゃんと奥の部屋へ。


(魔方陣作成かな、ヘレンさんも行った)


 時間もないしまずはマスマ町への転移魔方陣作成だけして、

 さっさと転移の繰り返しだろう、具体的におさらいをすると、

 マスマ町→カヤヤ村→国境の壁前→物理的に飛んで国境外へ→シュッコ側国境村→ニィナ城だ。


(急げば十分、いや五分でいけるかな)


 これはアンジュちゃん単独の場合で、

 フルメンバーならカヤヤ村→シュッコ国境村と飛べるが、

 一旦魔力がゼロになるので魔力回復キャンディは欲しい所だ。


「よし、間違いないな」

「んだも」


 え、マッサさん信用していいの?!

 受けていた方もちゃんと全部、二千枚数えていたとしたらさすが商業ギルドだが。


「鍵だんべ」

「こんなにか」

「表口と、裏口みっつ、地下通路ひとつだべ」

「地下はどこへ繋がっている」

「裏山の畑だんべ、おまけでついてるべ」


 案内されて行くと廊下の突き当たりに地下への入り口があり、

 鍵を開けると洞窟だ、松明が用意されているがニィナさんがライト魔法を使う。


「ほあー、さっすが勇者さまべ」


 蜘蛛の巣を払いつつ通り抜けること数分、

 出口も鍵がかかっており同じ鍵で開けると外だ。


「ほう、広いではないか」

「魔物避けの魔石もちゃーんとあんで」


 おまけについてきた裏庭と呼ぶには十分過ぎる、

 とはいえ、随分使ってないためか酷く荒れ放題だ。


(あ、ここにアレを使えば)


「ニィナさん、種を埋めましょう」

「何の種だ?」

「オークションで落札した、謎の種です」


 誰が持っていたっけ、と思ったらニィナさんがアイテムボックスから。


「これか」

「ほえー、でっかい種だんべ」

「謎の種です、何が出るかは謎ですが、おそらく悪い事にはならない、はず」


 幸運値というのがちゃんと発動すれば。


「そうだなデレス、これは皆が揃って一緒に埋めよう」


 万全を期するため、今は埋めずに一旦屋敷へ。

 洞窟内で声を響かせ僕はマッサさんに尋ねてみた。


「ここって冒険者ギルドは無いんですよね」

「商業ギルドが兼ねてまっさ」

「馬車は買えますか?」

「商店街の端っこにあんべ」

「へー商店街があるんですか」


 となるとカヤヤ村よりもは栄えているんだろうか。


「喫茶店とかもあるんですか?」

「呑み屋だんな、朝からやってるんば」

「あー、じゃあレストランも」「呑み屋だで」


 朝の雰囲気だと日雇い労働者が大量に農作業やってる村って感じかな。


「服屋とかは」

「作業着だんげ」

「教会は」

「治療所もんげ」

「娼館は」「ありまっさ」


 あるんだーーーー!!


「あーでど、ポーターさんにはお奨めできんどす」

「え、なんで」

「若くて四十代だもんも」


 それを聞いた瞬間、僕はスンッてなった。


(ほんと、労働者の村って感じだなぁ)


 戻るとクラリスさんヘレンさんがお迎え。


「おかえりなさい」

「アンジュ様はもう行かれました」

「そうか、ふたりも裏庭を見てくると良い」


 僕とニィナさんはマッサさんと冒険者ギルドへ、

 書類手続きを軽く済ませるとマッサさんは金歯を覗ける笑顔で頭を下げた。


「どもどんも」

「では次は馬車を買わせてもらおう」

「商店街への道はあっちだべ」


 教えてもらったあと商用ギルドを出ると、

 見送ってくれたマッサさんが中に引っ込んで大きな声を上げる!


「うおーーーいぃ、今夜は勇者祭りだーーべーーー!!」


 ええっ、お祭りするのーー?!


「ニィナさん、なんだか大事に」

「それだけ娯楽が少ないのだろう、許してやろう」

「あと、大金が入ったっていうのもあるんでしょうね」


 変な感じで巻き込まれなければいいんだけれども。


(どうなることやら……)

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