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【ついに完結】草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第五章 黄金勇者と謎のアサシン
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第203話 さようならカヤヤ村とお別れのプレゼント

「本当にありがとうございました、S級パーティーの実力、見せていただきました!」


 旅立ちの朝食後、一同で簡易冒険者ギルドへ行くと

 わざわざ早起きしてくれた所長のピンチェさんが深々と頭を下げてくれた。


「それで、皆様が旅立たれる前の最後の仕事になりますが、

 アンジュ様はレベル六十一になっております!!」

「うわぁーい」


 両手をあげてふわふわ舞うアンジュちゃん、

 早速、万日草を取りに来た一般の冒険者パーティーがびっくりしている。


(準魔王の単騎討伐と、妖精の指輪をはめての魔王討伐だからね、当然か)


「レベル六十で覚えた魔法とスキルですが、六つほどあります」

「手短に頼む」


 うん、実はもう知ってるからね、アンジュちゃんの鑑定で。


「はい、ひとつは『リミットクラスチェンジ』一時間だけですが別の職業に変わる事ができます、

 とはいえその間は幻術師魔法は使えなくなりますし、変わった職業のスキルや魔法は初期のものだけとなります」

「では賢者となってその一時間で経験を積んだとしても幻術師に戻ると」

「そのあたりの経験値は個人のものですから、ええっとこちらの資料によると、少しお待ちください」


 各レベルの魔法やスキルがまとめてある分厚い資料書、

 出張所とはいえ冒険者ギルドには必須アイテムなんだろうね、一生懸命見てる。


「例えば幻術師様がレベル五十になる目前で勇者となってレベル五十の勇者魔法を覚えたとします、

 すると幻術師に戻ったとしても本来、幻術師が覚えるべき魔法は習得できなかったこととなり、

 そのうえ、幻術師の状態ではその習得した勇者魔法は使えませんが、またこの魔法で勇者にチェンジすると使えます」


 難しいな、でもアンジュちゃんは初期個人スキルのおかげで、

 幻術師レベルが上がると一回で覚える魔法スキルの数が多いから、

 無理にレベルアップを他の職業に合わせる事は、しなくていいだろう。


「ちなみに数人しかいないような超レア職業にはできないようですが、

 同じパーティーに居ればできると書き記されております、はい」

「わかった、次は」

「続いてですが幻術師魔法『ナゲットカーニバル』これはですね、鳥系の魔物に対してですが……」


 とまあ後の魔法スキルは特筆するようなのは無かったので省略。


「……以上になります、では次の、マスマ町ダンジョン攻略、頑張って下さいね」

「こちらも世話になった、あっという間に居なくなってすまない」

「とんでもない! ムームー帝国は全てのダンジョンにおいて魔物が強くなりはじめていて、

 こちらとしてもこれからどうなることかと、感謝しかありませんよ」

「例の副所長にも感謝していると」「彼ならおそらくマスマ町の冒険者ギルドに異動になるかと」


 ついてくるのかよあの陰キャ!


「ではまた用があったら寄らせてもらう、失礼」


 僕らも別れに頭を下げて民宿へ、

 荷物をまとめてさあ出発なんだけれども……


(ゴッデスサキュバスはまだお母さんの治療中だ)


 タイミング的には今、回収でもいいんだけれど……

 アンジュちゃんが、じーっと見ている。


「まだ、まだ治ってないよー」

「そっか、出る瞬間までお願い」

「わかったぁ」


 部屋で片付けをしているとアンジュちゃんがふわふわ別の部屋へ、

 ってそこはこの家の人、タミィさんの部屋だから行っちゃダメなんじゃ!


 コンコンッ


「は、はいっ」

「アンジュだよー、お別れのプレゼントー」

「ご、ごちゃごちゃしてますけど、中へどうぞっ!」


 入って行くときにちらっと中が見えたけど、

 ぬいぐるみがすっごい沢山あった、くま率多し。


(ドアが閉まって中でなんやかんやお話してるみたいだ)


 仲が良かったもんなー、

 いつのまにか部屋まで入れてもらえる仲になったのか。


「僕も片付けないと」


 ゴミもしっかりまとめて色々やって終わった、

 さあ出よう、ということでクラリスさんがタミィさんの部屋をノック。


「アンジュちゃん、時間ですよ」

「あーい、じゃあ最後に、目ぇつむってー」

「はい、こうかしら?」


 そしてアンジュちゃんがドアを開ける、

 中のタミィさんには草冠がいっぱいつけられていた。


「もういいよー、じゃ、さよならー」


 離れると部屋の中から声が!


「あ、これ綺麗な……ってこれ、ひょっとして、万日草?! それも、こんなに!!」


 うん、あくまでも『草冠のお土産』だからね、

 念入りに寄生種をチェックしていたのはこのためだったのか。

 僕は思わず頭を撫でてあげる。


「偉いね、アンジちゃん」

「えへへへへへー」

「じゃ、サキュバスを回収して行こう」


 タミィさんのお母さんの部屋、

 本当にギリギリのギリのギリまで回復魔法をかけてくれた、

 それを亜空間に回収するヘレンさん、これでもう、お別れだ。


「あっ」

「どうしたのアンジュちゃん、転移して」

「あいあい」


 と、瞬間移動したのは簡易ギルド物置の、正式に許されて描き直した転移魔方陣だ、

 陰キャのリクエストだからね、僕らを見張っていた兵士ももうほとんど帰っていったらしい。

 ニィナさんがあらためてアンジュちゃんに話しかける。


「ではマスマ町へ転移だが、アンジュ、何か気になった事でもあったのか?」

「うん、あのお母さん、病気、治ってた」


 その言葉と同時に僕らはカヤヤ村を離れ、マスマ町へと転移したのだった。

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