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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第五章 黄金勇者と謎のアサシン
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第192話 村の民宿と今後の予定


「ようこそ民宿『こぐまの寝床』へ! お世話させていただくタミィと申します、十七歳です!」

「ああ、私はニィナだ、こっちはデレス、もうひとりはヘレンだ」

「村も噂でもちきりだったんですよ、高レベル冒険者様がいらっしゃった、あの装備は勇者様だー! って」


 うん、おそらく冒険者ギルド職員の地元民から情報が洩れてるんだろうな、

 それこそ田舎あるあるだから仕方ない、お家にお邪魔するとおそらく一番広い部屋に案内される。


「すまないな、こんな中途半端な時間に」

「いえ、お昼前のこの時間に到着されるお客様もいらっしゃいますから」


 それにしてもこのタミィさん、髪の短い可愛らしい女性だけれども、

 民宿の名前にもなっているこぐまが描かれているシャツを着ているが、うーん、

 いや人の趣味とか言っちゃいけないんだろうけど、すっごいダサい、お手製なんだろうか。


「ベッドは四つで、隣りの部屋には二つあります、男女別々で泊まられますか?」

「いや一緒で良い、昼食は出るのか」

「別料金をいただければ」「頼む」


 ありがたいけれどニィナさん量的に足りるのかな?

 ヘレンさんも食べて良いって言ったらもりもり食べるからなぁ。


「では準備致しますので、それまでごゆっくり」


 ……言葉が訛ってなかったけれど、地元民じゃないのかな?

 と思ったら玄関にやってきた業者さんとの声が聞こえる。


「いもぉぎょーさんおねがぁしまぁすぅ、たっくさんくぅでしょんかねぇ」


 訛ってる訛ってる!

 これはあれか、訛ってない人には普通に話して、

 地元民同士だと自然と訛りが出ちゃうタイプの女性か、かわいい。


(あのシャツさえ普通だったら……)


「デレス、あの女が気に入ったのか?」

「いえ、かわいいとは思いますけど、どうこうは」

「なら良い、今後の話をしよう」


 かわいいです惚れましたって言ったらどうなったんだろう?

 冗談でそんなこと言う訳にはいかないな、と思っていたらヘレンさんが扉を閉めた。


「先ほども冒険者ギルドで聞いてたと思うが」

「訛っていてちょっと頭に入り切りませんでした」


 ミリシタン大陸での某田舎娘を思い出しちゃった、

 慣れれば大丈夫なんだけれどね、慣れれば。


「まずカヤヤ村ダンジョンの準魔王だが」

「僕のせいですみません」

「いや、前情報が何も無いボスだったから仕方がない」


 アンジュちゃんが瞬間移動してくれなかったら危なかった、

 コロメのせいで使っちゃった死んでも復活できるスキルまだ復活してないし。


「あれを倒さないと魔物が溢れてくる危険があると言っていたな」

「潜った感じ、確かに真ん中あたりから忙しかったですものね」

「すぐに一気にとはならないだろうが、帝国が心配するのは無理ない状況だったな」


 一緒に潜っていないヘレンさんは真面目に聞いている。

 ニィナさんは部屋に備え付けっぽいお饅頭四つを分けて渡してくれた、ってなんで僕、二個?!


「光属性と火属性があまり効かないとなると、やはり物理攻撃か」

「どうでしょうね、ディグホールで埋められませんか」

「羽根が生えていただろう、それとあの酸がやっかいだ」


 と、うだうだ攻略法を討論する、たまにヘレンさんも話に入る。


「私のサキュバスで足止めするという方法も」

「犠牲になるぞ」

「しかし今の内ならまだ、いくらでも育て直しは」


 結局、クラリスさんアンジュちゃんの意見も聞こうとなってこの話は終わる。


「さて続いてカヤヤ村から遠い方のダンジョンだが」

「湖の隣りでしたね、ええっと名前なんだっけ」

「アイジニアス湖ですね、その湖は美味しい魚が獲れるそうです」


 ヘレンさんもちゃんと聞いてくれていたんだ。


「そうだ、そこのダンジョンもボスがわかっていないらしいな」

「地下一階は足のくるぶしくらいまでの水位があって、

 そこから深い階になるたびに水位が上がっていって、

 地下九階は首までで地下十階は完全に水没してるって話ですね」


 いったいどんな構造になっているんだろう、

 ダンジョンだったら上の階の水が全部下に流れるんじゃ?


「水中で活動できる魔法となると」

「んー考えられるのは例えばシルバーサキュバスですね」

「水系モンスターに変身させるという事か」


 それで息できるかは試してみないと。


「確か水中で活動可能なスキルを持つ者も居るのではなかったか」

「そんな人、今から探して見つかりますでしょうか?」

「しかもパーティー単位でな、ううむ、これは難しいな」


 水中ダンジョンって他所にもありそうだけどな、

 そこはどうやって攻略しているんだろう? してない可能性もあるけど。


「あの、よろしいでしょうか」

「どうしたヘレン」

「火魔法で蒸発させるという方法は」

「それだけの火力が必要と思うのだ、敵を丸焼きにするのとは違うのだぞ」

「そうですね、申し訳ありません」


 んー、でもダンジョンそのものをどうかするってアイディアはアリかも?


「なら水に毒を撒くとか」

「我々はどうする」「あ」


 とまあ、ああでもないこうでもないって話しているうちに扉がノックされた。


「もう昼食か」

「はい、準備が整いましたぁ」


 食堂へ行く途中、激しく咳き込む声が聞こえる。


「大丈夫か」

「はい母です、最近、万日草が出回らなくて」

「病気か、大変だな」


 あ、万日草なら腐る程ある!


「あの」「デレス、今は昼食だ」「あっ、はい」


 なぜか止められちゃった。


(おお、野菜山菜中心は嬉しい、ちょこっとある肉はこれ何だろ?)


「タミィ嬢、この肉は」

「ウォーターホースですね、お酒に合うと好評です」

「酒はあるのか」

「はい、別料金ですが」

「そうか、少し貰おう、ヘレンも呑むな?」


 ま、まあ今日はお休みだから、ね。


(万日草かあ、あげたら感謝されるんだろうなあ)


「デレス、食べながら次は帝都ダンジョンのおさらいをしよう」

「は、はい、お願いします」


 これがまた大変なんだっけ、七大魔王が居る。


「魔王の名前は覚えているな?」

「はい、なんだか凄そうな名前ですよね、『ラストナイトプリンセス』って」


 どんな魔物の姫なんだろう……また魅了されそうだ。

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