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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第五章 黄金勇者と謎のアサシン
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第187話 最底辺の地獄と最下層のボス

 僕らは敵を倒しながらぐんぐんぐんぐん降下する、 

 アンジュちゃんが慣れたものでうまく敵の方へ身体を運んでくれて、

 空中にもかかわらず自分の意志で進んでいるのに近い形で戦える。


(でもアンジュちゃん以外が四人を超えると、ややこしくなって無理らしい)


 そう考えるとこれ以上パーティーを増やすのはどうだろう?

 すでに別働隊として、でろでろエクスタシーは居るがまだまだ未知数だ、

 姫姉妹だけ美味しくいただく手もあるが、あのままだと空中戦は不利でしょ。


(サキュバスに抱えてもらう手もあるけど、だったらサキュバスが単体で戦った方が……)


 なんてうるさい巨大ハエ系モンスターを倒しつつさらなる深みへ、

 150の数字を超えたあたりが中間地点だ、確かこのあたりに……あったあった。


「デレス、見ろ、万日草だ」

「はい、高級ポーションの材料ですよね」

「どうする、採取するか」

「そうですね、見極めはできますから」


 そう、万日草に紛れて似た植物系モンスターが紛れている、

 パラサイトプラントといって万日草に擬態して咲いており、

 近づいた人や魔物にこっそり種を植え付けて寄生するやっかいな敵だ、

 すぐであれば対処できなくもないが、完全に体内に入り込むと脳まで支配される。


(幸いなことに、ダンジョンからは出たがらないんだよな)


 逆に言えば出られなくなって、皮と脳以外は全部植物になってしまうとか、恐ろしい話だ。


「では飛んでくる種に注意して軽く採取だ」

「クラリスさんは見張りを、種が飛んできたら教えてください」

「かしこまりましたわ」


 こういうのはミリシタン大陸で、コモモとメタルコモモで慣れた、

 まずは万日草を、これ普通に崖にしがみついていたら取るの大変だな、

 根深いうえ強いから引っこ抜いた時に勢いで落下しかねない。


(さっきのパーティーも、これ目当てだったんだろうな)


 回収したアイテム袋にはきっと万日草が入っているだろう、

 いかに高価な素材を沢山手に入れても死んだのでは意味がない、

 と、いたいた、彼らに寄生したパラサイトプラントだ、種に気を付けて……


「えいっ!」


 距離を取って剣を刺すと根元の球根を貫いて一瞬で枯れ落ちた、

 たまに死に際に種を飛ばすので注意らしい、アンジュちゃんは死神の鎌で先にサクサク狩ってる。


「ぱらさいとーだけ、先にいなくするよー」


 こんだけ距離があれば大丈夫だろうって先からザクザクやってる、

 一通り終わってもういなくなったのを確認してからそのエリアを遠慮なく……

 ああいう方法もいいな、ニィナさんはベルセルクソードで豪快に壁を割って選別している。


「ニィナさん、ひょっとして休憩地点も作っていません?」

「まあな、万日草を壁を這って取りに来た冒険者の、拠点になれば良いが」


 そうは言ってもこれからボスを倒すんだけれども、

 そうなったら万日草はどうなるんだろう、

 パラサイトプラントだけ減ってくれると良いけれども。


(あの冒険者たち、最後の女性、ありがとうって言っていたな)


 時間的にもう助けるにはエリクサーしかない状況だった、

 そんな高価なもの、さすがに僕だって使えないよ、数も足りないし。

 でもニィナさんが躊躇なく斬ったのは、僕に変な迷いを起こさせないためかも。


「あらアンジュちゃんに種が」

「ほんとー?」

「高い所のを倒した時に、予想以上に種が飛んだようですわ」


 セクシーパンサーローブに引っかかっていたのをクラリスさんが杖ではたき落とす、

 下手に触るとその手に種から出た触手が絡み付いて入り込んでくるらしい、

 すぐなら浄化魔法か何かで引き剥がせるが、とてつもなく痛いとかギルドで聞いた。


「よし、そろそろもう良いな」


 何百もの万日草を採取し終わりさらに潜る、

 敵もジャイアントスパイダーポイズンとか、

 ダークネススラッグとかここまで来ると崖下り勢は進めないだろう。


(200を通過したあたりでまた中継地点だ)


 といっても中はティムモンスターの休憩地点っていう程度だ、

 奥に滝みたいな水が流れているがやっぱり飲む気にはならない。

 というか人自体しばらくは、いや何年も、何十年も来てないっぽい。


(万日草目当てはここまでは来ないからね)


 そうして様子だけ伺ってほぼスルーで250へ、

 そして300の字は書き殴りだ、確かに敵が多い、

 ただクラリスさんとアンジュちゃんの全体魔法が無双すぎて……


(まあ、魔石や素材は底で拾えば良いか)


 と思ったのが甘かった。


「さあ、いよいよ穴の底だ」


 ニィナさんの声に最下層の方をクラリスさんが照らすと、

 そこに埋め尽くさんばかり蠢くものたちに、僕は全身、鳥肌が立った!


「うっわ、これは」

「デレス様、ジャイアントターマイトの群れですわ」

「うっわ、魔石をばりぼり食べている」


 上から落ちてきたものは何でも噛んでも食らい尽くす感じ、

 まさに地獄だ。


「魔法で一掃いたしましょうか」

「んー、光魔法と火魔法に耐性あるってー」


 アンジュちゃんの鑑定なら間違いは無い。


「ならどうする、ベルセルクソードすら齧られそうだが」

「ですわね、光と火以外の魔法で」

「ボクやってみるー、ていていていていていー」


 そう言って無詠唱で覚えたばかりの魔法『アイス』を乱れ打つアンジュちゃん!

 氷が相手にめり込んで倒したり凍らせたりする、うん、効果抜群だ。


「じゃ、乱れ撃つよーえーーーーーい!!」


 こうして時間はかかったものの、

 底に蠢いていたターマイトは全部倒せたようだ。


「じゃ、扉の前だけどけるねー


 ディグホールで穴を開けボス部屋前の死骸を埋める、

 魔石とかちょっともったいないけど、まだまだ残っているからいいか。


「ではボス攻略だ、準備は良いな?」


 ニィナさんの問いに頷く僕ら、

 そして扉を開けると、中に居たのは……


「こ、これは、これはーー!!」


 真っ白な、巨大なシロアリ、

 その名も『ホーリージャイアントターマイト』だった!!


(なぜだろう……綺麗だからかな、倒す気が、起きない!!)

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