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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第四章 上流勇者と奴隷眼鏡サモナー
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第178話 わざわざの来客と報告と忠告

「うおーい、来てやったぞ」


 ニィナ城に初めての来客は意外な人物だった。


「あ、ええっと地下情報屋の主人!」


 今ここに来てる西冒険者ギルド勇者専用受付チアーさんの旦那様だ、

 わざわざこんな所に、という事は冒険者Sランク経験者かそれとも……?!


「なんだレワン殿、いいのかここまで」

「ああニィナ、大事な報せが届いたからな、そのついでだ」


 と僕の方を見る、レワンって名前だったのかあ、

 あれ? どっかで聞いた覚えがあるような、

 まあ同じ名前ってこの世界じゃ無いわけじゃあないし、

 たとえばヘレンって名前の女性はポピュラーでちょくちょく居る。


「まずニィナとデレスは世界中の冒険者ギルドに上級勇者として登録された」

「もうか、早いな」

「え、上級って」

「居場所を世界中の冒険者ギルドに共有される、でかい印をつけられたって訳だ」


 なんだか嫌だなそれ。


「まあ仕方ないな、私はともかくデレスは遅いくらいだ」

「勇者ポーター制度を使ってポーター免許を取ったせいだろう、おそらく混乱した」

「あー本当なら僕、勇者を引退してましたものね」


 冒険者カード併用は褒められた話じゃないんだった。


「勇者ポーター兼勇者っていうのは冒険者ギルドに得しかないからそのままでいいだろう」

「助かります」


 ってなぜかレワンさんに頭を下げてしまった、

 ここはチアーさんにも下げておこう、あと心の中でマダムバタフライにも。


「なので少し窮屈になるかも知れん、それが嫌でシャマニース大陸に逃げた勇者も多い」

「確か人外魔境ですよね、それって逃げたって言うんでしょうか」

「自由を好む冒険者、高レベル勇者にとっちゃあそうだな、噂では婚約者を捨てて魔物ハーレムを築いている奴もいるらしい」


 あー、なんとなくヘレンさんのサモン、サキュバス七体をはべらせてる僕を思い浮かべちゃった。


「そんな訳で依頼が増える、これはSクラス冒険者パーティーの宿命だと思ってくれ」

「了解した、だが気が乗らない依頼は断る」

「ああニィナの好きにすれば良い、それとデレス、良いか悪いかわからんが新情報だ」


 まーたチアーさん経由で冒険者ギルドから盗んできたのかな?


「はい、なんでしょう」

「東の、ミリシタン大陸のパーティー、デレスフライヤーズは知っているな?」


 その言葉に僕は胸がドキンと激しく鼓動した。


「……はい」

「そのパーティーが懲罰冒険者活動を終えた」

「ちょ、懲罰って」


 何か悪い事でもしたのか?!


「やはりか」

「ニィナさん、やはりって」

「クロウに成り済ましていたジャンゴの手足になっていたのだろう、

 いかに騙されていたとはいえ、まったくの無罪の訳がない」


 そうか、リッコ姉ちゃんたちも共犯ってことになっちゃってたのか。


「ああ、それでキツい依頼を懲罰的に、強制的にやらされていたのが全て終わったらしい、

 デレスの居場所の照会があったそうだ、だがまだ上級勇者じゃなかったから教えなかった、その時点ではな」

「じゃ、じゃあ次、聞いてきたら」

「居場所を教える事になる、元メンバーなら当然だろう、どうする、今なら秘匿願いを出せるが」


 僕はすがるようにニィナさんを見る!


「隠しておけ」

「は、はい」

「知らせる必要は無い、本当に会いたいなら自力で探すべきだろう」


 うん、そうだよな、それにもう過去の元婚約者だ。


「ということでレワンさん、いやチアーさんか、お願いします」

「かしこまりました、ただ、今このタイミングで聞かれたら知らされてしまうかも知れません」


 僕が上級勇者になった瞬間から、秘匿の通知が来るまでの間にか。


「それはしょうがないです」

「だな、そこまで運が悪い男とは思えないが、私のデレスは」


 と、きゅっと僕を抱き寄せるニィナさん、

 たくましいけど女性らしさに母性を感じて心地よい。


「最後にデレス、お前さんは過去の教育のせいか人が良すぎる、お人よしの度が過ぎる」

「あ、ニィナさんにも以前、そんなこと忠告されました」

「そのうえ抜けている所まである、まあそこが『強い女』にモテる要素でもあるんだろうが」


 母性本能をくすぐるっていうやつか、

 リッコ姉ちゃんとかフラウ先生とかがよく僕に言ってたっけ。


「その人の好さから、気が付いたら人生そのものを奪われる恐れすらある」

「あ! すでにそれ狙われています、ドワーフのお姫様に」


 きっかけは僕のやましい心だったけれども。


「いいか、自分をしっかり持て、それが出来ないなら信頼できる者に護ってもらえ」

「はい、すでにもう、婚約者が三人居ますから」


 僕を見守ってくれているニィナさん、クラリスさん、

 そしてふわふわ浮きながらくっついてくるアンジュちゃん、

 みんな裏切る訳にはいかない、だからこそ僕は、僕がこの婚約者を護る、くらいの覚悟は無いと。


「デレス安心しろ、デレスは誰のものにもならない、もうすでに私のものだからな」

「そうですわ、デレス様とわたくしクラリスは運命の赤い縄で絡み合っておりますから」

「ボクはもうデレスくんと一生離れないよー、どこ行ってもデレスくんに飛ぶよー」


 うん。上級勇者とやらになっても僕にとっての婚約者たちは変わらない、

 そして少し心配そうな表情のヘレンさん、僕を好いてくれている、でいいんだよね?


「ヘレンさん」

「私も仲間に、婚約者に入れて貰えるように、頑張ります」

「その、とりあえず、これからもよろしく、ね」


 とはいえ奴隷だ、うん、今後については追々考えよう。


「よし、以上で俺は仕事に戻る、じゃあな」

「あっはい、頑張って下さい、ヒョウくんにもよろしく」

「それでは、わったっくっしっも! 失礼いたしまーーっす!!」


 と去って行ったレワンさんチアーさん夫婦、

 結局、レワンさんって謎の人のままだったなあ……。


「さあデレス、準備を整えたらとりあえず別れでも告げるか」

「そうですね、お留守番の皆さんに、まあすぐ戻ってくるんですけれども」


 そのあたり、みんなにも、奴隷含め全員に説明しなくっちゃな。

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