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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第四章 上流勇者と奴隷眼鏡サモナー
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第171話 討伐完了と秘密の部屋


「く、くそう、こんな穴すぐ出……す、すべるううううう?!」


 穴の奥からビーストシュータの戸惑いの声が聞こえる!

 身体を、丸まった全身を回転させなんとか脱出しようとするも、

 つるつるにすべって上がってこられない、爪を引っ掻けようとしても同じだ。


「ルエナ、よくやったぞ!」


 ニィナさんが褒めるとサキュバスに抱えられながら杖を振って応える、

 見るとすり鉢状になった床は油でべっとべと、実はビーストシュータが穴に落ちる瞬間、

 手を淵にかけていたのだが見事につるっとすべって落ちていったのだった。


(それにしても凄い油の量だ)


 これが今回の切り札、

 ルエナさんの個人スキル魔法『オイルシャワー』によるものだ、

 敵グループに対し好きな種類の油を放出するこの魔法で、

 床をつるっつるのすべっすべに滑るようにしてビーストシュータを落とし穴にはめる。

 普段は娼館でお客様相手に使っている魔法で、他にも『パウダーシャワー』『泡泡シャワー』も……


(なぜ知っているかは聞かないで!)


 ちなみに僕個人としてはパウダーシャワーが好きだけどあの娼館高すぎぃ!


「よし、アンジュ、穴は埋められるか?」

「……む~りぃ~、魔力が高い敵みたい、だよ」

「そうか、そのあたり魔法防御が高いのだな」


 物理的に穴を空けてそこへ落とす事はできても、

 いざそれを塞ごうとしてもビーストシュータの魔力ではね返されるようだ。


「よし、ではルエナ、今度は可燃性の高いオイルをありったけ」

「かしこまりました」

「この深さなら大丈夫と思うが入れすぎて浮かせないようにな」


 いっそ窒息してくれれば良いのだが、とオイルをとぷとぷ魔法で注入する、

 やはり僕らとパーティーを組むと魔力の量も質も上がるみたいで凄い量だ。


「あぶ、あぶぶぶぶ」


 溺れてる、溺れてる!

 這い上がろうにもさっきの油でつるっつるだし、

 丸まった態勢ではどうしようもないだろう。


「さてこれより攻撃開始だ、クラリス、ライリア、ナタイラ、ルエナ、そしてヘレンはホットサキュバスで」

「準備できましたわ」「はい」「はい」「お任せ下さい」「リョウカイ」


 最後にシャベッターのはホットサキュバスだ。


「では……点火!」


 ニィナさんの号令で油がたぷたぷの穴へ炎魔法が投げ込まれる!


「ファイアーキャノンボール!」

「ファイアーダンス!」「ファイアーダンス!」

「ファイアーシャワー!」「セクシーファイアー!」


 最後のサキュバス産ファイアーは、

 ちっこいサキュバスの形をした炎の塊が連なってとんでいって、ちょっとかわいい。


「じゃあ僕も、ローリングトライアングル!」


 炎魔法じゃないけど勇者の光魔法だからね、効くはずだ。


「ぐお、ぐおお、ぐおおおおおおおおおおお!!!


 中で燃え上がる魔王ビーストシュータ、

 アンジュちゃんが鑑定したらリザード系だけれども

 被甲型モンスターとも表示されていたらしい、魔物の区分けはよくわからない。


(多分、あの丸まった時に攻撃を一切受け付けない外皮装甲の事なんだろうな)


 いかに丸まった状態とはいえ複数の激しい炎で焼かれ続ければいつかは倒せる、

 今は魔力でなんとか防いでるっぽいが時間の問題だろう、上から放つ僕の魔法、

 ローリングトライアングルも心なしかすり鉢状の床ですべりが良くなっている気がする。


「ぐおっ、あ”、あ”づ”い”い”い”!!!」

「よし、効いてきたぞ、皆は炎を緩めるな!」

「ボクが『ハイエルフの涙』飲ませるから魔力切れそうになったら言ってねー」

「あ、あの私そろそろ」「私も」

「あいあいー」


(姫姉妹は早速魔力切れか、まあ仕方ない)


 そうこうして三十分程度、業火で焼き続けた結果……


「ぐあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!」


 ゆっくりと、重い魔王部屋扉が開放される!


「よし、やったな」

「はい、あ! 早く消火活動を」

「クラリス、ルエナ、ウォーターサキュバス、頼む!」

「はい、ウォーターフォール!」「バブルシャワー!」「ウォータートルネード!」


 そしてアンジュちゃんも!


「雨よ降れー!」


 天候魔法だ、あまりの水が入る勢いですり鉢状の床が湖みたいになる、

 そしてアンジュちゃんがディグホールの魔法をさらに唱えると穴が広がり、

 倒したビーストシュータが黒焦げになってぷかぷか浮いてきた。


(表面を油の幕が覆ってる、これどこに排出しよう)


 追加で入れた油や床に残っていた油が混ざって酷いことに、

 そもそも討伐中の酷い黒煙が大変だったが上の穴から魔王の寝床を通じて、

 そこからさらに地下二百九十九階へ流れてくれたみたいで窒息とかはなかった。


「ひでえなこれは」

「皆さんご無事ですか!!」


 ダイナミックアテンションの皆さんが心配しながら入ってきてくれた!


「とりあえずビーストシュータだけ門の外へ出しましょう」


 とりあえず僕ら人間は門の前に降り立ち、

 汚れ仕事で悪いが七体のサキュバスに黒コゲ魔王を運ばせる、

 そして油の浮いた水の惨状はどうするかというと……


「えい、えいっ」


 アンジュちゃんがディグホールでめいっぱい穴を拡げ、

 そして埋めると綺麗に元に戻った、

 入っていた水が全部こっちに流れてこないか心配したが大丈夫みたいだ。


(地下でどっかに流れて行ったのかな? このへん謎だけどまあいいや)


 そして部屋が元に戻ったとたん、

 扉と反対側の壁がゴゴゴゴゴ、とスライドしはじめた、

 その奥を見て、ここに居る誰もが色めきだった!


「た、た、宝だーーー!!」


 遠くから見てもわかるくらい、

 奥の部屋は金銀財宝ざっくざくである!


 ※実際に火のついた油を水で消火するのは危険です

  この世界はファンタジーなので魔力で消化したということで。

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