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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第四章 上流勇者と奴隷眼鏡サモナー
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第166話 確かな成長と新たな依頼

「また種が出たよー」


 学校が終わったアンジュちゃんがご機嫌で舞う、

 手に持った『死神の鎌』から放つ闇の刃で敵をサクサク倒している所だ、

 ここは地下九十六階の『地下森林エリア』リューイさんたちが種を量産していたアルラウネ中心の狩場だ。


「やっぱりアンジュちゃんが居ると楽で良いですね」

「それもだが我々四人が集まると種のドロップが凄まじい」

「あのニィナ様、デレス様、私、気付いた事が」


 もはや敵はアンジュちゃんひとりに任せている状況である、このレベルの敵ならね。


「どうしましたクラリスさん?」

「えっと、先ほどファイアーダンスを打たせて敵から出た、この種の鑑定を」

「これはおいしい種ですね、それが何か」

「暖かいんです、おそらくファイアー系やサンダー系で敵を倒すと、

 本来の種が燻されるか焼かれるなりして、能力向上効果のない種になるのかと」


 あー、攻撃の種や機敏の種が高温にかかると変質することがあるのか、

 前にサンダー系で倒した敵が普通に魔力の種を出したから程度によるのかな。


(となると、おいしい種って実は美味しくないのか)


 でもアンジュちゃんが機嫌良さそうに狩ってるからまあいいや、

 ナタイラさんと妖精の指輪をつけているライリアさんも魔力が回復し次第、ファイアーダンス系を放つ。


「うーん、これくらいしっかりやってればログハウスがあってもいいんですけれどね」


 日を追う毎にログハウスが立派になっているらしいから

 いつどのタイミングで燃やしてやろうか、などと考えてしまう。

 

「それはそうとアンジュの件だが」

「あー、あのおじさん、アンジュちゃんの先生に論破されちゃいましたね」

「言っていた事はまあわかるが、ようは金づるだろうな」


 一応あれは課外授業というか生徒に実際に稼がせる授業だそうで、

 ああやってお金の稼ぎ方を教える現場実習、人とのコミュニケーションの訓練だとか。


(にしては荒稼ぎしすぎだろう)


 確かに先生やシューサーくんと連携して仕事をし、

 たくさんの冒険者と会話する事で人との接し方を勉強させる、

 実際儲けたお金もちゃんと『一部』還元してくれるそうだが。


「一般的な常識を教える、の範疇ではありますよね、

 僕もミリシタン大陸の学園でダンジョン実習のとき入手した魔石がお小遣いになったの思い出しました」

「だがそのうち単騎で黒龍退治の実習とかさせられないか心配だ」

「シューサーくんもいるよー」


 話が聞こえていたのかアンジュちゃんが口を挟む、

 あのアサシンもアンジュちゃんの恩恵を結構受けていそうだ、

 食事中に転移させられるとか被害もあったけれども!


「あ!」

「どうしたアンジュ」

「ライリアちゃんもレベル25になったよー、わーい」

「ということは」

「うん、新しい魔法覚えてるーファイアーウェーブ」


 そう、ファイアーダンス4の次に覚えるのは5かと思いきや、

 ファイアーウェーブという森を焼き払うレベルの魔法だった、

 そこそこの威力でレベルが上がればそれこそ、ここの敵を一掃できるだろう。


(その時は種は全部、おいしい種になっちゃうな)


「よし、では引き上げよう、能力の上がる種はそれぞれふたりで分けて飲んでくれ」

「おいしい種はボクがもらうよ~」


 こうして目的は達し西の冒険者ギルドへ転移、

 勇者専用受付は三組待ちなので雑談して待つ。


「そういえばアンジュちゃん、授業の時間が終わるとあの狩場は使えないね」

「あー楽できるとこー? うんそうだねーもうこれ以上、ならんじゃダメーてシューサーくんがやってた」

「じゃあアンジュちゃんが転移させる仕事が終わったタイミングで、僕らが使うという手も」


 姫姉妹の経験がグングン上がりそうだ。


「んー、十八時間コースのお客さんがいるよー?」

「なにそれ」

「ボクがあそこから帰る時に送って、次の日の朝に迎えに行くのー」


 あー夜通しあそこで滞在するコースがあるのか、金貨何十枚だろ。


「ていうかそれなら学校行く日って、ここんとこ毎日あれやってるの?」

「うんー授業だよーあれも」

「教室での授業は?」

「受けてるよー送り迎えしたあとと、するまでの間にー」

「じゃあいちいち、学校と行き来してるんだ三十分毎に」


 どんだけ働かせてるんだよ……


(こうなると学校の無い日は、ちゃんとしっかり休ませないと駄目だな)


 と言いつつアンジュちゃんが学校休みの日は二泊三日滞在コースとかなければ

 僕らもあの島を使えるな、なんていう事を考えつつ雑談をしていると……


「順番が来たな」


 おお、受付はチアーさんだ、相変わらずハイテンション。


「はいっ、ではまずレベルアップの確認をっ! こちらにっ!!」


 いちいちつけるポーズも見るとちょっと安心する。

 そんな感じで姫姉妹のレベル25を確認して褒められたのち……


「ニィナスターライツの皆さまに、ふたつお話がありまあああす!」

「なんだ、相談か? 依頼か?」

「両方でーす、まずはご相談からっ、はいっ、これっ、パンッ、フレッ、トー!」


 華麗に無駄に舞いながら折りたたまれた紙を貰う、

 これパンフレットというよりチラシだな、折りたたんで全4ページになってるやつ。


「闘技大会か」

「はいっ、コロシアムで職業別対決となっておりまあす!」

「予選と決勝、ふむ、二日目の決勝は全64人でトーナメントか」


 時間かかりそう。


「ここ自由都市シュッコの闘技場では、オークションと闘技大会を、こ・う・ご・に」

「わかった、パンフレットだけ貰っておこう、それともう一件は」


 あ、スンッと真面目モードになった。


「デレス様、勇者ポーターとしての依頼がございます、デレス様ご指名で」

「えっ、どこからですか」

「ムームー帝国の冒険者ギルドからですね、いかがなさいましょう」


 そういえばポーターとしての仕事してなかったな、

 ハイエルフの涙を届けて以来か、久々って程でもないけどやっておこうかな。


「行って戻ってくればいいんですよね?」

「そうなりますがアンジュ様もご一緒に」

「いいですよ、いいよねアンジュちゃん?」

「あいあいあー」

「それで何を運べば良いのですか?」


 他人の目を気にしつつ、こっそり僕らに告げる。


「……冒険者、106人です」


(何が起こってるのーーー?!)

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