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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第四章 上流勇者と奴隷眼鏡サモナー
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第156話 クラリスさんの旅立ちと奴隷たちの取捨選択

「クラリスさん、本当に旅立ってしまうんですか?」


 僕がすがるような目をしているからか、

 やさしく頬を撫でてくれる。


「はい、二泊三日の長い旅路です」

「……なんだぁ!」


 どっきりさせて、もう!

 ニィナさんも安心したようだ。


「何が起きた」

「ムームー帝国を少し怒らせてしまったようで、

 おそらくあちらのダンジョンで高レベルとなった賢者がトラブルに巻き込まれたようなのです」

「詳しくは」

「それを聞きに、ムームー帝国と境の街へ……私なら帝国側と話ができるかも知れないので」

「なるほど、パーティとして我々はムームー帝国に貸しでは無いが繋がりがあるからな」


 アンジュちゃんニィナさんを杖でしばくフリしないで!

 真面目な話なんだから、と思ったら杖をぺしっと払われた。


「ついでに通り道ですのでシカーダさん、でしたっけ、そのお母様に会ってきますわ」

「それは良いな、よろしく頼む」

「あー、うん、ええっと」

「どうしたデレス」

「明日、コロメが僕個人に商談したいっていうんですけど、それひょっとしたらシカーダちゃんかなあって」


 希望的予測だけれど。


「もしそうだとしても現地の、母親の状況は知っておく必要がある、クラリス頼んだ」

「はい、ムームー帝国の領内に入る予定はありませんが、戻ってこなければ捕まったという事で」

「だな、その時はアンジュを連れて迎えに行く、良いなデレス、アンジュ」

「もちろんです、本当なら最初から一緒に行きたい所ですが」「ボク学校があるー」


 クラリスさんが僕らを裏切ることは無さそうだけれど、

 何が起こるかわからない、ひとり護衛をつけたい所だけれど……


「クラリスさん、ヘレンさんを連れて行きますか?」

「いえ、これはあくまで女神教としての一団ですので、行くならアンジュちゃんで」

「そっか、あと教徒はペロちゃんだしなあ、バウワーさんを入信させて、は可哀想か」


 いくら奴隷でも宗教を押し付けるのは違う、ペロちゃんとは事情が違う。


「クラリスの件はクラリスに任せよう、それよりそろそろ奴隷の回収だ」

「あ、そっか、アンジュちゃん」

「あーいあいあい」


 と、ひとりで瞬間移動した!

 僕も連れて行ってもらおうかと思ったのに気が早い。


「明日は奴隷解放の日か」

「あーもうそんな、日付変わってからでしたっけ」

「だな、そのあたり皆で本人たちと再確認しよう」


 といっても解放できない奴隷の方が多い。


「種いっぱ~い」


 とだけ言ってヘレンさんパーティーを連れてきた、

 サキュバスとケルピーで大所帯だ、さっさと仕舞うなりティムモンス部屋なりに移動してもらう。


「次~」


 と忙しそうにまた消えたアンジュちゃん、

 ってアルラウネ一体と、アルラウネリーダーが居るうううう!!!


「ヘレン、これは」

「はい、ティムできました!」

「リーダーは凄いな」


 例の商人に追加で売りつけられるかも!


「デレス、どうする」

「売りましょう」

「少なくとも白金貨五、六枚にはなるな」

「そ、それじゃあ」

「ヘレン落ち着け、まだ落札価格の半分だ」


 とはいえヘレンさん自体のこれまでの活躍を見ると、

 もう十分、リューイさんたちを解放しても良いのかなとは思う。


「でろでろ~」


 続いてやってきた姫姉妹の褐色パーティー、

 パッションリバティラバーズ改めでろでろエクスタシーだ。


「ふう、早速姫を風呂に」

「おい待て」


 さすがニィナさん、かなり年上であろうおっかさんにも容赦ない。


「レベルは」

「さあ、冒険者ギルドへは寄ってないからね」

「お姫様なら二十一のままだよー」


 アンジュちゃんがしれっと暴露する。


「じゃ、ペロちゃん~」


 言うだけ言って消えた、今度は女神教の教会か。


「まったくお前たちは」

「デレスの旦那~今からお風呂で全身くまなく洗わせてくだ……ぐうう!!」


 僕とニィナさんほぼ同時に色仕掛けお姉さんの首を絞める!

 まったく懲りないなカミーラさん、隷属の首輪を強いのに交換した方が良いかな?

 あ、気が付いたらクラリスさんも手をかざしてた、三人がかりか、緩められるとけほけほ言ってる。


「まず先にお前たちに言っておくが奴隷解放は無いからな」

「そ、そんなあ! 私の身体はいくらでも好きにしていいから姫だけでも」

「カミーラお前はもう黙れ、バラカ、発言を許す」

「……姫様解放分の白金貨を稼げば良いんですかい?」

「いや、そういう訳でもないな、デレス、どうする」


 おっかさんは僕らが買った白金貨分を稼げば解放できると思ってるのかな、

 そんなの買った僕らのさじ加減なのに……少なくとも踊り子って超レア職業は興味ある、

 コロメがシカーダちゃんを育ててレベルが上がると何覚えるのか見てみたいっていう好奇心に似てるな。


「とりあえず自分たちの立場をわきまえさせましょう、いう事きかなければまとめて娼館に貸すとか」

「良いアイディアだな」

「それだけは!」「姫だけは、姫だけは何とか」


 そういえば今日レベルが上がらなければあのおっかさん手製ログハウスを壊すって話だっけ、

 まあ壊した所でまた建てそうだけれども、あれ無許可だよな? 冒険者ギルドにちょっと聞こうか。


「はいペロちゃん~」

「みゃあ」

「ついでにおじいさん~」

「すっかり寝てしもうたわい」

「バウワーさん、それいつもでしょ」


 これで回収は終わりか。


「よし、お前たち、奴隷たちに告げる、奴隷保護期間は今日までだ、

 事と次第によっては明日、いや日付けの変わった瞬間の今夜、解放できる時間となる、

 が、先ほども言ったがでろでろエクスタシーは解放しない、とっとと自室へ戻れ」


 さっさと居間から出て行く褐色奴隷さんたち、うん、彼女たちはまだ解放の資格は無い。


「ペロはどうする、奴隷の、隷属の首輪、外して欲しいか?」

「みゃあ……」

「もちろん外した後も護りはするが、連れ去られる危険が無い訳ではない、

 首輪があれば所有者がはっきりしているので、そういう意味では安全だが」

「……わからにゃい」

「そうか、ではとりあえずはそのままだな」


 うん、もうちょっと大人になるまで待とうかな。


「バウワー」

「ワシは、ワシは」

「良い大人だろう、奴隷で居続けたい理由はあるのか?」

「……奴隷でなくなっても、雇ってもらえるのかのう」

「奴隷でなくなった以上、永続になるかはどうかはわからぬが、

 今後もケルピーの世話を頼むし、そのうえで経歴に敬意を表して外してやる、いいなデレス?」


 うん、ちょっと巻き込まれた感あるからね、

 調べたら犯罪奴隷って訳でもないし、と軽く頷く。


「……ありがたいのう、お願いできるかのう」

「よし、ひとり解放は決まった、黙って出ては行くなよ」

「もちろんですじゃ」


 新しい働き口を探すのも大変だし、まあ。


「続いてヘレンは解放はしない、が、リューイ達はどうする」

「えっ、もう解放してもらえるんですかい?」

「ヘレンとも話したが、ヘレンがどうしても解放させてやりたいそうだ、

 足りない分の白金貨、さらにもろもろはヘレンがひとりで背負うらしい」

「リューイ、それでもその分を稼いで、迎えに来てくれるわよね……?」

「俺たち、一刻も早く解放されたいっす!」


 すっげえ必死だ、そりゃそうか。


「ニィナさん、いいんですか」

「ああ、ヘレンの意志を尊重する、あとはデレスの最終決定だ」

「ええっとクラリスさんは」

「私はヘレンさんの気持ちがわからないでもないので」

「わかりました、リーダーのニィナさんが良いなら僕も異論はありません」


 何か考えがありそうだし。


「ではリューイたち三人をまず解放するが、

 多くの借金は残る、それはヘレン解放の金額に上乗せで良いな?」

「「「うっす!!!」」」


 良い返事だ、

 ヘレンさんも目を潤ませて喜んでいる、

 きっちり働いてくれれば解放までそんなに時間はかからないだろう。


「あぁ、リューイ、私のリューイ、ありがとう……」


 涙がこぼれちゃった、

 あれ? リューイさんがヘレンさんの目を見ないのはなぜだろう、

 照れてるのかな……?


(まあいいや、今夜の奴隷解放には、立ち会おう)

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