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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第四章 上流勇者と奴隷眼鏡サモナー
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第149話 悪女勇者の狙いとシカーダちゃんが危ない!

「うおーい、おっはようさん」


 僕らが隷属の首輪を拾った時の事を詳細にサブギルマスルームで話している最中、

 その主であるガネスさんが朝遅くゆっくりと出勤してきた、メイド風受付嬢が声をかける。


「おはようございます、いま、あらためて経緯を」

「あそこのシャドウモンスって事はアレだ、ガス魔石が目当てだろうぜい」


 そういえばそんな話があったな、魔石までガス体だって。


「ガネス殿、その件もあるが後で大型水晶の件もある、忘れないでくれ」

「おうよ、まずはコロメの奴隷の件だーな、俺が帰る際に判明したぜいっと」


 サブギルマスの席に落ち着くガネスさん、

 ニィナさんは構わずガネスさんの方を向いて話を続ける。


「そっこうで使い捨てられたと思って良いか」

「場所が場所だからな、まずあの奴隷を連れて行って良い階層じゃない」


 うんわかる、僕でもヒヤヒヤする場所だ。


「だがイチかバチか、一気に強くするため、と言い訳できなくもないな」

「おうよ、死ぬ時はシャドウに取り込まれてだから普通は証拠が残らねえ」

「えっ、じゃあ首輪が出てきたのは珍しい事なんですか?」


 そう言った僕が水を飲み干すとなぜか注いでくれたのはクラリスさん、

 奥様モードみたいでちょっと嬉しい、そしてガネスさんが話を続ける。


「出したのはおそらくあそこなら、『シャドウフォースディメンション』だろう?」

「ああ、シャドウのリーダー的魔物だ、落とすとしたらあいつしか考えられない」

「えっ、ドロップの無い敵ですよね本来は?」


 ガネスさんが分厚い本を後ろから取り出す、

 魔物辞典だ、どうやらこのダンジョンのらしい。


「シャドウフォースディメンションはシャドウスブルスパティウムやシャドウアルトロディメンシオーネなど、

 シャドウ系の魔物の魔力供給源になっている、シャドウフォースディメンションの体内にあるガス魔石を、

 それぞれシャドウ内部で通じる亜空間を使って供給し、敵つまり人間を取り込んで得た力を共有して分け合う」

「ええっと、つまりどういう事でしょう」

「デレス、すごく雑にわかりやすく説明すれば、シャドウは『生きた悪いアイテムボックス』だと思ってくれ、

 そのアイテムボックスが『生きた悪いアイテム袋』を産み出し、冒険者をしまうとその身体を闇のガス体で消化する」


 あーわかりやすく言ってくれた気がして、わかった気がする。

 気がするだけかもしれないけれども。


「でも、それなら首輪も消化しちゃうんじゃ」

「そうでもないんだよなー、シャドウフォースディメンションは魔力の高い装備は消化に時間がかかるらしいんよ、

 だからよ高魔力の杖とかローブとかまたーーーに、取り込まれて一日経ってない犠牲者の装備が倒すと出るんよ」

「それが装備じゃなく首輪だったと、いや隷属の首輪も立派な装備か」


 じゃあ倒すのがもうちょっと遅れていたら首輪も消化されていたのか。


「まーなー、シャドウの内部はシャドウ同士繋がってーるから、

 下位のシャドウに取り込まれてリーダーの手にって事もあるだろうが、

 おそらくリーダーのシャドウフォースディメンションにガス魔石目当てで突っ込まされたんだろうぜい」

「ガス魔石って取れるんですか?!」

「ああ、魔力の高い者であれば可能性は高いが、それでも成功確率は一割程度だったハズだ」


 なにそのリスキーゲーム。


「むかーしはあった手なんよ、大きいガス魔石持ちのシャドウに自分から突っ込んで、手探りでガス魔石を取る、

 焼けるようにとんでもなく痛いらしい、そしてそのまま内部でやみくもに走り回って運が良ければ他のシャドウから出られる」

「でも十人に九人は帰ってこれないんでしょう?」

「それだがなニィナ、成功確率が一割じゃあない、生還確率が一割なんよ」

「持って帰れなかった者も含むという訳か」

「そういうことだぜい、それで一時期、奴隷を大量に使って摘出しようとした奴がいてその方法は禁止になったんだ、昔の話だがな」


 まあ、あそこまで普通に狩りに行ける人は限られているけれど、

 そんな非人道的な事をする高レベル冒険者が居るなんて許せないな。


「あの、ガネス様」


 おお、珍しくクラリスさんが発言を!


「なんだい聖女様?」

「そこまでして手に入れたガス魔石は何の材料になるのでしょうか?」

「そうだなあ、一番ポピュラーな使い道で、転移装置だなー」

「あっ」


 うん、察した。


「ガス魔石は普通に倒したんじゃ入手はできねえ、さっき言った中に入る方法以外は見つかっていない、

 だから冒険者ギルドや商業ギルドでは買い取りには慎重だが、国レベルで欲しがる所はいくらでもあるし、

 シャマニース大陸だと非合法で売買してくれる店もあるらしい、これ、ここだけの話だぜい?」


 ……アンジュちゃんとか転移できる人がガス魔石取ったと同時に瞬間移動、とかは無理なのかなこの感じだと。

 亜空間内部は亜空間内部にしか転移できない、とかそんな感じなのだろう、きっと。


「わかった、話を整理しよう」


 おお、ニィナさんがシメに入った。


「コロメは買ったばかりの奴隷でガス魔石を入手しようと魔法使いを突っ込ませた、

 取って出てくれば良し、駄目でも証拠は残らないと踏んで、そして失敗した」

「おうよ、パーティーの残りは僧侶と戦士だ、早く出頭させて釘を刺さないと次は僧侶が同じ目にあうかもな」

「助けられないんですか」

「とりあえずは自主的な出頭だ、今の話は予想、想定、推測に過ぎねえ、一気にレベル上げようとして失敗した、とか言われたら何も言えねえ」

「もちろんペナルティは科せられますが」


 とメイド受付嬢が捕捉。


「ええっと、ガス魔石を取りに行かせる人って魔力が高くないといけないんですか」

「だな、でないとガス魔石の場所を感じ取れねえ、だが運任せなら戦士だって突っ込ませるかも知れねえなあ」

「あとは目撃者の口封じも兼ねて、だな? ガネス殿」


 ニィナさんの恐ろしい予想にガネスさんが頷く、

 まずい、これだと下手するとシカーダちゃんまでも!


「ニィナさん!」

「わかっている」

「すみませんガネスさん、コロメの嘘証言を見破る、覆す高レベル水晶を造りたいんですが」

「おうよ、アンデッドダンスドラゴンの魔石だろう? あてはあるのかい?」

「もうその話に進んで良いですか? ちょっと急ぎたいので!」


 こうしてドワーフの姫と取り交わした話をガネスさんに打ち明けたのだった。

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