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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第四章 上流勇者と奴隷眼鏡サモナー
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第124話 新しい宿と本当の忘れ者


 アンジュちゃんが再び瞬間移動すると知らない豪華宿についた、

 三階建てだが貴族邸と言われてもおかしくない、立派すぎる。


「普通に入るよ~」


 入ると受付も豪華だが、やっぱり貴族の屋敷みたいなエントランスだ。


「アンジュ様おかえりなさいませ、デレス様いらっしゃいませ」


 綺麗な金髪美女が受付に座っていた、

 いやこれどう見ても貴族の屋敷を宿に改造したやつだ。


「ど、どうも」

「お部屋は一階部分、全てとなっております」

「は、はい」

「皆さますでにお食事はお済みですが、いかがなさいますか?」

「僕はもういいかな」


 とアンジュちゃんに先導され奥に連れて行かれる、

 いくつも部屋があり、お風呂場もあって突き当りの扉を開くと……


「無事に帰ってきたようだな」

「はい、ニィナさんが手を打ってくれたんですね」

「まあな、それで忘れ物は」


 アイテムボックスからセクシーパンサーマントとローブを出す。


「冒険者ギルドに預けてくれても良かったんですけれどね」

「……これだけか?」

「ええ、一着足りないとか?」

「いや、デレスがこれだけというのであれば、そうなのだろう」

「えっ???」


 まだ何かあったっけ。


「皆はもう、それぞれの部屋で休んでいる」

「あ、キューピーたち!」


 窓から見えるティムモンス小屋で、すやすや眠っている。


「お風呂いただきましたわ」


 湯上りクラリスさんが入ってきた!


「えっと後は」

「ヘレンは例の元仲間の部屋だが寝る時は別のようだ、

 獣人はテイマーの老人と一緒の部屋、風呂は二人揃って最後で良いそうだ」

「じゃ、じゃあ僕も早く入らないと」

「入ってこなかったのか」

「ええ、食事の真っ最中に呼び出しが来たので」


 別にそこまでタイミング測れる訳じゃないもんな、

 食事終わってお風呂入って出てさあベッドでってタイミングでコン、コンとか無理な話だ。


「デレスくん、一緒に入りたい」

「うん、洗ってあげるよ」

「……ボクも洗ってあげる、ね」


(よし、機嫌よくなった)



 お風呂へ行く前にニィナさんから聞いた話によると、

 この屋敷はやはり貴族の家の再利用だったようで、

 それを一階、二階、三階と分けているみたいだ、

 そして今夜泊まっている一階部分はオークション二日目までしか用のない人たちが、

 今朝、引き払って空室になった所をAランクパーティーになったばかりの僕らが借りられたと。


(そう、転移で気が付かなかったけど、やはりここは東A地区だった)

 

 もうアンジュちゃんが瞬間移動してもSエリアでなければ文句は言われないみたいだ、

 そんなアンジュちゃんを丸洗いした後、僕もほどほどに洗ってもらい、お風呂を満喫していると。


 ガラガラガラ


「デレス様、デレス様」

「あれヘレンさん、どうしたの湯気で眼鏡曇っちゃうよ」

「あの、商業ギルドの方が怒ってらっしゃいます」

「え、行ったのに」

「それがまだ来てないと」


 あっれぇおっかしいなあ、

 そうか受け取った報告をしてなかったからか。


「使いの人は」

「もう行ってしまわれました」

「面倒くさいなあ、アンジュちゃん、お出かけできるかな、今は駄目だよ素っ裸だから」

「……うん、わかってる」

「ちゃんと服を着てからね」


 報告だけだし、と時間をかけ身体を拭いて落ち着いてから服を着る、

 アンジュちゃんも幻術師モードだ、そしてお願いして西商業ギルドへ瞬間移動、

 夜もだいぶ遅くなっていて灯りも少なくなっている。


「正面が閉まってる、横から入ろう」


 人は、客はもういなくて受付がひとつだけ空いていた。


「すみません、ニィナスターライツのデレスです」

「……コロシアムに忘れ物がありますので至急、取りに行ってください」

「今すぐですか? もう閉まってるのでは」

「片付けられなくて困っているそうです」

「わっかりました、ではすぐ行ってきます」


 一応、受付の前から歩いて姿を消してから、

 アンジュちゃんに転移魔法でコロシアム前まで一緒にとんだ、

 こっちも当然、正門は開いてないので関係者入口へ行く。


「すみませんニィナスターライツのデレスですが忘れ物を」

「ああ、あれね、地下だよ、帰れないからさっさと持ち帰ってくれ」

「ご、ごめんなさい」


 ロビーに入ると小冊子が積み上げられていて絵とかも貼ってある、

 これは三日目のオークションで売られる不動産関係の資料だ、

 さすがに土地や家は現物展示できないのでここでこれを渡したり、

 見てもらったりして商談をする感じだ、人もいないし一冊貰おうかな。


(有料だったりして、まあいいか)


 アンジュちゃんも真似して一冊取っちゃった。


「さて地下、地下っと」


 すっかりがらーんとして灯りもぽつりぽつり通路を照らすだけ、

 置いてあった商品はみんなハケちゃったみたいで綺麗なものだ、

 本来なら闘技場の控室的な場所はそれ用の物とか置いてあるんだろうけど、

 まだオークションで借りられているためかそれもまだない。


「ええっと、こっちかな、ここは確かティムモンスターと奴隷の……あ!」


 僕は見てしまった、

 何もない薄暗いがらーんとした部屋の奥で、

 亡霊のように固まる九人の褐色女性たちを!


(すっかり忘れてたーーーーー!!!)


 表情も亡霊みたいになってるしー!

 やばい、めっちゃうらめしそうにこっち見てる!


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさーーーい!!!」

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