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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第四章 上流勇者と奴隷眼鏡サモナー
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第120話 運命の落札と最後に持って行った人


「アンジュちゃん! アンジュちゃん! アンジュちゃん!」


 思わずひっ捕まえて揺らしてしまう!」


「ちゃんと、1から2にしか、増やしてない、よ」

「倍だから! 倍はさすがに落札できちゃうから! できちゃったから!」

「……そうなの?」


 ニィナさんが僕を止める。


「あきらめろ、取り消しは効かない」

「あぁ、これでもう……」

「デレス様、まだ半分以上、白金貨は残っているかと」

「あとはサキュバスの開始価格だよね、でも一気にピンチになった」

「……ケルピーを今からでもあのドワーフに競り落としてもらっては」


 と自分はもう安心のヘレンさんがのたまわった、

 いくら僕にとって大切な仲間を手に入れるためとはいえ、

 マリウさんに身体だけではなく魂まで売るような事はしたくは無い。


「デレス、預け金は冒険者ギルドに預けてあるお金も含まれているはずだ」

「それを合せていくらになるまでに落札できるか、ですね」

「二百枚は残っていると思うが、こればかりはもう、どうしようもないな」


 状況をよくわかっていない様子のアンジュちゃんはクラリスさんに捕まえられた、

 僕も僕で余計な遊びをアンジュちゃんに教えてしまったのが原因だろう、

 もう余裕はなくなった、とはいえ残りの出品は二品、僕のお目当てと、僕らの出品だ。


「それでは皆様、みな皆様、あ、みなみなみーなさーま、

 たいっへんお待たせいたしました、ティムモンスターマニアの方も、

 即戦力が欲しい高レベルパーティーの方も、よくお聞き下さい……」


 場内を静かにして発せられた司会の言葉は……!


「……時は来た! それでは参りましょう、

 ミリシタン大陸から遠く海を渡ってきました、

 本日のダブルメインイベント一発目、幻獣ケルピー三頭です!!」


 あー別件別件騒いでいたおじいさんテイマーに連れられて、

 懐かしの僕の仲間、かつてのティムモンスター、

 ピンクの首輪のキューピー、ブルーの首輪のクーピー、

 イエローの首輪のパッピーが登場した、物珍しさにコロシアムが盛り上がる。


「それでは軽くケルピーのご説明を致しましょう!

 この幻獣は水場に生息する攻撃力が非常に高い馬系モンスターで……」


 さすがにこの距離だと気付かないかな?

 と思ったがクーピーが僕の方を見て鳴きはじめた、

 それに合わせてキューピーとパッピーも、テイマーの爺さん、なだめるの大変そう。


(ハービィなら『ステイ!』の一言でおとなしくなるんだけれどな)


「……という訳で水系の魔物では最上位クラスと言って良いでしょう!

 しかも操れる高レベルテイマー付き! それでは皆様、白金貨の計算はよろしいですか? 

 支払い能力を超えた落札は無効となります、それでは行きます……行きます……イッ……ちゃいますよぉ……」


 あーはいはいもういいからそういうの!


「それではぁ、白金貨三十枚から! スタァトゥッ!!」

「二百枚!」


 僕はいきなり二百枚で勝負に出る!

「二百二十枚!」「二百五十枚!」「二百七十枚!」


 あああダメかああああよし、通るかどうかわからないけど!


「二百九十枚!」


 どうだ?!


「さんびゃくまーい!」


 ですよねー!


「……他ありませんか?三百枚です、現在三百枚、考え中の方いませんか?」


 いけるかな? 駄目もとで三百十枚いってみるか!!


「はい? はい、はい……かしこまりました、

 申し訳ありません、現在最高価格を上げてらっしゃる315番の札の男性、

 預かり白金貨が二百七十六枚のようですので無効となります」


 助かったーーー!!


「では1111番の方、札を上げ直してください、

 それでは二百九十枚、これ以上はいらっしゃいませんか?」


 もう許して、お願い、もう許してえええええ!!


「札を裏にして待ってる方がいらっしゃいます、しばらくお待ちください」


 あ、さっきの亡国の一族を競ってた金持ち!

 仕返しって訳じゃないだろうけど持ってっちゃうつもりか?!

 でもそうなったら交換っていう手も使えるかも?


「いかがなさいますか? いかがなさいましょうか?」


 すっごい相談している、

 手ぶらじゃ帰れるかって感じか?

 あ、裏向けてた札を下ろした!


「はい、それでは白金貨二百九十枚でえぇぇぇ……落札ケテイッ!!」


 回転して派手な決めポーズをする司会を見て僕は思わず立ち上がる!


「やったあああああああああああ!!!」


 まわりの人達も拍手してくれる!

 良かったぁ、なんとか、おそらくぎりぎり購入できたあ!!


「先ほどの、高額女性奴隷の一団を購入された方ですね、

 大変良い買い物をされたと思います、落札おめでとうございます」


 僕に向かって深々とおじぎする、

 うん、僕はもうこの後、落札はしないからね、少なくとも今日は。


(テイマーのおじいさんが、なんとかケルピーを引っ込めた)


「……本日のオークション二日目、皆さま、来場ほんとうに、ほんっとうにありがとうございました、

 そしてお詫びをさせて下さい、緊急の入荷、突然のビッグニュースを皆様に十分に告知できなかった事を……」


 あ、いよいよだ、結局のところ開始価格はいくらだったんだろう?


「サキュバス……それは男の憧れ、男の夢、男の願望、

 相手が魔物なら、ペットを可愛がるのであれば、貴族の奥さまだって許していただけるかもしれません、

 ええ、本日最終最後の目玉商品、ダブルメインイベント本当に本当のメイン、

 それでは登場していただきましょう……ゴージャスサキュバス、出て、こいやーーー!!」


 最高の大歓声に包まれるコロシアム、もちろんほぼ全部が男声だ、

 連れてくるテイマーはヘレンさんから別のおばさんに変わっている、

 奴隷ではないから付属品を用意できた訳ではなさそうだ。 品て!


「いやあ女の私が見てもこのオーラは凄まじいものがあります、

 本当のセクシーというものを皆さんにお届けできていると思います、

 これぞまさにセクシーデリバリー! さあお持ち帰りできるのはどなたでしょうか」


 二体のゴージャスサキュバスは客席に愛想を振りまいている、

 余裕がなかったから仕方ないけど、もうちょっと間近で観察してみたかったかも?

 もっと言えば一晩くらいいやなんでもありませんはい、とニィナさんの気配に意味もなく怯えてみる。


「デレス」

「は、はいっ! ニィナさん」

「デリバリーなのにお持ち帰りというのはどういうことだ」

「ええっと、あのおばさん勢いに任せて語呂の良さで言ってるだけかと、生理が三日止まったとか」

「セクシーテイクアウトではないのか、いやデリバリーされたものをテイクアウトか」


 これからいくらで売れるかって時にのんきなものだ、

 まあ、あとは受け身だからね、テイマー付属せずで、おいくらで売れるのかどうか。


(うーん、一回くらいあの太ももに挟まれないかな、いやそんなことこっそりできやしないか)


 場内練り歩きというか軽く飛び回ったあと、

 いよいよ中央に立たされたサキュバス二体。


「総合的に見てもティムモンスターとしては最高レベル!

 使い道は色々! 魔王退治にも子守にも使えるゴージャスサキュバス、

 二体合せてそれでは……白金貨、九十九枚から、スターーーーーーーーッッッ!!」


 え、そんなにい?!


[百枚!」「百二十枚!」「二百枚!」「二百七十枚」「三百枚ー!」


 あームームー帝国の大臣さん、

 亡国美女一族を落札できなかった白金貨百枚をこっちに回したか、

 でも速攻で高値をつけられる、ケルピーで競ってた人も二百七十で勝負したが、

 通路を札を上げながら駆け入ってきた大商人みたいなのが三百を出した、

 たったいま到着しました間に合いましたって感じか、太った腹と足が重くて大変そう。


「……千枚、千枚だ!」

「「「「「おおおおおーーーーー!!!!!」」」」


 場内が最高潮に盛り上がる!


「はい一番の方から奴隷ティム部門、何十年ぶりかの白金貨千枚が出ました!

 一気に勝負に出たようです、さあさあ、いませんか? ほか、いませんか?!」


 あー大商人さんショックでひっくり返っちゃった、かわいそうに、

 これだけのために慌てて駆け付けたのだろうに……

 そして落札番号一番といえば!


「サブギルマスか」

「ですね、ガネスさん悪い顔してますね」

「確かに冒険者ギルドにテイマー部門があるが」


 いかにサブギルマスでも個人で出せる金額ではない、

 あのゴージャスサキュバスに何か重要な利用価値があるのだろう、

 直接交渉しなかったのはなぜだろう? 後で聞いてみよう。


「はい、さすがにこれは競る相手はらっしゃらないようですね、

 それではーーーー、一番の方にいいいいいーーーーー……」


 このあと三分くらいあのおばさんが踊ってたので省略、

 サブギルマスは、まーたニチャアと笑っていたよ。

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