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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第四章 上流勇者と奴隷眼鏡サモナー
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第107話 ウパーーーーーーーーー!!

「ウパーーーーーーーーー!!」

「来たぞ!」


 ニィナさんの二倍近い巨体が扉を開けたとたん走り込んで来る!

 ほんとうに一瞬、瞬間移動したんじゃないかと思うほどの速さで向かってきた原人型モンスター、

 真っ直ぐ来たその準魔王『ミステリーマジカルウパー』が構えるニィナさんにぶつかる!


「フンッ!」


 巨大なベルセルクソードを盾にしてその巨体を完全に止める!

 やばい、かっこいい、惚れちゃう、今夜めちゃくちゃにされたい!

 ……あらためて言うけど僕の婚約者である。


「デレス!」

「はいっ!」


 止めている間に僕もプライドソードを振り下ろす!

 が、素早く避けられてしまい一旦ステップを踏んで僕に向かってくる!


「ヘレン!」

「わかってます」


 ここまで時間を稼いだ隙に中に入り、

 室内の上空に飛んでいた素早いサキュバス、

 ブリーズサキュバスとゴールデンサキュバスが降下し抱きつく!


「ウパッ?!」


 遅れて奥から来た敵二匹、

 ブリスルウパーが援護に来るが他のサキュバスが妨害する!


「今だ!」

「ハイ……ゴールデンフィンガー!」


 ゴールデンサキュバスが返事をしたのち、

 彼女の魔法が発動しミステリーマジカルウパーの表情がとろけ、

 脱力し地べたに横たわった、恍惚の表情で涎を垂らしピクピクしている。


「アンジュ、どうだ」

「鑑定するね……駄目みたい、会ってから眠らせても枕は出さないみたい」

「そうか、じゃあこのまま扉を閉じて自然回復を待つか」


 早朝、アンジュちゃんが学校に行く前に準魔王のひとつを、

 学校が終わってからの合流後にすぐ跳べるように一旦様子を見に来た、

 とりあえず行きはちゃんと道を取らないと瞬間移動で来られないし、

 準魔王部屋の内部もまずは正面から入って様子を見ないと怖くて入れない。


「この二匹はどうしましょうか」

「手下のウパーか、とりあえず残しておこう」

「かしこまりました」


 サキュバスが遠くに投げつけるとアンジュちゃんの転移で閉じたばかりの扉の外へ出る、

 そして反省会というか先ほどの様子を五人で話し合う。


「手応えとしてはやはり強いな、だが動きを止めればこちらのものだ」

「しかしニィナ様、先ほどの手はもう使えないかもしれません」

「クラリス大丈夫だ、まだ切り札のアンジュが居る、しかし……」


 考え込むニィナさんが言いたいであろう事を僕が代弁する。


「魔法で眠らせても枕を出さない事がわかりました、

 ですから眠っている所を狙うしかありません」

「デレスが例の『カイラクオジサン』から枕を入手した方法は何だったか」

「はい、眠りそうな場所にあらかじめ『サイレントヴィーナス』の魔法をかけ、

 そこで張って、眠っている間に睡眠魔法で熟睡させて奪い取る方法です」

「ならばばずこの部屋に魔法をかけてアンジュの転移魔法にかけるしかないな」

「持久戦になりますよ、扉の前で寝泊まりする覚悟が」


 それならとっとと退治して、

 ボス部屋の鍵を手に入れた方が良いかもしれない。


「あと……」

「どうしたアンジュ」

「あの隣の、ブリスルウパーも、枕、出すよ」

「鑑定で見たのか」

「ウン……(コクコク)」


 ならチャンスは広がるな。


「わかった、あらためて作戦を練ろう、アンジュはもう時間だ」

「……どっち行くの?」

「これも一応狩りだからな、冒険者ギルドへ飛ばしてくれ、そのあとアンジュは学校だ」

「はぁい、いくよ」

「頼んだ」


 瞬間移動で朝の冒険者ギルド屋上へ、

 そして地上に降りた、手を振るアンジュちゃん。


「行ってきます」


 あ、行っちゃった、アンジュちゃんも一応、終わった報告……

 と思ったけど妖精の指輪はヘレンさんだしまあいいか、である。


「では行こう」


 勇者受付で一旦終わったよの手続きのあと、

 スマイルハンドメイドの皆さんと合流までまだ時間がある。


「ではデレス」

「はい、Aエリアですね、行ってきます」


 ニィナさんから手紙を受け取る、

 コロメに準ボス討伐のお誘いである、

 と同時にニィナさんとのペアハントのお誘いもある。


(住んでる部屋に投函するだけでいいか)


 

 情報屋に教えてもらったコロメの泊まっている宿、

 その部屋の前まで来た、一応呼び鈴を押してみる。


 ♪りんご~ん


「♪は~い」


 普通にいたー!!


 ガチャッ


「あら、あなたは」

「その、勇者デレスと申します」

「ふふ、かわいらしい勇者さんね~、ボクいくつ~?」

「十九です」

「あら~、入っていいよ~」


(部屋にお招きされちゃったあああああ!!!)


 中に入ると隷属の首輪をした少女がひとり居た、

 彼女に命令してお茶を用意させる、促されて座る。


「前にすれ違ったよね? それで、こんな朝から何の用かな~?」

「はい、実は今、準魔王の討伐を進めていて、お誘いに」

「まっ! こんな可愛い勇者様からお誘いか~」


 やばい、ちょっと色香に負けそう。


「うちのリーダーからの手紙です」

「はいはい、リーダーは入ってこれないの~?」

「実は僕だけ個人でAランクで、パーティーとしてはBなので」


 お茶が出されたので飲む、うん、ちょっと変な味。


「なるほどねー、考えておくねー」

「はい、是非」

「でもー、あたしはー、君となら組みたいかな~、なんて」

「ええ」

「個人的に、ね」


 あ、誘ってる、やばいやつだこれ。


「ご、ごめんなさい、もう行きます」

「ええー、もうちょっとゆっくりしていきなよー話くらい」

「ま、待たせているので、リーダーを、じゃ」


 慌てて部屋を出る!


「いつでも来てね~♪」


 ドアから出て一旦、部屋から遠ざかる!

 そしてエリアサイレンスの魔法を廊下にかけ、

 戻って扉に耳をつけると……


「ねえ、ちゃんと睡眠ポーション混ぜたの?!」

「はい……確かに」

「おかしいわねえ、すぐ眠るはずなのに、ちょっと飲みなさい」


(危なかったあああああああああ!!!)


 出る前にクラリスさんに状態異常防御の魔法かけてもらっておいて、

 良かったーーーーー!!!

 と、思わずウパーーーーー!!のポーズを取る僕だった。


(さあ、もどろ、戻ろう)

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