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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第四章 上流勇者と奴隷眼鏡サモナー
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第105話 火の鳥墜としと出会ったふたり

「よし、右に旋回してくる、距離を保て!」


 ニィナさん号令のもと、いま闘っているのは準魔王マグマフェニックスである、

 炎を撒き散らす巨大な火の鳥とそれを護るかのように飛ぶ子分のファイアーフェニックスふたつ、

 それを地上からと上空からで光魔法と闇魔法の挟み撃ちだ、

 道中で光属性のホーリーサキュバスと闇属性のバッドサキュバスを育成し

 それぞれLv15まであげ攻撃魔法を出せるようにした、もちろん空中を飛びながらだ。


「効いてるな、しっかり集中砲火を途切れさせるな!」


 地上からはクラリスさんがクリスタルエンジェルスタッフでホーリーシャワーの魔法を全体に、

 スマイルハンドメイドのユマさんとユーアさんとヤスさんは死神の鎌で闇の刃を放ち攻撃する、

 戦士のジーハァさんは本職ではないタンクをやるため大盾を構えているが相手の炎魔法はそれを溶かし尽くすため、

 予備含めて二回しか使えないが保険としては上出来だ、リーダーのセッキさんは勇者回復魔法兼、自分のパーティーの指揮官だ。


「まずい、四歩下がって! ファイアーフェニックスが来ます、ここはまずそっちに集中しますか!」


 あっちはあっちで生き残る事が最大目標なのでいいとして、

 上空班である僕らはとにかく準魔王に標準を合わせている。


「デレス、魔力は大丈夫か!」

「ええ、まだまだいけます!」


 アンジュちゃんが上空で瞬間移動を繰り返しながらベルベットデビルロッドでダークインテグレードの魔法を放ち続け、

 バッドサキュバスがポイズンブレスを、ホーリーサキュバスがホーリーウェポンの魔法を連射する、

 ヘレンさんは素早く飛べるゴールデンサキュバスに抱きかかえられながらサキュバスの指示、

 僕はもっと素早く飛べるブリーズサキュバスに抱きかかえられ光魔法ローリングトライアングルを真上から落とす。

 

「よし、左から別のファイアーフェニックスが来る、アンジュはそっちに攻撃を集中しろ!」

「あい!!」


 ニィナさんは一番見晴らしの良い場所で残りのサキュバスと一緒に全体を見ている、

 僕ら上空組が引きつけているのでそっちにはなかなか攻撃が行かないが、

 もしもの時はサキュバスが身を挺してニィナさんを護るらしい、まだレベルが低いサキュバスなので造り直しがきく。


(でもこれ、実は準魔王『部屋』なんだよな)


 広い渓谷のようだがちゃんと、ずっと上空には天井があり、

 端の方まで行くと岩壁に囲まれて扉以外からは出られない、物理的な場合だが。


「よし、そろそろ体力回復だ、一度に全員が同時にするなよ、攻撃の手は緩めるな!」


 地上はクラリスさんやスマイルハンドメイドのリーダー含む三人で回復でき、

 上空は僕とホーリーサキュバスが回復でき、ニィナさんも遠くから全体回復を撒いてくれる。


「ああっ、ファイアーフェニックスが!!」


 セッキさんの叫び声で見ると、

 動きが遅くなった護衛火の鳥二羽が、

 よれよれとマグマフェニックスに体当たり、というか吸収された!


「危ない、動きが増したぞ!」


 ニィナさんの言う通り素早さが上がり吐き散らす炎も増えた!

 だがこれは終わりが近いとも取れる、僕らは魔力回復ポーションも使い、

 敵がまとまったのを良い事に攻撃し、攻撃し、魔法をぶつけ続け、ついに……!!


『グエエエエエエエエエエエェェェェェーーーーー……』


 断末魔と共に両翼がもげ、みっつの炎の塊が地上へ墜ちた!!


「やった! やったぞ!」


 ニィナさんの喜びの声に続き上空地上からも歓喜の声が上がる!

 ついにシュッコ四大準魔王、最初の一匹を倒したのだった!!


「皆さん、やりましたね!」


 地上に降りた僕らをねぎらうセッキさん、

 遅れてニィナさんも高い所から駆け下りてきた。


「さあアイテムドロップだ、とはいえまだ燃えているな」

「……これなら水も効くかな」


 アンジュちゃんが天気魔法で大雨を降らすと水蒸気が立ち上る、

 しばらくして死んで魔力がもうないからかあっさり炎は消滅した。


「……くろこげー」

「アンジュご苦労、まずは魔石の位置だが、このあたりか」


 ベルセルクソードでチキンステーキを斬るように裂くと、

 やがて紅く大きな魔石が見えてきた、丸い、まん丸の水晶のようだ。


「ひょっとしてこれが、ボス部屋、魔王部屋の鍵になるのでは……?」


 僕のつぶやきを確認するかのように他の部分も探す、

 今度は普通の大きい火属性魔石がふたつ出てきたがこれは合体した護衛のだろう。


「あとは何かあるか?」

「こちらにありますぜ」


 さわやか戦士ジーハァさんが紅い弓を持ってきてくれた。


「アンジュ、鑑定を」

「……ファイアーバードボウ、両手弓、レア度S、構えて撃つだけで装着しなくとも炎の矢が出る、アーチャー専用」

「弓使いアイテムか、オークション行きだな」


 一応、肉も切り分けでアイテムボックスへ仕舞う。


「忘れ物はないな、アンジュ!」

「……いっくよー」


 無詠唱で準ボス部屋から一気に地上へ瞬間移動だ!

 魔力を十倍にするベルベットデビルロッドを装備したアンジュちゃんだからできる芸当だ。


「うわっ! まずは冒険者ギルドの屋上からなんですね」

「すまない、人にぶつからないためだ」


 ニィナさんの言葉が終わったと同時に人を避けた地面へ、

 すっかり夜だが冒険者ギルドはまだまだ賑やかだ。


「では勇者受付で並んでいる間に装備の回収を行う、おっと鎌のひとつはそちらのであったな」


 こうしてまずは今夜のミッション終了である。


「火の鳥の弓は明後日のオークションでいいな?」

「異論は無いですよ、あと魔石は……」


 リーダー同士の大人の会話、

 その間にアンジュちゃんが妖精の指輪をつけたヘレンさんを見る。


「……レベル五十四だよー」

「ほ、本当に?!」

「あとひとつで何か覚える、かもー」


 うん、良かった。



 勇者受付でレベルアップ確認や準魔王退治報告、明日の軽い打ち合わせのあと、

 素材置場で肉を置いてスマイルハンドメイドの皆さんとは今夜はここでお別れである。


「ではまた明日!」「ああ、明日な」


 さわやかに別れたのち商業ギルドでまたオークション出品のアイテムを渡す、

 魔王部屋の鍵となる水晶は明日また増える見込み、その時はまとめ売りしようという事になった。


「さあ遅いが夕食だ、と行きたいが……」


 そう、一応行かないといけない場所がある、

 と到着したのは地下の情報屋だ、まだ居るかな? と狭い通路を覗くと、

 丁度鍵をかけて出ようとしている大男と小さいリザードハーフだ。


「すまない店主、もう閉店か」

「いや、話だけなら」


 とそこでアンジュちゃんの動きが止まった!


「!!」

「!!!」


 視線の先はリザードハーフのヒョウちゃん、

 ヒョウちゃんも動きが止まってアンジュちゃんを見てる!

 見つめ合うふたり、僕は思った。


(あーーー、ついに出会ってしまったかーーー)


 なぜそう思ったかはわからないが、

 これが運命の出会いのような気がしないでもない、つづく。


♪デデーン


「なぜその効果音魔法?!」

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