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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第四章 上流勇者と奴隷眼鏡サモナー
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第103話 四種の準魔王と唐突な再会

 今後の方針を考えるために冒険者ギルドへ戻るも、

 人が多すぎて落ち着ける場所がない、勇者受付も十組くらい並んでいる、

 ここの顔役兄弟ジュノスさんと兄のシトラスさんも忙しそうだ。


「まずいな、これだとサブギルマスも捕まりそうにない」

「うーん、宿に戻ってそこで会議ですか」

「いや、準魔王を倒そうと思ってな、その詳細情報が欲しいのだが」

「困りましたね、あ! こういう時はあそこへ行きましょう」

「あそこ? どこだ案内してくれ」


 と、地下の情報屋へ行くも閉まっていて、夕方に戻ると張り紙があった。


「不在か」

「うーんどうしましょう、あと空いてそうなのは東A冒険者ギルドですけれど」

「欲しいのは情報だ、デレス、悪いがヘレンと一緒にふたりで行って調べてきてくれ」

「わかりました、できるだけ聞いて、そのうえで宿で会議しましょう」

「では先にDエリアへ行く、頼んだぞ」


 こうして僕はヘレンさんと昼下がりの東地区Aエリアへと向かう。


「そうだ、ヘレンさん」

「はいご主人様」

「女勇者ってなんで捕まえなくちゃいけないんだっけ?」


 ニィナさんの正義感は置いといて。


「……私の復讐に手を貸していただくためだったかと」

「あ、そうか! こういう目にあった仕返しをしたかったんだよね」

「ただ、その対価が私の奴隷契約と、その、デレス様に抱かれる事だったかと」


 そうだっけ?

 ……そうだそうだ、そして返事がまだだったはずだ。


「でも奴隷に落ちたのは自業自得だよね?」

「しかしながら、仲間として復讐に手を貸してくださると」

「うーん、確かにヘレンさんに襲われたのはその女勇者コロメのせいと言えなくもないけれども」


 地下門から魔導昇降機に乗るがちょっと混んでる、本当に冒険者多いな。


「デレス様、私、決めました」

「何を?」

「……抱かれます」


 そんな、こんな人が密集している所で言わなくても!


「ですから、リューイを、リューイを助けて下さい、お願いします!」

「……そんなに好きなんですね」

「ええ、例え一度裏切られたとしても、私の全てです」


 Aエリアに到着、オークションを控えてかこんな高級エリアでもお祭りモードだ、

 小柄で綺麗な女性に声をかけられそうになるも女性同伴という事で引き下がった、

 と思ったらまた近づいてきた、忙しいな、ヘレンさんが奴隷だと気付いたからみたいだ。


「いらっしゃいませA地区へようこそ、御用は……」

「ええっと娼館に用はないです」

「あらまあ失礼いたしました、ご存じだったのですね」


 と去ろうとするのを引き留める。


「ええっと冒険者もやってるんですよね?」

「はい、保証金が高いですが、アサシンを少々」

「おおそれは! 準魔王を狩ったりもします?」

「依頼であれば御同伴しますが内容によりますね」

「……まずは話だけでも一緒にどうでしょう」


 という事で東A冒険者ギルドまで連れてきてしまった。


「ふぉふぉふぉ、どうした今日は」

「モヒトさん! 例の人は」

「街中で一瞬見た気はするが、こっちには来ておらんな」


 あーじゃあやっぱここに住んでるのか?!


「今日は混んでますか」

「ややの、じゃが今は暇じゃぞ」

「ありがたい、個室で話を……あ、お姉さんお名前は」

「ジュニーです」

「今からちょっと情報を聞くので、気になった事があったら言ってください」


 四人で魔導昇降機に乗るとモヒトさんがなぜか三階を押す、

 着いた先は大会議室、わざわざこんな所に入れてくれるのか。


「あそこは四人では少々狭いのでな」

「確かに」

「という訳でホレ」


 手の平を見せてくる、あ、これはくれってことか、

 察してコモモをひとつ渡す、ついでにジュニーさんにも。


「ありがとうございます、珍しい果物ですよね」

「はい、食べながらで良いから聞いていて下さい、それでモヒトさん」

「はぐ、んむ、んぐっ」


 もう食べてる、全部呑み込むのを待とう。


「……んふう、ちょっと待て、水を」

「持って参ります」


 さすがヘレンさん気が利く、

 まずモヒトさんジュニーさんに渡して、

 次が僕とヘレンさんだ、そしてようやく落ち着いて本題に入る。


「モヒトさん、準魔王について教えてください」

「ここのか? 倒すつもりか?」

「はい、オークション目前なので、準魔王を倒してそのアイテムを出品しようかなと」


 エリクサーの材料以外にも何か良いアイテムを手に入れられるかも?


「確かに準魔王を倒して得られる、魔王の部屋への鍵はオークション対象になるの」

「あー聞いた覚えが、でもそれってみんな狙うんじゃ」

「準魔王部屋であっても一度入れば基本的に勝つか死ぬかじゃて、難しいの」


 あー幻術師が居ないとそうなるか。


「ジュニーさんは準魔王部屋へ同行を頼まれたら」

「お断りすると思います、生きて帰れる保証があれば別ですが」


 うんある、多分。


「準魔王って四体居るんでしたっけ」

「そうじゃの、まずはロッキードラゴン、土属性で岩ドラゴンと呼ばれた硬さ特化でのう」

「あーじゃあ魔法で倒せみたいな」

「それが魔法も効かん、攻撃力高い防御力高い魔法絶対防御持ち、おまけに体力も底なしときておるの」

「だめじゃん!」


 ニィナさんのベルセルクソードでごり押しできないかな。


「次にマグマフェニックス、火属性で燃えながら飛ぶ巨大な鳥じゃな」

「なら水魔法で」

「全部蒸発するぞ」

「なら剣で」

「全部溶かされるぞ」


 打つ手なし、なのか?!


「次に行った方が良さそうな顔してるの、三匹目はミステリーマジカルウパー、

 巨大猿人じゃが風属性でとにかく素早い、扉を開けて入った瞬間に仲間の首がへし折られていた、という情報がある」

「それは素早い! ジュニーさんアサシンなら素早いんですか?」

「まあアサシンなりに、ただ私はテクニック特化ですので」


 どんなテクニックなのかは気になるが話を進めよう。


「最後がヴィクトリアサキュバス、闇属性じゃ、絶対魅了で男は姿を見た瞬間にもう駄目らしい、

 なので戦うなら女のみのパーティーに限定される、お主は目隠しか後ろ向きでポーターに徹すれば行けるかもな」


 そんな無防備な!

 でも確かに僕以外みんな女性だから、チャンスがあるならここかも?


「言い忘れたがこやつら、四匹ともそれぞれお供の魔物を複数連れておるからの」

「えええ相手は単体じゃないんですか」

「しかもどれも強いらしいの、そっちの対策も必要になるのう」


 うーん、お供の情報も知りたい。


「ジュニーさんだったら選ぶならどれですか?」

「ミステリーマジカルウパーと素早さ勝負と言いたいですが、無理であれば消去法でサキュバスでしょうか」

「女性ですものね、モヒトさん、それぞれのお供の情報は」


 こうして聞いた情報をメモしつつ、

 それぞれの準魔王部屋へのルートも教えてもらった。


「ありがとございます!」

「礼をしたいのならば、もういっこじゃな」

「はい、どうぞ」


 コモモふたつでこの情報量なら安いものだ。


「ヘレンさん、ここまでの情報で気になった所は?」

「……やはりレベルを上げたいです、私の」

「前もそんなこと言ってたね」


 うん、レベル五十五くらいにはしておいてあげたいかも?


「わかりました、あとジュニーさん」

「はい」

「ここまで聞いて参加できそうですか?」

「……倒せる確信もしくは逃げられるルートがあるのであれば」

「逃げるルートはあるよ、多分」


 ちょっと断定できないのは本当にピンチになった場合、

 さあ逃げよう、っていう時に僕やニィナさんが引きつけておいて、

 その間に雇われの彼女を逃がすのが理想的だけれども、

 そこまでのまずい状況になったら彼女を置いてまず先に

 僕らをアンジュちゃんが逃がさざるをえない状況になるかもだからだ。


「あらためて依頼を娼館の方までいただいたら検討させていただきますね」

「うん、その時はお願いします」

「で坊主、この女の抱き心地はどうじゃった」

「いやいや抱いてませんって」

「これでも元Aクラスのアサシンじゃぞ」


 ええ、有名なの?!


「ジュニーさん、じゃあどうして娼館に」

「私、男の人を狂わせるのが、大好きなんです♪」

「あー、なるほど」

「という事で、そちらの方はいかがですか?」

「ごめんなさい今は真面目モードなので、遊びモードの時に」


 ってそんなのあったっけ。


「今日は上には行くか?」

「あ、挨拶くらいはしていこうかな」

「コモモだけなら渡しておいてやるぞ?」

「いや、いいです」


 ぜってー食うだろう……


「という事でジュニーさん、ありがとうございました」

「いえ、ではご連絡をお待ちしております、どちらの方でも、両方でも」

「両方って」

「コモモありがとうございました、帰って食べますね」

「はいはい、ではここで」


 ジュニーさんモヒトさんは三階から下へ、

 僕とヘレンさんは五階への魔導昇降機に乗るため待機、

 と思ったら上から降りてきた昇降機の中に、

 星のイヤリングをした女勇者が! コロメだ!

 奴隷の女性をひとり連れている、また新たな犠牲者か?!


「ではの、とはいってもワシは引き続き一階におるがの」

「はい、では」


 ヘレンさんが飛びかかりそうになったのを、

 僕は背中に手を回して止める、うん、気持ちはわかるが、

 ここで暴力沙汰を起こしても何の得もない、モヒトさんらが同乗し

 昇降機が下がって行ったあとでヘレンさんを見ると凄い顔をしていた、

 でも殴ってスッキリした所で迷惑こうむるのは奴隷の主の僕だ。


「チャンスはあるから」

「でも、でも」

「わかった、奴隷解放の件はニィナさんに言ってみる」


 さすがにかわいそうになっちゃった。



 五階でマリーナさんにコモモを渡しながらこっそり情報を聞こうとするも、

 Sエリア受付から反対側のAエリア受付の会話までは聞こえないらしい、

 当然っちゃあ当然だなと思いつつ一階へ降りモヒトさんに一礼して出る。


「帰る途中に会っても襲い掛かっちゃダメだよ?」

「……ご命令とあらば」


 イライラしているヘレンさんを連れて帰路へ、

 レストラン街で多分、覗き込めばどこかに居そうな気がして足早に去る、

 一旦降りる魔導昇降機でもし、はちあわせたらさすがに止められないかな、

 と思ったが同乗は住民ぽい人達だけで大丈夫そうだ。


(お人よしだけど、魔王を倒せたらヘレンさんを解放でいいかも)


 そうして一旦降りてDエリアの宿まで戻った僕たちは、

 ニィナさんクラリスさんに情報を告げる、コロメに会った事も含めて。


「それでニィナさん、どの準魔王を倒しましょうか」

「うむ、それは当然、全部だ」

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