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草食勇者と淫乱バーサーカー  作者: 風祭 憲悟@元放送作家
第四章 上流勇者と奴隷眼鏡サモナー
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第99話 豪華武器レンタルと思わぬ緊急報告

「本当にお借りしても良いのですか?!」

「ああ、アンジュも居ないしな、少しでも力になればだ」

「では、お言葉に甘えて」


 スマイルハンドメイドの皆さんに

 マリウさんから強くしてもらった武器を渡す、

 クリスタルエンジェルスタッフを賢者ユマさんに、

 死神の鎌を魔法使いのヤスさんと僧侶のユーアさんに、

 あと漆黒の鞭はうちのヘレンさんだ、みんな持ってそれぞれ感触を試している。


「ここで魔法を発動させるのはまずい、外へ出よう」


 するとあいかわらずダークワイバーンの群れが来る、

 ダークネスワイバーンの下位種とはいえ肉が食えるだけマシだ、

 まずユマさんが挨拶代わりに杖付属の魔法を使ってみる。


「ホーリーシャワー!」


 光の雨が降り注ぎダークワイバーンの身体を貫きまくる!

 あっという間に何十対もの敵を落とした、これはつよい、

 迷い込んだ目玉モンスター『イビルアイ』までも、まとめてだ。


「おお、これは楽だな、魔力もすぐ戻ってくる」


 遅れてダークワイバーンがまた数匹かやってくる。


「これ、振るだけで良い気がします、ふんっ!」

「私も、えいっ」


 ヤスさんユーアさんが鎌を振ると真っ黒な刃の影が敵に飛び、

 スパッと切り裂いた! 勝手に敵を追尾して当たってくれているようだ。


「すごいすごい」「なにこれ自動?!」


 びっくりだ、無詠唱が使えなくても魔法が黙って出てくれるようだ。


「ヘレンさんは?」

「まだ残っている一匹に使ってみます、ハアッ!」


 スパッ! と鞭で首を切り落とした!


「凄いけどこれって味方なサキュバスを叩くのは危険では」

「試してみますね」


 すでに出していたサキュバスにぺしんと当てると切れはしない、

 敵に当たっている時と味方の魔物に指示を出す時は形状が変わっているっぽい、

 そして合図を出されたサキュバスたちは浮く浮く、普通に羽ばたいて浮きあがった。


「ヘレンさん凄い! 鞭装備の効果でサモンの能力も上がっているんでしょうね」


 アンジュちゃんが居るうちに鎌と鞭の詳細効果を聞いておけばよかった。


「……これなら妖精の指輪をブリーズサキュバスにしなくとも」

「いえ、サモンはレベルが上がると魔法が使えますから、順番に育てましょう」

「デレスが決めた事だ、ヘレン、従ってくれ」

「……かしこまりました」

「一通り終わったらヘレンさんにもつけてもらうから」


 やっぱりサキュバスより、

 サモンよりも自分が強くなりたいんだろうか、

 そんなに急がなくても良いのに。


「ではとりあえず昨日の場所に戻ろうか」


 結構な数のダークワイバーンその他を倒しつつ、

 あの不味いダークネスワイバーンの繁殖地まで潜る、

 やはりあれだけ撃滅すれば今日はあまりいない、というか、いても逃げて行った。


「今日は反対側まで行こう」


 アンジュちゃんが居ないので飛べるサキュバス二匹にひとりずつ運んでもらう、

 時間がかかるので崖の島を念入りに探索しているとおかしな場所を見つけた。


(あれ? この岩、くぐれる)


 錯覚を利用したかのような、

 俗に言う『トリックアート』のようになってる岩の隙間を入ると、

 中に蠢く物体が、いや人型だ、灰色の布をまとった普通サイズひとり、

 あとちっこいのが四人か、怯えて抱き合っている、これは、イビルウィザードだ!


「恐がっているのか? あれ、これって」


 さらに奥に箱があって、中に幻術師の杖が八本くらいある!

 どれもこれもカルポと名前が掘られている、ライト魔法でよく見たから間違いない。


「あーお前たち、母と子か」


 つまり昨日倒したのは……

 いけない、魔物でもこういうのを見ると心が痛む。


(……将来、ティムできるかもしれないしな)


「これだけ貰っていくよ」


 幻術師の杖を三本掴んで去る、

 一人いや一魔物一本あればまあいいだろう、

 外へ出るともう仲間の半分以上が運ばれていた。


「どうしたデレス、何か居たのか」

「……いいえ、何も居ませんでした」

「そうか、デレスがそう言うなら、そうなのだろう」


 ニィナさんが物わかり良さそうに言ってくれた、

 うん、甘いと言われてもこれでいいや。


「それにしてもブリーズサキュバスもちゃんと運んでくれてますね」

「ヘレンの魔力が例の鞭で上がっているのであろうというのと、

 道中でレベルを上げたみたいだな、これなら他のサキュバスもすぐ上がる」


 こうして全員が運び終わったあと、

 反対側の崖を超えようとしたが裏側で見えなかった谷底へ続く道を見つけた。


「どうする、降りるか」

「どっちみち危険でしょうけど底は見てみたいですね、セッキさんたちは」

「ついて行きますよ、これだけ良い武器をお借りしてるんです、怖い物はありません」


 みんなちょっと、はしゃいでるなぁさわやか集団が。


「急な坂になっている所もあるので気を付けて下さいね」

「おいヘレン、ゴールデンとブリーズを先に行かせて誰か落ちたら受け止めさせろ」

「……かしこまりました」


 こうして谷底までつくと、そこはアンデッドの巣窟だった。


「任せてくれ、とうやっ!」


 ユマさんのクリスタルエンジェルスタッフで面白いようにアンデッドワイバーンや

 アンデッドゾンビを倒していく、ゾンビはこれは元冒険者だな、多分。

 そのばらばらになった骨からニィナさんが何か見つけた。


「隷属の首輪がはめられていたようだ」

「ええっと確かこれ、身元がわかるんですよね」

「そうだな、持って帰るか」


 合せて六つの首輪を収納する、死体はいいや。


「すっきりしたな」

「いやあこの杖のおかげですよ!」


 こうしてさらに地下への道を進み、

 地底湖で魚人サバオリーを退治したり、

 鹿型モンスターであるブリコーを倒したり、

 なんだかよくわからない人型モンスターであるウパーを倒したり、

 そうして進んでいるとゴールデンバッドの群生地に着いた。


「うわ! すごい! ニィナさん、ここ多分、手付かずですよ」

「だな、ユマ、あと鎌持っているふたりも、魔石を傷つけるから魔法武器は使うな」


 セッキさんが前に出る。


「今回は我々の番ですよ、任せてください!」


 そう言ってはりきって倒し、

 金魔石を沢山ゲットしてくれたのだった、

 僕らはタンクビートルやサイレントベアーなど美味しくない敵を倒す事で

 彼らがゴールデンバッドのみに集中できる環境を整える、

 そうして集まった金魔石は百を超えた、大猟、大猟である。


「ニィナスターライツの皆さん、ありがとうございます!

 これは昨日の空振りを取り返した所ではありませんよ」

「そうか良かった、では一旦帰ろうか」

「そうですね、戻りましょう」


 階数的には長く歩けば東地区のSエリア行き魔導昇降機を探せそうな気がしたが、

 大人数で違うパーティーも居るのでここは素直に来た道を戻る、

 きつい坂道を身体が大きな人はサキュバスのアシストを得て登る。


「ふう、島の上まで来れば後は渡ってしまえば安心だ」


 ……イビルウィザードの母子家庭をみんなに気付かれないように、と。


「どうしたデレス、渡るのは最後にするか?」

「はい、僕は一番後でいいので」


(できればずっと、誰にも捕まらないでいてほしいな)


 こうして僕らは時間をかけ崖を飛び越え、

 元の二百階魔導昇降機まで無事に戻ったのだった。



「ニィナスターライツの皆さま、そしてスマイルハンドメイドの皆さま、

 サブギルドマスターがお呼びです、至急、来ていただきたいそうです」


 行きの時には居なかったハイテンション受付おばさんが真面目トーンで話した、

 これは何かあったのだろうとみんなで行くが貸した武器の回収は忘れてはいない。


「いやあ助かりました、これオークションに出すんですか?」

「鎌は出そうかと、白い杖の方は無理だな、こっちの鞭もだ」


 とニィナさんがアイテムボックスへ全部仕舞い込んでいるうちに、

 サブギルマスルームにつき、ノックして中に入った。


「うおーい、大変な事になったぞ」

「どうしたんですか?」

「まあ、みんな入って扉を閉めろ」


 言われた通りにし、みんなでサブギルマスことガネスさんを見る。


「イビルウィザードの件だ、まず軽い所で幻術師の杖だが、

 カルポと書かれていたそうだが、名前の正体がわかった」

「え、じゃあやっぱり元は人だったんですか?」

「いや、製造元の名前だ、もう百五十年くらい前の職人集団だがな」


 だーから同じ名前のが八本もあったのか。


「そしてこっちが本題だ、イビルウィザードを解体した結果なあ……」


 そう言ってアイテムボックスから取り出した物に、僕は見覚えがあった!

 ニィナさんも勘付いたようで興奮気味に聞く。


「サブギルマス、これは、もしや」

「ああ、エリクサーの原料になる『レア魔石』だ」


(あの母子を捕まえろーーーーー!!)

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