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クリスは楽しく過ごしたい!  作者: かるた
第二章 学園で楽しく過ごしたい!
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課外活動のはじまり

 今日は楽しみにしていた課外活動の日だ。わたしは期待に胸を躍らせてベッドから飛び起きる。


「おはようございます、ローゼ!」

「おはようございます、クリスティア様」

「今日は課外活動です! わたし、とても楽しみにしていたんですよ!」


 課外活動は一年生全員で森の中を散策するという催しだ。今日のためにわたしも体調を整えていたのだ。ローゼに気合十分であることを示すために両手に握りこぶしを作る。


「存じ上げておりますよ。クリスティア様が楽しそうで何よりです」


 そんなわたしを見たローゼはクスリと笑うと、セレスタお姉様のためのハーブティーを準備し始める。


 のんびりした朝の時間をセレスタお姉様と過ごし一緒に食堂へ向かうと、既にきょうだいとスピネルが席について朝食をとっているところだった。


 わたし達が近づいて来たことに気付いたスピネルはこちらに向けて手をヒラヒラと振って来る。


「クリス、おはよう」

「おはようございます、スピネル! 今日は楽しみですね!」

「ああ、課外活動だもんな。朝食を食べ終わったら集合場所に向かおう」

「ええ! 早く行きたいです!」


 わたしが熱を込めて課外活動について話すと皆も楽しそうにそれを聞いてくれる。しかし、アレキサンダーお兄様とカーネリアお姉様の姿が見えない。わたしは辺りを見回しながら訊いてみる。


「二人はどちらにいらっしゃるのでしょうか?」


 別の場所で食べているのかもしれない二人を探すが、どこにも二人の姿は見当たらない。


「姉上は朝の訓練をしていてたまに遅れてくるが、兄上がいないのは珍しいな。仕方ない、朝食が終わったら部屋まで様子を見に行ってくるよ」

「ありがとうございます、ヘリオドールお兄様! 先日も体調を崩されていましたし、大事でないと良いのですけど……」


 その後はわたし達が食べ終わる頃になってカーネリアお姉様が朝食に来たことを除いては、課外活動の話で盛り上がって朝食は終わった。


 結局アレキサンダーお兄様は朝食の席に顔を見せなかったので心配だが、ヘリオドールお兄様が様子を見に行ってくれるそうなので、わたしは自分の準備をすることにした。


「行ってらっしゃいませ、クリスティア様」

「行ってきます、ローゼ!」


 朝食を終えたわたしは自分の部屋に一度戻り、水筒を入れたカバンを肩から掛けるとローゼに挨拶をして部屋を出た。


「それじゃあ行こうか、クリス」

「はい、スピネル! 行きましょう!」


 わたしの準備を待っていてくれたスピネルと寮の一階で合流すると、課外活動の集合場所である講義棟の前まで一緒に向かった。


「おはようございます、皆様!」


 講義棟の前に到着すると既に何人かの学生が集まってきており、ドロッセル達一年生代表も既に集まっているようだった。


「ごきげんよう、クリス! 本日は良い天気ですわね!」

「ああ、僕も今日の課外活動は楽しみにしていたんだ。シリウスもそうだろう?」

「もちろん私も楽しみにしていましたよ」


 ワイワイと皆で話し合って今日のことを話し始める。課外活動では五人で一班を作って行動するようにローレンツ先生から言われたので、代表四人とスピネルを加えた五人で班を作ったのである。


 しばらく五人で話し合っているとローレンツ先生がやってきて、その場にいる学生に声をかける。


「皆集まって来たみたいですね! 代表の皆は他の者が揃っているか確認して、報告に来てください!」


 ローレンツ先生がそう言うと国毎にまとまって集まり始める。わたしはエデルシュタインの学生二十名がきちんといることを確認するとローレンツ先生に報告する。


「エデルシュタイン二十名、全員揃っています!」

「報告ありがとうございます! それでは皆揃っているようなので、これから森の入口まで出発します!」


 そう言ったローレンツ先生について歩いていくと森の入口に到着した。そこでローレンツ先生は今日の課外活動の目的地を発表する。


「今日は森の奥にある高台まで各班に分かれて向かって貰います! 途中迷子になることはないと思うけど、迷ってしまった時のために各班に一つ狼煙の魔道具を渡しておきますね!」


 ローレンツ先生はそう言うと背負っていたカバンの中から手で持てるくらいの小さな筒と地図を取り出して、それぞれの班に配り始める。わたし達の班では筒をスピネル、地図をシリウスに持ってもらうことにした。


「ここにある魔石に魔力を流せば使えるので、何かあったらすぐに使用するようにしてください!」


 ローレンツ先生は自分が持っている狼煙の魔道具の底の部分を指差して使い方を説明すると、わたし達の方を見て口を開いた。


「他に何か質問はありますか?」


 特に質問はなかったようで誰からも手は上がらなかった。それを見たローレンツ先生は一度頷くと大きな声で皆に呼びかける。


「それでは課外活動開始! 皆、気を付けて目的地まで向かいましょうね!」


 ローレンツ先生の掛け声を合図にわたし達の課外活動が始まった。


「まずは高台までの道を確認しましょう!」


 わたしがそう言うと皆も頷く。今日の課外活動では目的地である高台までは、好きな道を通ってもいいことになっている。今は朝なので昼食までに到着していれば、その間は好きに行動して良いのだ。


 わたし達はローレンツ先生から受け取った地図を広げると、現在地と目的地に印をつける。高台に向かう道は指定された三つのうちから選ぶようだ。


 一つ目は川沿いを通って高台に向かう道。遠回りになるが川の流れに逆らって上流の方に向かうので迷うことはほとんどない。それに川の上流には滝もあるそうだ。


 二つ目は森の中を直進して高台に向かう道。この道は一番早く到着できるが、森の中を通っていくので一番大変な道らしい。


 三つ目は草原を通って高台に向かう道。森を回り込む形で歩いていくので遠回りにはなるが、途中には牧場もあるのでそこで少し休憩もできるようだ。


 わたしは皆の顔を見回して、どの道にするか相談を始める。


「どの道にしましょうか……」

「とりあえず森の中以外の道にしないか? 森の中を直進しても早く着くだけであまり得られる物がなさそうだ」

「そうですね……皆はどうですか?」

「わたくしも森の中を通るのは反対ですわ!」

「僕も森の中は遠慮したいな」

「私も森の中は反対なので、皆の意見をまとめると草原か川沿いで良さそうですね」


 スピネルが提案してわたしが三人を見ると、三人も森の中は反対だと頷いてくれた。シリウスが草原か川沿いでまとめると、ドロッセルが元気良く口を開いた。


「それならわたくしは牧場のある道に行ってみたいですわ! むーちゃんみたいなムイムイを見られるかもしれませんもの! むーちゃんも行きたいですわよね?」

「む~!」


 そう言ってドロッセルはわたしの横を浮かんでいたむーちゃんを撫でる。彼女もむーちゃんを気に入ったようで、むーちゃんのような使い魔が欲しいと言っていたのをこの間耳にした。


 牧場にはきっとムイムイ以外にも様々な魔獣がいるのだろう。そう考えてわたしが牧場に思いを馳せていると、ミステルが別の道から行こうと提案する。


「待ってくれ、ドロッセル。僕は川沿いも楽しそうだと思う。川に沿って歩けば涼しいだろうし、泳いでいる魚も見られるかもしれない」


 そう言いながらミステルは川沿いを提案してくる。確かに川沿いならば休憩の時に川で少し遊べるかもしれない。


 わたしが川沿いと牧場、どちらも捨てがたいと思い悩んでいると、まだ意見を出していなかったシリウスが口を開いた。


「私はどちらでも構わないですよ。どちらも楽しそうですからね」

「俺もどっちでもいいな。クリスはどうするんだ?」


 そう言ってスピネルはわたしに目を向けてくる。どうやら二人はどちらでも構わないようだ。わたしは皆の顔を見回すと自分の意見を述べる。


「わたしは牧場に行ってみたいです!」


 牧場には行ったことがないし、ドロッセルの言う通り様々な魔獣を見ることが出来たら面白いだろう。わたしがそう言うとドロッセルは嬉しそうに、ミステルは苦笑いをしていたが、特に反対もなく話し合いは終わった。


「それでは牧場に寄り道してから高台に向かいますわよ!」

「おー!」


 ドロッセルが元気良くそう言うと、わたし達も掛け声を返して牧場へと向かって歩き始めた。

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