晩餐 ~オクティビア1~
魔獣討伐に成功した一同は、宴で労われる。
男どもの、特にオクティビアの思惑が炸裂する。
アレン、頑張れ!
取られちゃうよ。
~討伐後~
ささやかながら、領地クリスティン邸で宴を開催した。
使用人達には突然のことで申し訳ないが、悪役令嬢の我儘と言う事で我慢してもらいたい。
と言っても堅苦しいものでは無く、現世で言う居酒屋感覚のものだ。
私は、一応若い令嬢なので一足先に休ませて貰う事にした。
「では、皆さまほどほどにお楽しみくださいませ。」
と挨拶を済ませ退散した。
カサンドラを見送ったオクティビアは、アレンに向かい
「おい、どう言う事なんだ、ちゃんと説明しろ。」
と半ば酔っ払いの様に絡みはじめた。
どうでも良いけど、今日だけでえらい気安い感じになったな。次期宰相様よ。
「どう言う事も何も、今日ご自身で見て感じた通りですよ。
俺だってお嬢の全てを知ってる訳じゃないんですから。」
「ぐぬぬ。全てって何だ!
全ての手前までなら知ってるって事か!」
「オクティビア様、酔ってます?」
「酔ってなどない!良いから答えろ。」
普段、紳士なだけにギャップで怖い。
「お嬢には、何か独特な才能と言うか技術と言うか、そう言う我々には無い感覚の様なものがあるんですよ。」
「しかし、才能だけで魔法剣を使えるものか?ぶっつけ本番だっただろう。」
「・・・服、燃えてましたからね。」
「服か、、、うむ。その責任は私が取る。ジークには悪いがそれで全て丸く収まる。」
「何勝手な事言ってるんですか!そんなのここにいる全員じゃないですか!
それに、ジークフリート様に悪いってどう言う事です?」
「それは言えん!」
「そんな!」
「国家機密だ。」
「もう分かりましたよ。そう言う事なんですね。」
「だが、もうそうは行かん。」
ニヤリと勝ち誇った笑みでアレンが言う。
「ふふ~ん、俺はそんなの気にしませんからね。」
「な~に~・・・、止めておけ。悪い事は言わん。伯爵家次男には荷が重すぎる。
お前の事は、悪い様にはしない。私のところに来い。」
「結構です。」(正論過ぎて腹が立つ。)
「まぁまぁ、その辺にしておいたらどうですか2人とも。」
と見かねたケリーが二人に割って入る。
「どうだ?お前達3人もうちに来ないか。魔獣と対峙した経験を買うぞ。」
「有難い話ですがね。お断りします。
俺達は、これでも長年、侯爵家に世話になってる。
それにね、お嬢様はその内とんでも無い事をやらかす気がするんですわ。」
「・・・、カサンドラ嬢について行くと。」
オクティビアは、納得しつつも憮然とした態度を取る。
「その方が面白いでしょ? ね。アレン様も。」
「その通り。」
(今日の様な満足感は間違い無くお嬢あってのものだ。だけど、俺はそれだけではない。)
「よし。そうなら、カサンドラ嬢を娶ればお前達もついて来るな!」
引き下がらないオクティビア。
「その時はお願いしますぜ。
ま、そんなことは無いと思うけどな。
なんせあの強さだ、聖騎士にでもならない限り釣り合わないさ。」
悪びれずにケリーが言う。
アレン「・・・(聖騎士…。)」
「うむ。だが、気掛かりもある。彼女は確かに強い。強いが…それ以上に危うさがある。」
「分かってるじゃないですかオクティビア様。」とケリー。
「ふん。私の目はふし穴ではない。
とにかく、彼女を放っておく事は出来ない。」
オクティビアは、怒気を含めテーブルを拳で叩いた。
「目が座ってますよ。閣下。」
ふざけたようにケリーが言う。
「そろそろ、このあたりでお開きにしませんか?」
「何!まだまだ飲むぞー!」
それを聞いた公爵家の連中は、慌てて嗜めつつ、オクティビアを連れ帰った。
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