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悪役令嬢は氷結の戦乙女  作者: marumarumary
第一部 氷結の戦乙女
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お茶会は二次面接

ジークは、意外とフランクで良い人。

~お茶会の日・再び王城・中央庭園テラス~


「本日はお招きいただき恐悦至極に存じます。殿下には・・・」

私は、王太子ジークフリートに丁寧に淑女の礼をとった。


「堅苦しい挨拶は、それくらいで良いよ。

 さぁ、こちらへカサンドラ嬢。キャシーと呼んでも?」


「はい? 殿下、それはどのようにお答えすれば・・・」


「困らせてしまったかな。まあ良い。さあ座って」


「それで、他の方々は何処に・・・」

ジークに招き入れられ、私はすごすごと着席する。


「ん? 我々二人だけだよ? 何なら給仕達も下がらせようか?」


「いえ、その、、、結構でございます。」

ど、ど、ど、どう言うこと?

二人きり?

王太子はなんかテンションが違うし。


「では、いただこうか。」


勧められて紅茶を飲んでみる。

「あ、美味しい。」

上品で、それでいて優しい味だ。

場所と状況も一瞬頭からも抜け落ち、思わずほっこりしてしまう。

これはクッキーかな。焼き菓子系もいただこう。

ふふふっ、美味しい。意外と楽しいかも。


~~~~


「キャシーは、どんなものに興味があるのかな?」


キャシー呼びは確定なんだ。

「はい。当面はパワーですね。」


「パワー?パワーとは何かな?」


魔力とかも含めて戦闘力なんだけど、それだとちょっと令嬢らしくないよね。

「あの、失礼ですがお手をお借りしてもよろしいでしょうか?」


「どうぞ。」

ジーク(初心な様に見えて、意外と積極的なのかな。)


差し出された手を両手で包み込み、軽く魔力を流してみる。

私の特異な魔力探知だ。


力強く、暖かく、そして少し憂いを帯びた魔力が流れて来る。

うっとりする様な透き通った魔力だ。


「・・・素晴らしい魔力ですゎ。」

流石は王太子、そしてストーリーの王道ヒーローと言うべき人物なだけある。

その手は大きく、柔軟であり、それでいて剣だこでゴツゴツしており、強く男を感じさせる。

くそ、私では全く足元にも及ばない。

いったいどんな鍛錬を詰めばこれだけのパワーが得られるのだ。

つまらない嫉妬で少し落ち込む。


「え? その・・・パワーとは魔力のことかい? それで何が分かったのかな?」


「ジークフリート殿下、貴方様はもの凄く努力を重ねて来られたのですね。」

しみじみと感心して言ってしまった。


「えっ。いや、それは物心付いた時から王族として、その・・・」

   (僕は一体何を言おうとしているんだ。急に照れくさくなってしまった。)


「私は、自分が恥ずかしいです。

 自分だけが特別なんだと、どこかで勘違いしていました。

 ジークフリート殿下と比べると・・・いえ、ご無礼をお許しください。」

そっと手を放す。


その手をジークが引き留めて握り返して来た。

「どうしたんだい。何かあったのかい?」


劣等感から言葉に詰まる。何か言わなくては、

「・・・・・・・・。」


「君の魔法のことは聞いているよ。見事なものだと。」


「いえ、あんなのはほんの子供騙しです。こつさえ掴めば誰にでも・・・」


「無詠唱は子供騙しではないよ。

 高等技術であり、1級魔術師の一部の者にしかできないはずだよ。」


「そういう次元ではないのです。

 そう、例えるなら殿下の魔力がこの美しい庭園とすれば、私のはこの目の前のプランターの様に見劣りするものなのです。」


「なんだか分からないけれど褒めてくれているんだよね?」


「勿論です。来るべき時には聖女とともに在らせられる方だと思います。」


「聖女? あの伝説の?」


「あっ、いえその・・・伝説級のお力かと。」


「ふふっ、嬉しいことを言ってくれるね。でもさすがにそれは言い過ぎだよ。

 仮に僕の力が伝説級だとしても、キャシーだって何も恥じることはないんじゃないか。

 僕は、このプランターも美しいと思うし、現にこの魔力探知の力は充分に有用だと思うよ。」


 慰めてくれているのかな。

「ありがとうございます。今後も気を緩めず精進を続けます。」


「えっと、そうするとこれまでも・・・と言うこと?」


「はい、勿論です。戻って一から鍛えなおします!」


「え!・・・・、最後に一つ聞かせて欲しい。

 先日の舞踏会で貴方をエスコートしていた彼・・・グレゴリー家の彼とはどういう関係だい?」


「ああ、アレンですね。

 関係・・・は、一族の者ですゎ。遠い昔に分家した・・・」


さらに言葉を続けるような目線を投げられる。


「敢えて言うなら、(義)弟の様な者ですかね? 数か月、先に私が生まれましたので。


私が答え終わるや否や急に王太子殿下はご機嫌になった。

「あははっ、それは良い!弟か!」


「?」

と首を傾げて見せる。

アレンを我が侯爵家に養子に入れるのが? 

王太子殿下にそんなに愉快なことなの?

シナリオの強制力なのかしら。こんなに笑っちゃって。


「では、この話は進めておくよ。良いねキャシー?」


「はい? その・・・(アレンの)将来に拘わることですので一度父とも相談しなくてわ。」

 なんでそんな大事なことを私に聞くのよ。


「ああ、そうだね。つい逸ってしまったね。ごめんよ。

 この場で直ぐにと言うつもりはないよ。侯爵には私からも話を通しておくからね。」


「はい・・・あの、もちろん、王太子殿下の意向に背くような事はないとは思いますけど・・・。」

 

~~~~~~~~~~~~


最後は訳が分からなかったが、私は逃げるように帰った。

アレンにはもちろん良いことだとは思うけどね。



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