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悪役令嬢は氷結の戦乙女  作者: marumarumary
第一部 氷結の戦乙女
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プロローグ

ここはゲームの世界、あるいは異世界。

私は、乙女ゲーム『5人の聖騎士と悲愛の魔王」の世界で生きている。

私に前世の記憶が蘇ったのは、3年前の10歳の時だ。

その際、凄い衝撃とともに自分自身に大きな違和感を覚えた。

そう、前世の自分は28歳のおじさんだったから。

まさか、自分が乙女ゲームに転生しているとは・・・、しかも悪役令嬢、クリスティン侯爵家のカサンドラとして。

見た目は可憐で美しいが、冷たい眼差しに底意地の悪さが滲み出ている少女だ。

プレイヤーは、この娘が”ざまぁ”されるところを見て痛快な気持ちになるのだ。


しかして、自覚してからの私の行動は早かった。

なんせ時間が無い。”ざまぁ”まで残り2年。

それまでの傲慢・我儘を改め、私を溺愛する父・母をはじめ使用人達を味方につけ、来るべき日に備えている。

備える?

備えるとは、私の”ざまぁ”では無いし、定番の破滅フラグとか婚約・恋愛回避では無い。

ここは、そんな生ぬるい世界ではないのだ。

プレイしている時は、色々なイベントが楽しいものだが、この『5人の聖騎士と悲愛の魔王」のイベントでは、なんと、最終戦争アーマーゲドンが起こる。

聖女であるヒロイン率いる王立軍と魔王軍とが激突する最終戦争アーマーゲドン・・・、

本来、乙女ゲームなので、聖騎士をはじめ魔王までがヒロインの取り合いをする恋愛イベントのはずだ。

しかし、現実的に捉えると、くだらない理由(色恋沙汰)で多くの犠牲者・損害を出す大迷惑なものだ。

私は、何としてもこの最終戦争だけは回避したいと思っている・・・それが男であった自分の使命だと。


さて、シナリオは当然いくつもに分岐しているが、共通する所はヒロインとカップルになれなかった聖騎士が全員死んでしまうと言うこと。

王道ルートでは、王子と結ばれたヒロインは協力して魔王を倒すのだが、その他の聖騎士はヒロインと王子の為に道を切り開き、捨て石となって死んでいく。

感動的な話だが、それはあくまでプレイヤー目線の話だ。

現実では彼らを見捨てることなんてできる訳がない。

そう、私はその切り開く道を知っているのだから・・・。


次に、特異なのは魔王ルートだ。

王立軍は魔王軍に破れ、ヒロインは人類を救うため、仕方なく自分を魔王に捧げる。

なんとなく製作者側はこのシナリオを押している気がする。

タイトルからしてそうだもの。

では、なぜ王立軍が敗れるのか・・・、

それは、聖騎士の一人が実は魔王その人であったからだ。

一人の聖騎士の裏切りから王立軍は瓦解していく、バッドエンド中のバッドエンドだ。

空想の世界では、ヒロインと魔王とのカップルでも良いのだろうね?

なんやかんやでカップルは幸せになるのだろうから。

では、なぜバッドエンドなのか? 

なぜなら、主要メンバーが居なくなったのに、どうやって戦後復興するんだ?と言うこと。

ヒロインには聖女として戦後復興まで頑張ってほしい。

魔王といちゃついている場合ではないと思う。

まぁ、最終戦争が起きなければそれで良いんだけれど。


そして、このゲームの戦闘シーンはアクション操作になっている。スチルとかムービーではなく、魔法や剣技を使っての戦闘アクションだ。

だから、このゲームは男性からも人気が高く、私の様に隠れ男性ファンも多い。

そう、そうなのだ!

繰り返すが私の前世は男だ! 

それも28歳独身、彼女いない歴=年齢の!

前世が男であったことに何か意味があるはずだ。

そして、悪役令嬢カサンドラの役割は、定番のヒロインを虐めて好感度Upに貢献するというところ。

ヒロインが、聖騎士の一人と無事カップルになると、断罪イベントにより途中退場・・・。

そこからが私の本当の役割が始まるのだろう。

ゲームのシナリオから外れて独自に動けるはずだ。

男の心持ちなら断罪イベントに耐え、魔王軍にも立ち向かえるはず・・・。


だから私には時間が無い。

日夜、魔力向上・座学・剣技に勤しんでいる。

ヒロインが誰とくっつこうがどうでも良い。

断罪イベントまでに力を得なければ・・・。

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