囚われた者 2
数日後、ティータは血の付いたロクリスの衣類を抱えて城門を出、川辺に向かった。
彼は、時々発作を起こしては血を吐くのですぐに血のシミがついてしまう。こまめに洗う必要があるのだが、病にかかった者の血の汚れを、城内の洗い場で洗うわけにはいかない。
城に近い河原に出ると、彼女はこびりついた血を落とし、畳んでから平らな石の上に乗せて何度も何度も踏んでいく。
水は凍えるほどに冷たいけれど、日差しは熱い。いつの間にか額がうっすらと汗ばんでいた。
何も考えず、ただ体を動かしているのは悪い気分ではなかった。ウーゴを手伝っている男たちの中には、徒労だと悪態をつく者もいたが、ティータはウーゴのしていることは無駄になっていないと信じたかった。
以前を知らないから、本当のところは分からないが、いくらか顔色もよくなってきたし、表情も明るくなってきた気がする。
もうすぐ身代金が払われれば彼は元気で帰れるはずだ。
知らず鼻歌が漏れていた。
子どものころよく歌った童謡は、他愛のない歌詞だが曲の流れは心地いい。しかし。
「随分ご機嫌じゃないの」
冷たい声に歌が止まる。
振り向くと、同じ台所の下働きのモーラがこちらを睨みつけていた。
返す言葉を思いつかず戸惑ったまま見ていると、彼女はずんずんと寄ってくる。普段は蠱惑的な笑みを浮かべている顔が醜くゆがんでいた。
「何やってんのよ。こんなところで」
「洗濯だけど」
「あんたの仕事じゃないでしょう! おとなしく自分のやることやってなさいよ。あんたがよけいなことして自分の仕事をサボるから、しわ寄せがきてみんな迷惑してんのよ」
台所の下働きの人数はそれほど少なくない。ティータ一人が抜けてもたいした迷惑がかかることもないはずだ。
だが、かといって全くないと言い切ることもできない。
「それは悪いとは思ってる。ごめん」
「じゃあ、戻ってくんのね」
「それはできないわ。ウーゴ様のお役に立ちたいの」
すぐそこまで来ていたモーラの唇が震えているのが見える。
「ざけんじゃないわよ! なにウーゴ様に擦り寄ってんのよ。気持ち悪い。そうよ。あの捕虜もけっこう身分高いんだってね。ねえ、何人誑し込めば気が済むの。ゲールだけじゃあきたらないの。機会さえあれば相手かまわず媚び売ってさ。ほんと売女の子は売女ね。少しはゲールに申し訳ないと思わないの」
ティータは奥歯を食いしばる。
モーラがゲールを狙っていたことくらいみんな知っている。
若い槍兵の中でも飛びぬけた実力で目立つゲールと、下働きの娘の中ではひときわ華やかな顔立ちと大人びた豊満な体で人目を惹くモーラ。
ゲールはあまり芳しい反応を示していなかったが、モーラが思いを隠さないだけに、いずれは収まるところに収まるのだろうと思っているものは多かった。そして何よりモーラ自身が思っていただろう。
だが、ゲールが望んだのは彼女ではなかった。
それを知っているからどんなに腹が立ってもティータはモーラには強く出られない。
その躊躇いに気づいているのか、モーラが乱暴にティータの腕をつかむ。
「ねえ。何とか言いなさいよ。ゲールにしたみたいに、その捕虜も体で堕とすつもりなの。いやらしい! ああ、もしかしたらウーゴ様にも体使ってんじゃないわよね」
しかし、その言葉がティータの躊躇いを吹き飛ばした。
「ふざけないでよ! ウーゴ様を侮辱しないで。あの方にそんなまね許すわけがないでしょう」
モーラが口ごもる。
それは単に剣幕に押されたというより、彼女自身が自分がうっかり口にしてしまった言葉に気まずさを覚えたからだろう。モーラもウーゴに助けられている一人なのだ。
「と、とにかく。ちゃんと仕事しなさいよね」
体裁が悪さを隠すように、モーラはそれだけ言い捨てると、さっさといなくなった。
その背中を見送ってから洗濯を再開したが、先ほどのさわやかな気分はもう戻って来てはくれなかった。
できる限り台所の仕事を片付けながら、ウーゴの手伝いを続ける日が続いたが、ある日、野生の薬草を取りに出かけていたティータは、城に戻ったとたん気重な知らせを受け取ることになった。
逃げ込むように教会の薬草園に急ぐ。
待っていたのは老教父ではなく、手持ちぶさたげな楽士だった。
「ウーゴ様は」
「さっきお偉いさんから呼ばれてさ。今日はもういいから帰れって言ってたよ」
「そう……」
言いながらかごを下ろし、小屋へと向かう。すぐにここから出たくはなかった。
「何してるの」
「できることだけでもやっておく」
布を引っぱり出して、取ってきた植物を広げていく。
「手伝おうか」
ローウェンがよってくる。
「いいわよ。別に」
「することもないしさ」
ほんとうのことをいえば、仕事があまり速く片づいてしまうのは嬉しくなかった。といって、何度も断るのもめんどうくさい。
ろくに口もきかないで、二人は広げた薬草を種類ごとに分けて束にし、干す物は飛ばないようにヒモでくくっていく。ローウェンの手際が思ったよりもいいので、仕事はあっという間に終わってしまった。
「ありがと。助かったわ。あなたはウーゴ様を待ってるの」
「いや。君に用があったんだ」
すこしばかり意外な答えだった。
「なんだか話しかけづらくてね」
ティータは、返事ができずに、ただ首をかしげる。機嫌はたしかに悪かっただろう。だが、この男が話しかけるきっかけを作れないほどだったとは思えない。
ローウェンの目元は笑っていた。
「本当はさ。ちょっと俺が迷ってたんだ。でもやっぱり一応言っとく。あのね。もう俺たちには関わらないほうがいいよ。どうやら俺はロクリス様を連れて逃げなきゃいけないみたいだから」
それは、ごく普通の調子だった。最初は、聞き間違えたのかと思った。それからたぶん冗談なのだろうと思った。けれど彼はのんびりと後を続ける。
「もし、あの人がもう少し元気だったら他の方法を考えるつもりだった。でも、あの弱りかただろう。ほっといたら命が危ない。多少強引でも連れ出すしかないんだ。もちろん普通の方法でじゃないよ。だから、このまま君が手伝いをしてると、何かで迷惑が掛かるかもしれない」
とても正気とは思えない言葉が続く。
「あなた何を言ってるの」
「ええとね。言ったこと、そのまんまなんだけど」
うっすらと微笑みを残したまま、けれどよく見れば目が笑っていない。
もしかして本気なのかも知れない。ようやく思う。
「で、でも待って。何でそんなことしなきゃいけないの。危ない思いをして逃がす必要なんかないじゃない。身代金さえ払えばすぐ帰れるんでしょ。そりゃあ病気のことは心配かも知れない。けど、これから秋までは気候だっていいわ。それにウーゴ様もあたしも付いてる」
ローウェンはゆっくりと首を振る。
「身代金は払われないよ。あの人の父上は、自分の領地が不作なのを理由にして、息子の身代金を払わないつもりなんだ」
「え、だって。領地もちの騎士様なのよね。まさか身代金が惜しいとでもいうの。そんな、親子なんでしょ」
「親がみんな子供を愛してるってわけじゃない」
冷たい物が足元からはい上がる。
楽士は悲しげに、一言一言を音にしていった。
「あの人の父君は。カイル卿はロクリス様を疎んじている。……恐れていると言った方が正確かな」
そういうと彼は、いったん口をつぐんでティータを見つめた。そしてはっきりとその先をくちにしていく。
「魔法使いなのだと思ってるんだ。あの人のことを。でも、だからといって教会に訴えることもできない。身内から魔法使いを出すわけにはいかないから。それにもちろん自分の手で始末することもできはしない。だから捕虜になってくれたのを幸い。身代金の支払いを延ばして、病気が息子を殺してくれるのを待ってるというわけさ」
魔法使い。という言葉がなんだか奇妙に響いた。
伝説や物語の中ならともかく。今の世の中では、魔法使いは異端者として罰せられる。だが彼女の見聞きする限り、処刑された魔法使いたちは、狂信的な言葉をわめきちらしたり、怪しげな薬を法外な値で売りつけていたり。どちらにしろロクリスの印象とは全く重ならないのだ。
「魔法使いだなんて。普通の人だったじゃない。それに……そうよ、本当に魔法使いならなんで捕まったままなの。あなたなんてあてにしないで、自分で逃げ出せばいいじゃない」
彼の表情は沈鬱なまま、変わらない。
「本当かどうかなんて、どうでもいいのさ。問題なのは父上がそう信じているということ。宴席にいたなら聞いただろう。カイル卿はおそろしく信心深い。おまけにまったく融通の利かないお人柄なんだ。我が子が教会の否定する化け物だと思って、どうしていいか分からなくなってしまったんだろう。見捨てようっていうのは、とことん思いあまってのことだとは思うよ。元々は誰よりかわいがっていた末息子だそうだ。だから何かの拍子に気が変わらないともかぎらない。病気のことさえなければ、焦る必要はなかったんだろうけど。でも君だって見ただろう。のんびりと父上の気が変わるのを待つ時間はない」
ぞくっとした。淡々とした口調がかえって恐い。たしかにロクリスの体調を思えば、それほど気楽に構えるわけにはいきそうにない。
だが、だからといってなぜローウェンが逃亡を助けに来たのか。
「あなたはなんで……。もしかして、グラナクの間者」
何気なく口に出したのだが、それは音になったとたん現実味を帯びてきた。
そういえば、この男はあまりにそつがなさ過ぎる。この腕でこの器量で、こんな所をほっつき歩いているのも、あまりに怪しい。もともと、自由に各地を渡り歩く旅芸人が間者をかねているのは珍しいことではないのだ。
思ったとたんに恐くなった。今はここに二人きりだ。
だが、とたんに謎の楽士は吹き出した。
「やだな。なにばかなこと言ってんの。そんなの俺につとまるわけないでしょう。いい。間者っていうのは目立ち過ぎちゃいけない商売なんだよ。ちゃんと目を開けて俺のことを見てよ。どこにこんな間者がいると思う。腕も良すぎりゃ顔も良すぎる。どうしたって目立っちまうじゃないか。とてもじゃないけど間者なんてやってられないよ」
それなりにもっともな言葉ではあった。しかし、よくもまあぬけぬけと自分で言えてしまうものだと、むしろそのことにティータは呑まれてしまう。
「じゃあなんでよ」
気がそがれてしまって、声に勢いがない。
「宴の席で言ったとおりだよ。二年くらい前にグラナクに来たとき、荘園にしばらく滞在させてもらったんだ。ロクリス様にもそのお母上にもずいぶん世話になったよ。だから今年またあそこに行ったのは、もう一度あの人たちに会いたかったからなんだ。なのに、こういうことになっちゃっててね。……母上はカイル卿のつもりには気付いている。でもだからといって、どうすることもできないんだ。良いお母上なんだよ。ほんとに……。おれさ。弱いんだよね。ああいうの。自分がおふくろの顔も覚えてないからよけいかな。で、ついね。柄にもなくこんなことをはじめちまった」
疑えば疑える。けれど確かに、間者であるよりは、そういう気まぐれなお節介だというほうが、彼にはふさわしく思えた。
「だとしても」
「うん。何」
「なんでそんなことあたしに言うのよ。関わらないほうがいいったって。あたしが誰かに話すかもしれないと思わなかったわけ」
「うん。だから少し迷ったんだけどね。やっぱり寝覚めが悪そうじゃない。知らんふりしてるのもさ」
「あたしはウォードの人間よ。そんな殿様の不利益になるような話を聞いて、黙ってられるわけないでしょう」
ローウェンはさも驚いたように手を広げる。
「不利益になんかならないよ。だって、逃がさなくたって身代金は入らないんだから。食事の分が無くなるから、かえっていいくらいじゃない。ウーゴ様の仕事も減るしさ。それに……たとえそうじゃなくても、見殺しにできる。君はあの人を」
できるかもしれない。でもしたくはない。
「それに、君がけっこう口堅いのは分かってるしさ。ほら、川辺でのことだって、誰にも言って無いんだろう。ほんというとさ。あの後しばらくはびくびくしてたんだぜ。ヘタな相手にしゃべり歩かれたりしたらどうしようかって」
ローウェンは何かをほのめかすかのように微笑んでいた。
川辺で起こったこと。そして、人に話されて困るようなことと言えば。
「まさか。じゃあ、あれやっぱりあたしだけが見たんじゃなかったのね。あなたにも見えてたのね。でも、あの時あなた知らないって。そうよ、はぐらかしたじゃない」
「だからあの時はまだ、君がどういう人かよく分からなかったし」
「あの時は。じゃあ今は分かっているとでもいうの」
「全部は分からないよ。でも、信用する方に賭けても良いと思うくらいにはね」
ただでさえ頭が混乱しているのに、追い打ちをかけるような話だった。
「あれはなんだったの」
「よく分かんない」
ローウェンはあっさりと肩をすくめる。
「あらら。そんな顔しないでよ。本当によく分かんないんだ。とにかく、俺が竪琴を弾くと、時々妙なことが起こっちゃうんだよ。ただし適当に弾いてる分には何も起こんない。自分でも満足できるくらい出来の良いときだけね」
分からないと言われて納得できるわけもない。
「起こっちゃうって、あなたのせいなんでしょう。いい加減なこと言わないでよ」
「でも俺が起こすんじゃないんだよ、勝手に起こるんだ。もうね。いつ何が起こるのか全然見当付かないから、ものすごぉく迷惑なんだよねぇ」
睨み付けても、彼は気にする様子もなく暢気そうに笑っている。ふと、さっきの言葉がひっかかってきた。
「まさか……あなた。だから手を抜いてるの。大勢の前で弾いてる時っていつもあんまりできがよくないけど。あれ」
「へえ。気付いてたんだ。すごいじゃない君。ほんとに耳がいいね」
彼はなんだか嬉しそうだ。そのことがかえって気にさわった。
「ひどいわ。だからっていい加減なものを客に聞かせるなんて。それが玄人の楽士さんのやることなの」
なんだか、どうでもいい部分にこだわって難癖を付けているような気はした。だが、それだけが、彼女の日常に属することだったのだ。
「きついなぁ……。分かってるよ。俺だってできればそんなまねはしたくかなったんだ。でも、本当に何が何でも目立ちたくなかったんだよ。ここではさ」
冗談めかしていたが、声には微かに苦いものがまじる。
「あ、ロクリス様のことがあるから……」
彼はよそを向いたまま頷く。
その瞬間。思いは元の話へと戻った。それはローウェンも同じだったようだ。
「だからさ……」
「そんなこと急に言われたって」
「そうだね。すぐには納得できないよね。どうせまだ準備も全くできてないし、もう少し時間をおいてからでもいい。でも、手遅れになる前にはにね」
疑う理由はなかった。こんなことでティータを騙しても、彼に利益があるとは思えない。といって、あっさりと納得する気にもなれない。
畑の上に二人の影が大きく落ちかかっている。
しばらくどちらも口を開かなかった。
「あ、そうだ。忘れてた。ウーゴ様に伝言頼まれてたんだ。ちょっとこっち来てよ」
ローウェンが、いきなりはしゃいだ声をあげた。調子を合わせられずにいると、背中を押して畑の片隅に連れて行かれる。
「ほらこれ」
指した先には小さな草が植えられている。見覚えがあった。
「これ、この前ウーゴ様に預けた」
「だってね。試しに植えてみたら、ついたんだって。でもここにはあんまり詳しい本がないから、どういう草かは分からなかったらしいよ。機会があったらもう少し調べてみる。っておっしゃってた」
気にかけてくれたのは嬉しい。けれど、分からなかったとなると、結局はよけいな手間をかけさせてしまったわけだ。
だが、小さな草は、人の思いになど関わりなく、根を張り始めているようだった。
そっと手を伸ばして葉に触れてみる。ふわりと透き通った香りが広がった。
「あれ、この香り」
ローウェンが首を傾げる。
「知ってるの」
「うん。でも、どこでかな。……そんなに前じゃないような。あれ。最近どこかで」
何か分かるかも知れない。という期待は一瞬のものだった。
「最近……なんだ。じゃあ、あのときね。きっと。初めて会った草地に咲いてたでしょ」
「ああ、そういえば」
「少なくともこの辺ではあそこでしか見たことがないわ。あの場所にもそんなにたくさんはないけど」
話しているうちに、記憶に焼き付いてしまった、ある光景が蘇った。
「でも、いつか、どこかではありふれた草だったのかしら。あそこには。あなたの歌を聴いたときに見た幻の野原では、一面にこの花が咲いてたものね」
「歌の時の……。まさか、アルトリオンの周りに咲いてた花がこれだって」
いきなりローウェンの表情が緊張を孕む。
「たぶん。似てたとは思うわ」
彼はあわてたように手を伸ばし葉を千切り取った。
「どうし……」
「ちょっと静かにしていて」
あっけにとられるティータを後目に、彼は鼻先に葉をかざしたまま目を閉じてしまった。
ゆるい風が金色の髪を乱していく。傾きかけた陽が表情に濃い影を落とす。見慣れた愛想笑いが浮かんでいないと、彼は彫像のように見えた。まるで物語の中の一場面のようだ。
やがて、閉じられていたまぶたが開き、彼女を見上げた。
「あの時の川辺にあるんだね」
「え、ええ」
ローウェンが立ち上がる。
「待って、あなた知ってるの。この草のこと」
「分からない」
「分からないって。またそんな。だって」
「たぶん聞いたことのある草だとは思う。でも、本当にそれかどうかは確信がないんだ。俺も実物を見るのは初めてだから」
「そんなに珍しい物なの」
彼は、目が覚めたような表情でティータを見た。それから、いつもの微笑みをまとう。
「多少はね。干した花びらを湯で煮立てると良い香りがして、気分がすっきりするらしいんだ。気鬱なんかにもいいらしい。ロクリス様のところに持っていこうと思ってさ」
その程度の効果にしては、ローウェン反応が大げさすぎる。
「それだけじゃないんでしょ」
彼は意味ありげに口元をゆがめた。
「それだけだよ。堅気の娘さんが知ってて役に立つ使い方は。他は……ね。ちょっと説明しにくいんだけど。どうしても聞きたい。何なら俺が使い方教えてあげてもいいんだけど」
そう言って、あごをなでる表情がいやらしい。どんな用途を仄めかしているのか、なんとなく分かった。だが、あの香りは媚薬のイメージにはあまりにそぐわない。
ならば、彼女がその手の話題には持って行きたがらないだろうと、あえてそんな言い方をしているのだろう。
これ以上言うつもりはないということだ。
問いつめる術をいくつか考えて、結局諦めた。ローウェンが話したがらないことをしゃべらせるのは、自分には無理だと思った。
その気になったら、いつか話してくれるだろう。川辺でのできごとと同じように。