魔法使いの夏

北の小さな城塞。
下働きをしながら母と暮らすティータは、周囲からは羨まれる相手との結婚を目前にしていたが、強制された関係に、どうしても相手を受け入れることができずに苦しんでいた。
そんな彼女の前に、一人の旅の楽師が現れる。
時代遅れの楽器で奇跡的に美しい音楽を奏でる彼は、本当にただの旅人なのか、それとも何かの思惑を持っているのか。
良くも悪くも変わることなどないはずだったティータの日々は、彼が現れたときから大きくかき乱されていくことになる。