五歳になりました
本日2話目です
エリカお姉様に全力で好意を表すと、大惨事になりかねない事実を身をもって知るなど、終始グダグダとしたこの世界線とやらにおける神様との顔合わせが済んだ。
そもそも、神様との顔合わせとはなんだろう。漫画でも神様と友達になったり子どもになったりと色々なパターンがあった。けれど優しいお兄様とお姉様ができてとても嬉しいから良し。
しかし神様というのは本当にすごいと思う。体感では半日以上あちらに居たと思うけどレスター兄様のように夢に干渉したということなんだよね? だから僕はいつも通りの睡眠時間だったんだよね?
知らないお爺さんが僕を覗き込んで驚いた顔をしていたり、僕の寝ている両側に不安な顔をした両親がいたりしてるのはきっと夢の続きなんだよね? 教えてお姉様?
「驚いた……なんの予兆も見られなかった……。急に力なく意識を失ったり急に覚醒したりなど聞いたこともない」
お爺さん、その症状僕よく知ってます。魂が乖離しやすい人の末期症状です。
ちょっとまって、僕寝てたんじゃないの? ちょっとお姉様どういうことなの? エリカお姉様ぁぁ!
(ご、ごめんね? 加減が分からなくて……つい時間の管理間違えちゃった)
ドジっ娘ですか!? 漫画では結構人気あった属性みたいですけど神様のドジってこんなにシャレにならない状況になるんです!?
僕まだ喋れないし説明しようにも身振りじゃ伝えられないし……詰んだってやつだね!
「ふむ、知らない爺がいるのにずいぶん落ち着いている。血色は良く、脈も……まぁ緊張してるのか少し早い。現状は問題ないとしか言えんの」
大丈夫ですお爺さん。神様のドジですので! ……あれ、これって喋れても頭の中疑われるんじゃ?
とりあえず笑っておけば解決するって漫画に描いてあったからいざ実践!
「あー、あうあーきゃっきゃ」
凄い声が出た! お爺さんも両親もびっくりしてるけど僕が一番びっくりしてるからねっ!
「はっはっはっ。可愛い坊主じゃ。ではレックス、レナ。恐らくで悪いが問題はなさそうじゃ。念のため王都の医学会に連絡して事例を洗ってみる」
「ありがとうバウ爺、助かったよ」
「ありがとうございます」
バウ爺さんっていうのか、お医者様だったんだね。ご迷惑おかけしました。
それからというもの、両親のどちらかが必ず傍にいるようになった。というより家の中なら連れまわされた。
ハイハイで行けない場所まで行けたのでテンションは上がりっぱなしである。
時間はたくさんあったので地図魔法を色々調べてみたり。
時々お兄様達に呼ばれて短い時間だけどお話したり。
その会話の中で地図魔法で出来ることを暴露されて、怒るよりもただただ戦慄を覚えたり。
様々な経験をした。乳幼児って何だろうって思いもあるけど楽しかったので良し。
前世において人生の転換期、今生においてはついに、ついに! 魔法を教えてもらえるという年齢に!
そう、五歳である。しっかりと話せるようにはなったしそろそろ覚えてみる? と母さんが聞いてきたのだ。
「本当!? やったぁ!」
「ふふ、嬉しそうね?そんなに楽しみだったの?」
「うん! お母さんが魔法使ってるの、格好良かったもん!」
「あら、格好良かったの?」
「うん! あのね、庭の木を」
「そうじゃあ一生懸命勉強しましょうねエルナーならきっと立派な魔法使いになれるわ頑張りましょうね?」
「え、う、うん。がんばる」
凄い早口でまくしたてられてびっくりした。ほら、隣で父さんもびっくりしてるよ?
「庭の木……そういえばいつの間にか無くなっていたが一体……いや、なんでもないな」
「父さん……」
「エルナー、覚えておけ。これが円満の秘訣というんだ」
はい、父さん。機嫌を損ねることはできるだけ回避するんですね!
そして始まりました魔法の勉強! 座学です!
「初めに、魔法の基礎から学びましょうね」
「はい、母さん!」
「いい返事です。では初めに魔法とは何か、というところからね」
魔法とは現象を人為的に起こす技術のことである。生き物には少なからず魔力が存在し、その魔力には個体ごとに特性が違うらしい。
人それぞれに得意な属性があるように、魔物にも個体によって違う。そのために漫画と違ってこの魔物はこの属性といった固定の特徴は魔法で言えばないとのこと。
「魔法的には、魔物に対する絶対有利はないということですね」
「あら、いいところに目を付けたわね。でもねエルナー。それがそうとも言い切れないの」
確かに個体による魔力的特徴は同一ではないものの、環境適応による属性は一致するとのこと。
この辺りはより実戦的な勉強の時にとのことで今は話が流れた。残念。
「魔力から魔法を引き起こすのに必要なのは、想像力とされているの。それを補う為に詠唱といった補助があるけど、これは本当に想像力を固めるまでの補助といった形ね。想像力を確定しないと魔物との戦いでは役に立たないの」
魔物は当然詠唱などしない。なるほどと思う。
それにしても、だ。ここまでほんの僅かであるけれどこの世界線では魔法はずいぶんと進んでいるようだ。漫画では詠唱が必須な世界で無詠唱がとんでもない技術であることが多い。この世界線に転生、あるいは転移した人はきっと魔法的優位には立てないのだろう。
「魔物に対して後れを取るのは危険だからだね」
「えぇ、きちんと理解できて偉いわ。……そうね、ちょっと難しい理論の話をしてみましょうか」
「え、いいの? ちょっと楽しみ!」
「ふふ、頼もしいわね?それじゃあ自然環境における魔力的エントロピーについて説明するわね?」
自然環境における……なんて?
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