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プロローグ

 日の沈まぬ巨大にして偉大なる超大国アルヴィオン連合帝国。

 その連合帝都ロンディニオンの小高いカムラン丘の大半を敷地とする、アルヴィオンが誇る名門私立学校パブリックスクールカムラン校の一角。女子寮ユニコーンの程近くの小道。

 凛然としたたたずまいで歩く少女が一人。

 名前はカーラ・ブラッドレイ。

 アルヴィオン帝国陸軍が誇る名将にして猛将。もしくは『戦術と戦略の玄人』、『勝つべくして勝つ男』、『共産主義者の仇敵』、『アルヴィオンの守護龍』と数多くの呼び名を持つ騎士爵サー・アーサー・ブラッドレイ陸軍中将の養女。

 同時にこの学園で最も奇異な見た目と経歴を併せ持つ美少女。


 夜闇よりも黒い髪を自由共和国の流行を取り入れたのか、短く切り揃え。

 鷹や鷲、猛禽類を思わせる鋭く端麗な顔立ち。

 鼻筋から右へかけて伸びる深い傷跡と幾つかの小さな傷跡が顔にあり、服の下の柔肌はそれ以上に無数の傷跡に塗れる。

 生まれは連合帝都のスラム街とも、母親は娼婦とも、落ちぶれた貴族の令嬢とも。

 しかして、彼女を最も奇異な見た目にさせているのはやはり両腕と両脚。

 

 他の女子生徒がスカートを履く中で一人だけ特例としてズボン(トラウザーズ)を履き、何があっても半袖には決して袖を通さない。何ゆえか?それは彼女の両腕は肩の付け根、両脚は膝の付け根より上あたりに取り付けられた接合部から伸びる、黒鉄色の魔工義肢だからであった。

 彼女の()()()()()()()であった。

 彼女の()()()()()()()であった。

 ドールのような精緻で精密な、球体関節の魔工義肢。

 それが彼女を奇異な見た目にしている最たる所以ゆえんであった。

 

 または彼女が与えられている称号も所以に含まれる。


 フェンシングの実力、学業の成績等を勘案して選定され12人の学生にのみ与えられる準騎士爵の爵位。

 その受勲者12人からなる円卓の騎士ランドナイト。学生の間だけ与えられる爵位で、多くの在学生が夢見て憧れる称号。それを二年生で、しかも女子生徒で与えられている。

 一年生の時に起こったとある事件で、圧倒的な強さを持って当時の序列第5位の準騎士爵を含む十数名の男子生徒を一方的に返り討ちにした実力。

 その事実を選定理由にして二年生へ進級と共に受勲された。。

 その事実が彼女をさらに奇異な存在にしていた。


 しかし誰もが知らない、もしくは一部の人間だけが知る事実が彼女を最も奇異な存在とする理由だった。彼女のもう一つの顔、それはかつて異なる世界で非業の死を遂げた少年で、この世界でも非業の死を遂げた少女で、その二人から生まれた。またはその二人が転生した存在が彼女であった。

 

 カーラ・ブラッドレイは()()()()であった。 

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