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 夏休みにするはずの、婚約パーティはさすがにすぐと云う訳にはいかず、夏休みが終わるギリギリになりそうだ。


 アリスが、夏休みに入ってから、俺は事業の営業業務をルフォールに任せて家にいる事にした。

 正確には、2人で遊びまわっているのだけど……

 ルフォールは、俺が物心付く前から、うちで働いてくれていて、業務のほとんどを把握している優秀な社長秘書だ。

 本家の事業の仕事を一手に担っている彼には俺の代理など、片手間にでも出来るだろうが……今回は、ちょっと事情が違っているので、かかりきりになってもらっている。


 俺はと云うと、アリスが、宿題や家事をしたりしている間だけ、携帯電話と言う名の魔法具で仕事のやり取りをしていた。

 俺としては、会社に行ってるより健全なんじゃないかと思うほど、規則正しい生活をしている。

 昼間、海や町に繰り出して遊ぶので、夜はあっという間に寝てしまって、気付いたら朝って感じだ。


 今日なんか、遊園地に来ている。

 ……10数年ぶりかも。


「マルセルさん。今度は、あれ乗りましょ」

 アリスが、指をさした先を見ると、ローラーコースターがあった。

 なんか、最近出来た人気のアトラクションらしい。

 返事を待たず、連れて行かれそうになる。

「ち…ちょっと、待って。さっきから、絶叫系ばっかりで…少し、休憩しようよ」

 おじさんは、付いていけないです。

「あ……ごめんなさい。つい、久しぶりで…」


 あはは……。


 アイスクリームを買って二人で食べて、休憩して、また乗って…って、そういえば、こんなデートした事無かったなぁ~。

 アリスも、ここ数日で打ち解けてくれてる分、ついって感じだけど我儘も出るようになって、よかった。


 結局、夜の花火が上がる時間まで、遊園地に居続けた。

「綺麗でしたねぇ~花火。」

「そうだね。花火なんて見たの、何年振りだろう……」

「マルセルさんは……」

「ん?」

「あ……いえ、何でもないです」

 アリスが、うつむき加減に言うので、わざと明るく。

「明日は、どこに行こうか……。

 映画?それとも少し遠出してみる?」

「……どこでも、良いです」

「そう…か。連日出てると、疲れるよなぁ。さすがに…」

「そんなんじゃ……。

 ただ、私に合わせてたら、マルセルさんつまんないんじゃないかって。

 私が、子どもだからこんなところにしか連れて来るしかなくて…」

 ああ……なんだ、そんな事……。

「アリスが、背伸びしてみたいのなら、そういうところに連れて行くけど。

 俺の事を、気にしてるんなら、無理しなくて良いよ。

 結構、面白いし、アリスと一緒ならどこでも良し」

 アリスが、え?って感じで顔を上げる。

「どうせ、あと数年もしたらイヤでも大人になるんだし。子どもの時にしか出来ない事をすれば良いんじゃない?って思うんだけど。

 俺の歳になっても、アリスが子どもだから、遊園地で一緒にはしゃいでられるんだし……ね」

 大人2人で、はしゃいでたら馬鹿だろう……周りから見たら……。

「でも、そうだな。着飾って、ホテルのレストランで、ディナーくらいは良いかもね」

 どう?って、アリスを見たら、微妙な顔をしてうなずいてた。

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