キチガイプレイヤーとキチガイフレンド3
まさかのK.O。流石にそれは想定外だったが、まあ勝ったのだから良いだろう。
1分程すると、
『NEW CHALLENGER!!』
という表記と共に、アバター選択画面へと変わった。勿論、選ぶアバターの選択肢は一択だ。
『NONAME VS NONAME』
『3…2…1…FIGHT!!!』
「お、ま、え!!それは違うだろぉぉぉぉぉおおおおお!!!!!!」
「ブモオォォォォ!!!!」
勿論、この選択肢があった以上、俺の選択肢は一択だ。
闘牛(雌)
こんなにも快斗の希望に適したアバターはいないだろう。
という事で、出来る限りの全力疾走で快斗へと突進した。
「ふっざけんなあああああぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」
勿論、それに対してAGI値が低く、STR値が高い重戦士を選んだ快斗が躱そうとするわけが無く、大剣で切り飛ばそうとしてきた。
まあ、俺はそれを角で弾くわけだが。
「だからあああぁぁぁぁああああ!!!なんで角で大剣をパリィ出来んだよォォォおおおお!!!」
で、その勢いのまま快斗を吹き飛ばし、勝利を収めた。さっきの双剣士の方が強かったな。
『K.O!!』
『WINNER NONAME』
流石に、これ以上続ける気は無かったので、快斗と一緒に俺もやめることにした。
「なあ、お前まじで巫山戯てんの?」
「何が?」
「約束」
「あー、牛乳っていうじゃん?ほら、お前が大好きな巨乳の上位互換みたいな感じの。よく知らんけど」
「そうかもしれないけどっっ!!牛のようなのと牛そのものだと完全な別物っ!」
「いや、まあどちらにしろ略せば牛乳だし、良いんじゃない?」
本当に、選択肢にあれを見つけた瞬間に、それ以外の選択肢が見えなくなったからな?まさか、大きさなんてどうでも良い派の俺が我を忘れるとは。何という吸引力、牛乳…。
「良くねえぇぇぇ!!」
「不審者見る目で見られてるからやめようぜ…」
「てか、お前角で大剣を弾いてんのも意味わかんないんだが?」
「あれはタイミング合わせれば出来る」
「そうなんだけどっ!そうなんだけど出来ねえんだよ!人型状態でも難しいんだぞ!?」
「いや、人型よりは楽だぞ。判定が少し緩くなってるから」
実際、人型とそれ以外も選択できるゲームを本当に少しの間やってた事が有るが、あれは人型だけ判定がシビアだった覚えが有る。
「そりゃ、人型以外はゆるくしないと勝負にすらならないからな!普通の人は!普通の人は!」
「二回言わなくても良いだろ」
「黙ってろキチガイ」
「いや、今の状況を傍目で見たらお前のほうがキチガイだぞ…」
「あ、」
「ん?」
「いや、あの子お前が舐めプでボコした子だよ」
確かに、快斗の目線を追うと、俺のことを見てくる女の子がいた。うん。思っていたよりもちびっ子だ。煽りプレイをしたのは間違えたかもしれない。
「…ねぇ」
「何?」
「子供扱いすんな!」
「えぇ…」
ただ、目線を合わせようと少し屈んだだけなのに叩かれた。
いや、俺が身長大体170ちょいで、この子は150ぐらいだから、屈むのは何も間違ったことじゃないと思うんだが…。
「奏。写真は取ったぞ」
「何やってんだおい」
「ねえねえ、顔にモザイクかけるから奏に悪評を広めていいかな?」
勿論、これは快斗から女の子に投げかけられた質問だ。イカれてんだろ…。
「すみませんが止めて下さい」
「はーい。写真は消したよ。何だったら確認しても良い」
「大丈夫です」
「そ」
「で、先程のPSお見事でした。舐めプはどうかと思いますが…」
「あ、どうも」
「で、これからのは勧誘なのですが【Street Fighter】というゲームをやりませんか?」
【Street Fighter】?初めて聞いたのだが、なんか軽く想像がつくゲームだ。格ゲーの上位互換かな?
「奏知らないの?一番有名な格ゲーだよ」
「へー。面白いの?」
「普通に面白いけど、奏でには重大な問題が…」
「え、何それ」
「選択可能種族が人間のみ」
「……」
快斗が俺の事を何だと思ってるのかが凄い気になるが、まあ良い。
「で、何で俺を誘ってきてるの?」
「あ、それは俺が何となく分かる」
「へー?」
「もうすぐさ、優勝賞金が結構有る大会が有るんだよ。で、紹介者とかがいる人が優勝すると、紹介者にも多少の金が行くんだ」
…。あ、金目当てか。まあ別に良いんだが、俺は今【Death World Online】を真面目にやる予定だからな…。死んでログイン出来ない間とかはやっても良いか。
「いいよ。やるよ。紹介者ってどうやって設定するの?」
「本当ですか?ありがとうございます!色々と買いたいゲームが多すぎて…紹介者に関しては一番最初にコード入力すればいいので、それでお願いします!あ、コードはこれです」
「…準備良すぎだろ……でも、俺が出れなかったり勝てなかったりしても怒らないでよ?」
「流石にそんな事じゃ怒りませんよ!あ、ソフトはこれです。先行投資っていう奴なんで、勝ち進んでくれれば全く気にしなくていいですよ!」
本当に準備が良いな…。