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キチガイプレイヤーとキチガイゲーム2

 速攻でログアウトした。


 まあ、当たり前だろう。飛び方、筋肉の動かし方、飛べる原理とかが全く分からないのに、飛べるわけがない。しかも、盲目状態。あの時は、ステータス表記とメニューしか見えなかった。

取り敢えず、ネットで出来る限りの事を調べ、実際に一番近くにある動物園まで行って鳥を観察し続けた。


 リリースされたのが午前10時。そして、母親に伝えるだけ伝えて10時半には動物園にはついた。それから、お腹が空いて、何か食べたくなるまで鳥を見続け、昼ごはんを食べた。勿論、昼ごはん中もスマホを使って、鳥、コウモリが空を飛ぶ原理を調べ、知識を限界まで詰め込み、その知識の元もう一度閉園時刻まで見続けた。



 結論から言おう。


正直全く分からなかった。


 翼をばたつかせてる事ぐらいしか見た目では分からなかった。ネットでは、翼は単純に上下している訳では無いと書かれていたが、そんなの分からん。

 それに、コウモリには鳥には無い飛膜と言うものがある。ネットにはそれをコントロールするのは大変困難であると書かれていた。


「これなんて無理ゲー…」


 取り敢えず、やる事も無くなったので、帰ることにした。家に着いたのは7時過ぎ。ご飯はもう出来ており、俺一人を待っている状態だった。


(かなた)、どこ行ってたんだ?」

「ちょっと動物園まで」

「…?…はっ。ごめん、聞き間違えたみたいだ。もう一回言ってくれないか?」

「動物園行ってきた」

「…。…そうか。何も聞かないでおくよ」


 この、意味の分からない余計な配慮をしているのは俺の父親だ。俺の家の家族仲はいたって良好であり、夜ご飯はいつも皆で食べている。俺は夏休みに入っているが、父親と母親は夏休みに入っていない。だから、二人共がこんなにも早く帰ってきているのは、何か理由があるように思えた。


「取り敢えず、ただいま…」

「「「おかえり」」」

「じゃ、せっかく凛が作ってくれた料理だし、冷めないうちに食べましょうか」

「「「「頂きます」」」」


 凛というのは俺の妹の事だ。と言っても、双子の妹であるので上下関係など無…いや、俺の方が下か。


「んで、母さん達はなんで早く帰ってきたの?」

「私としては一日中動物園にいた人の方が気になるんだけど?」

「で、お母さん達、なんで?」

「おい、無視すんな」

「ゲーム攻略ですぅー」

「どんなゲームだよ」


 今はそんなことはどうでも良い。運が良ければ、コウモリとして動けるようになる方法を見つけられるかもしれないのだ。

 そもそも、俺は足の数が変わっても動くことが出来るようなキチガイではなく、しっかりとした論理に基づいて動くことが出来るようになった平凡な人間なのだ。

 そして、その論理を得る原因が親二人だ。


 俺の両親は、二人揃って生物の研究をしている。だから、俺が四足歩行をする必要性にかられた時に、彼女等の研究所に行かせてもらい、四足歩行について詳しく研究したのだ。それこそ、筋肉の付き方、神経の通り方まで。


 それでも、論理を頭の中で整理してから完璧に動けるようになるまで3日程かかったが、今ではもう四足歩行など意識しなくても出来るレベルまでに上達している。


「で、お母さん達コウモリの研究やってない?」

「コウモリ?僕等はやってないかなー。でも、やってる知り合いならいるよ?」

「その人と会えない?」

「…出来なくはないと思うけど何で?」

「コウモリになって飛ぶ必要が有るから」

「……ん?聞き間違えかな?」

「いや、聞き間違えてないよ」

「どうしよう遥さん。とうとう奏の頭がおかしくなったみたいだ…」

「奏。詳しく教えてくれないかしら?それだけじゃわからないから」


 やはり、父親は頼りにはならない。母親は簡単に話が通じるので助かる。


「前さ、四足歩行するゲーム教えたじゃん」

「ええ」

「そのゲームのレース大会で一位取った時に貰った【Death World Online】っていうゲームで種族がコウモリだったんだよ…」

「なんで奏はそんな頭のおかしいゲームしかやらないの?」

「喧しいわ。特典で貰ったゲームとかをやってたら気づいたらそんな事になっていたんだよ」


 いつから王道から外れてしまったのだろうか?確か、最初は凛に誘われた普通のゲームをやってた筈だ。で、それでいい感じになれたから新作のカセットを貰って、そこの知り合いとオフ会をした時に貰ったゲームが四足歩行が必要なゲームで…。


 原因完全にその友達じゃねえか。確かあの人レース大会入賞すら出来てなかった気が…

よし。後でメールで文句を言いまくっといてやろう。


「普通に私が紹介したゲームをやってれば良かったのに」

「いや、あれ結構トッププレイヤーまで行けたし、別に良いかなって」

「あっそ」

「で、お母さん。お願いできない?」

「丁度良かった。私達明日から数日研究所で泊まり込みで研究しなきゃいけなかったんだけど、おいでよ。少し手伝ってくれたら紹介してあげる」


 研究者の仕事を手伝うとなると、なんか凄そうなイメージが有るかもしれないが、全然そんなことはない。少し雑務をするだけだ。流石にそれ以上はさせようとはしてこないし、此方がやろうとしても拒否られる。


「んじゃ、お願い」

「分かった。連絡入れとくわね」

「うん」


 その後、研究をしている方に失礼がないように出来る限りの情報を頭の中に詰め込んでから寝た。

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