『HIDE&SEARCH』
「ただいまー」
「おかえり〜。早かったね」
「あー、まあもう良いかなって。てか、ゲームやらないの?」
「さっき死んだ」
「あー、おつ」
「なんか頭使わないで良いゲーム無いっけ?」
「あの、何だっけ、回避ゲー」
「あー、個人用のやつね。確か…何だっけ?あれ結構頭使って躱さないと詰むから駄目でしょ」
そうだっけ?因みに、俺が言っている回避ゲーとは、闘技場の中央に立たされて徐々に射られる速度や数が多くなるゲームだ。俺でも1分ちょいしか生きていられない。確か世界記録は1分半ぐらいだったはずだ。上には上がいる。あれ、掠るだけで即死亡だからな…弾くの有りだったら結構簡単なのに。
「で、何か無い?」
「んじゃ、ボードゲーム。すごろくでもやろーぜ」
「二人で…?」
「…快斗呼ぶか?泊まるのって有りだと思う?」
「駄目だと思う」
「だよねー」
うーん。ボードゲームは良い案だと思ったのだが…。じゃあ…
「プロゲーマーの投稿動画見ようよ。それだったら頭使わんだろ」
「あー良いね」
「誰の見る?」
「…じゃあ、【Street Fighter】の前回の大会の動画」
「へーい」
テレビで動画を見れるのは本当に良いと思う。VRを使って1人称で見ることも出来るが、あれは体を勝手に動かされる感覚が有るから好きじゃない。
それから、お菓子を食べながら動画を始めた。偶にはこういう時間も必要な気もするが、その後は動画内の戦闘を二人で批評していたので、思っていたのとは少し違う休憩時間となったが、まあいいだろう。
「…夜ご飯出来たよー」
「ん…?あ、寝てた?」
「爆睡してたよ。今9時過ぎ」
「まじか」
そこまでつまらない訳じゃなかったんだけどな…。まあ、大体12時過ぎにログインできるようになることを考えれば、寝だめできたと考えよう。
「そういや、まだ帰ってこないね…」
「ん?あーお母さん達か。前って2週間ぐらい帰ってこなかったよね」
「そうだったっけ?じゃあ、今回もそんぐらいかー」
「そうだね」
「あー、暇」
「【Street Fighter】でSS目指してみたら?」
「あー、それでいっかもう。どうせなら来週の大会出ちゃおう」
「軽いなおい」
「そんなもんでしょ」
それからも少しの間他愛のない会話をしてから、自室に戻った。
「…取り敢えず練習するか」
それからは地獄だった。現実だと、2時間半ぐらいに過ぎないが、ゲーム内だと25時間だ。その間、ずっと吸血鬼と当たり続けた結果。
殺されなくなった。いや、最終的にはステータス差で殺されるのだが、最小限の動きで躱すことが出来るようになり、多少の距離は逃げることが出来るようになったのだ。勿論、俺はゲームを始めたら逃げるつもりだ。城の方向に。
『ログイン』
「問おう。汝意思有り…おい、何処へ行く。…死ぬが良い」
勿論、ログインしてすぐに現れた吸血鬼は無視して城へと向かう。勿論、攻撃されるが、それも躱す。
「おい!止まれ!そこはお前が行って良い世界じゃない!」
城の外壁の上を越えると、吸血鬼は完全に追いかけてこなくなった。セリフ的に、あの吸血鬼は城内に入れないという判断で良さそうだ。
「…何用だ。ここは、吸血鬼、吸血鬼となる資格ありし者のみ…いや、有るようだな。それに、門番を越えてくる実力も…良し。我に傷を与えることが出れば『始祖の心臓』をやろう。敵のものだが、今はもう使う資格が有るものがいないからな」
おっと?これはもしかしなくても神ゲーの気配がするぞ?
「では…参る」
あ、無理です。何をされたかすら分からなかった。気づいたら手で捕まえられてた。どんだけ強いんだよこの声の主は…。
「む…?本当に門番を越えてきたのか…?」
物理的には越えてきたけど、実力的には全く越えてないんだよな…。
「…『始祖の心臓』を支配出来し者では無かったか」
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死亡しました。
使用可能となるのは12時間後です。
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あ、全然神ゲーでも無かったわ。
「寝るか」
※※※※※※※※※※
うん。あんな意味の分からん死に方をした以上、目覚めもあまり良くない。
「あ、おはよ」
「んーあぁ」
「何?また死んだの?」
「今度は多分握りつぶされた」
「そんな小さいの?」
「な。俺もそこはびっくりだわ」
本当にびっくりした。いや、何となく小さいような気はするなーとは思ったが手で握りつぶせるほどだとは思わなかった。
「私は、なんか地下墓地の中からスキルスクロール見つけて、それが【統率】だったせいでゾンビよりも若干経験値効率の良かったグールを一体も倒せなくなった。無条件で配下になってくるんだよ?称号で、【グール第三派閥の主】とか意味わからないのが発生したし」
「まじ?」
魔王って、個人としてじゃなくて統率者としてって事なのか?
「取り敢えず、墓地内のゾンビを一掃してる所。配下全員にもそういう命令出してる」
「へ、へぇ…」
快斗詰んだんじゃね…?一応連絡入れとくか。『墓地で女の子がはっちゃけてるよ』とでも。
「いやー、てか、NPCから見た私らって冥王の寵愛を受けている存在らしいよ?何回死んでも生き返るから」
「へー、利点ってあんの?」
「その事を知られれば基本的には敬意を示してくれる」
「ん?門番さん?」
「どうしたの?」
「いや、なんでも無い」
何?あの門番さんは何なの?この感じだと城内で会った吸血鬼さんにもそれは期待できないと考えるべきか。それ期待していいなら結構ヌルゲーになるんだけど…。
「まあ、頑張れ…こっちは今、無理ゲー突破したらもっと大きな無理ゲーにぶち当たったから」
「…いや、奏の方こそ頑張って…」
「あぁ…。てか、暇なんだけど、何か無いかな?」
「そういや、四足歩行のゲーム、なんか新しいバトルシステム追加されてたよ」
「まじ?やってくる」
「…行ってら…」
今までは、集団でのバトル、個人でのバトル、集団のレース、個人のレースしか無かったが、次は何が有るのだろうか?
…ふむふむ?かくれんぼ?やってみるか。
『HIDE&SEARCH』
『PLAYERS
HIDER SEARCHER
ソウ ケイ
ガルン たんぽぽ
ティア
蓮根
ソーマ
ルー 』
『HIDERS TIME
0:29 』
簡単に言えば、本物の犬たちの中に犬になりきって隠れるゲームだ。うん。これ、結構面白いんじゃないだろうか?鬼は、一人6回。まあ、相手の人数回分隠れていると思う犬を殺せるらしい。で、隠れてる奴らが全員殺されたら鬼の勝ち。鬼が殺せる回数が無くなったのに生きてられる又は、制限時間を過ぎたら犬の勝ち。
普通に面白そうなんだが…。
結論から言おう。神ゲーだわ。俺以外みんな見つかってたけど、俺は見つからずに時間いっぱい隠れきった。一人アホなのがいたのが本当に面白かった。鬼も勿論犬の姿なのだが、このゲームの設定は、プレイヤーのアバターは全部イケメン又は美女だ。だから、鬼にすり寄ってった奴がいたのだ。両方オスだったけど。悪い発想ではないのだが、股を確認されて死んでた。
ホモがいるなんて設定無いからな。もう、偶々確認した犬が付いてたからか、目の色変えて全員の股を確認してたからな。俺はその光景をしっかりと、女子プレイヤーの方の犬に擦り寄りながら見てた。
なんか犯罪臭が有るが、犬同士だからセーフだ。
因みに、このゲーム。バトルシステム適応中以外はしっかりと人型のアバターが有る。だから、犬の種類で個人を特定することは出来ないのだ。犬のアバターはランダムで選ばれるから。
「んっ!?ソウじゃねえか!」
「あ、ちわっす。かくれんぼ神ゲーっすね」
「いや、ほんとそれな!でも、隠れる側のクオリティーがな…」
「あ、俺さっきやってましたから、今ならログで見れるかもよ?」
「え、まじ?見るわ」
因みにこの人、レース大会で2位を取ったキチガイだったりする。論理的思考の元、ようやく一位を取れた俺とは違って、正真正銘のキチガイだ。




