1/9
プロローグ 親愛なる君へ捧ぐささやかな導入
今よりほんの未来のはなし。
あるところに、幼い2人の姉妹がいました。
姉妹の周りには、彼女たちを虐げる畜生がうじゃうじゃいました。
姉妹の尊厳は無視され、人間として当然の扱いすら施されませんでした。
毎日が地獄か、それ以下の日々でした。
しかしある日、姉妹たちのもとへ1人の聖母が舞い降りたのです。
主だった畜生は打ち払われ、残った小物は一目散に逃げ出し、ついにそこには姉妹と聖母しかいなくなりました。
姉妹は懇願しました。
「助けてほしい」
「自分たちを助けてほしい」
「自分たちと同じ苦境の中にいる人たちも助けてほしい」
「この世界を誰もが幸せになれる平和な世界にしてほしい」
しかし聖母は万能ではありません。
彼女1人の力では全てを為すことはできませんでした。
そこで聖母は、この健気な姉妹に自らの力を分け与えました。
それは、この世界に巣食い弱者を虐げる畜生どもを打ち払う、強くて優しい力でした。
生まれ変わった姉妹は、この世に蔓延る悪者を打ち払う冒険に、その勇敢で暖かい心を携えて旅立ったのでした。
めでたしめでたし? いいえ、物語はここから始まるのです……。