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エイプリルフール

作者: α

確実に春を感じる三月の下旬


不意打ちのような夢を見た

君が出てきた


君とは学生時代のアルバイト先が同じだっただけ

通っている学校も住んでる場所も知らなかった


話すきっかけを作ろうとすればするほどすれ違うような気がしていて

気が付けば世間話の一つもできないままにお互いアルバイトを辞めていった


あれから15年もたつのにどうして思い出したりしたのだろう?

なんて考えつつも久々に夢で出会った君は――きっと僕の妄想もあるのだけれど――そのまま美しくなっていた


気晴らしに外に出れば景色がピンク色に染まっていて

それはもう春でしかなかった


子供と散歩している母親

彼女ももう母親になったのかもしれない

そんなことを思いながら歩けば昼寝をしている猫を見かける


結婚とか会社勤めとかあたりまえのことに幸せを見いだせなかった僕だからやっぱりふさわしくない相手だったのだろう

それとも自分に嘘をついて生きる事が出来れば何とかなったのだろうか?

きっと自分に嘘はつけても自分の“感情”に嘘をつくことはできなかったのだろうな


もうすぐエイプリルフール

その日に思ってしまおうか

「君と出会ったことが嘘であったと……」

そんなバカげたことを思いながらもすぐにやめようと思ってしまう


後悔ならばすればいい

痛みならば苦しめばいい

出会えたことを忘れることや嘘だとすり替えることの方が僕には嫌だ


エイプリルフールなのに

「やっぱり嘘はいけません」なんて説教じみた答えにたどりつきそうだ


という話を電車の中で思いついた

どこかで誰かに話す機会が作れたらいいな……



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