61ねこ そして今日も一緒にVRMMOを
「はいカーット! お疲れ様ー!」
「お疲れ様でしたー! ナナホシもお疲れ様ー」
「にゃうん」
別に大して疲れてはいないんだが、労いの言葉を否定するほど人の心に無頓着ではないので素直に受け取っておく。俺はそのままベッドから身体を起こすご主人に抱き上げられながら、抱き締められた。毎度ながら役得です。
同時に部屋に明かりが点いて、大勢の人に囲まれるご主人。彼らの奥にはカメラが複数台設置されており……つまりここは、スタジオのセットなのだった。
そう、俺たちは今まさにドラマの撮影を終えたのだ。以前ご主人に提案された、グルメドラマの撮影である。
ドラマの撮影ということで多少なりとも緊張していたわけだが、無事に終わって何よりだ。
何せ台本は事前に見ていたものの、猫に細かい演技の指示なんて普通出来るはずがないから、その辺りについては完全に白紙だったんだよな。
おかげでどうするか悩んだが、ご主人が「普段通りに過ごしてくれればいいわ」と言ってくれたので、それに応じる形でやり切った。内容が何気ないある日の風景だったこともあって、それでなんとかなったのだ。
まあ、その中で行われる食事周りの力の入れようはさすがグルメドラマって感じだったが、それはともかく。
俺がやったのは、ご主人が入れたアドリブに応答する形である。ある種の即興劇みたいな感じだな。正直なところアドリブはあんま得意じゃないんだが、普段通りでいいということだったのでなんとかなった。
ただ、俺たちの「普段通り」はどう言い繕っても普通とは言えない。何せ俺たちは普通に会話する。道具なしで俺にできるリアクションは精々イエスノーくらいではあるが、それでも意思の表明くらいは息をするようにやるし、何ならものの運搬や簡単な掃除なんかも当たり前である。
俺の思考能力がバレてからは録画予約とかパソコンの立ち上げなんかもするようになっており、それを大勢の前で披露したとなれば……ね。
カメラが回ってる間、周りから注ぐ視線は大部分が初見の衝撃映像を叩きつけれたときのそれだったぜ。俺にとっては懐かしい視線だ。ペットショップ時代は散々浴びたもんだ。
それでも、最初は微笑ましいものを見る視線だったのが、だんだん恐れに変わっていく瞬間は何回経験してもいいもんじゃないな。久々だったけど、こんなの経験しないに越したことはねぇわ。
「いやー、噂に聞いてはいたけどナナホシくん本当に賢い猫ちゃんだね。こんなにスムーズに猫ちゃんの撮影ができたのは初めてだよ」
「うふふ、それほどでも……あるわね! うちの子は世界一賢いんだから!」
だがその大部分に含まれない人物、監督の言葉にご主人が胸を張る。俺もならう形でふんぞり返った。
いや監督いい人なんだよ。ご主人のように、俺が猫らしくないふるまいをしてもそういうもんだと普通に受け入れてくれたし……。
「ということで、約束通り賢いナナホシくんにはご褒美だ!」
「にゃあん!!」
何より、報酬として猫用ケーキを用意してくれたからな!!
「わっ、ちょ、もう……しょうがないわね、食べ過ぎないようにね」
「うにゃーお!」
任せとけよ!! 昔から節制は得意なんだ!
「……めちゃくちゃ食いつきいいなぁ。一応ここも撮っておくか……?」
「たくさんのケーキ買い込んで、一人と一匹でケーキパーティなんてシーンがあっても面白かったかもしれないですね」
「いいですねそれ。まあカロリーとか諸々心配なんで、飼い主としてはあんまりさせたくないですけど」
何やら上のほうで話が続いているが、細かい打ち合わせは人間の仕事だ。俺は俺に与えられた役割をこなしたんだから、あとはもう存分に羽を伸ばさせてもらうぜ。
お、これはひょっとして馬肉も使ってるか? そのチョイス、アリだね!
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あの日、ドリル野郎を倒してSWW初のイベントが終わってからおよそ一か月と少しが経過していた。
その間、リアルでは特に変わったことは起きていない。せいぜいさっきのように、ドラマにちょびっと出演することがあったくらいだ。
明人をはじめとした前世の友人とやり取りもしていたとはいえど、あとは本当に何も変わらずゲームばっかりである。
とはいえ、現実なんてそんなもんだろう。猫の生活は暇だが、別にそれでいいんだ。社会の裏側で暗躍する闇の組織とか、突如現れる大怪獣とか、そういうのに巻き込まれるのは御免だからな。
平和が一番だ。そういうのは、フィクションの中だけでいい。
だから俺は、今日もSWWの世界にログインする。
ただ、今日はいつもよりかなりワクワクしながらログインした。初プレイのときのような感覚でログインした俺は、超久しぶりにセントラルの宿屋に降り立った。
「ナナホシさん、こっちです!」
「おー、待たせたな」
そのままセントラルのギルドでアカリと合流した俺は、彼女とギルド内に併設されている食堂に居座ってダベり始めた。
ここの運営は当然というべきか、NPCがやっているからか味に関してはプロと思われるプレイヤーがやっているところほどではないんだが。まあ、リアルでは味付けの薄いものばかり食べている身にはそれでも十分すぎるほどだ。
そして食事に加えてデザートまで済ませた頃である。入口のほうから扉が開く音が響き、こちらに人が近づいてくる気配がした。
ぴくりと俺の耳が動く。振り返るのと同時に、その足音が早くなる。そして――
「――お兄ちゃん!!」
「湊!」
駆け込んできた湊に、思い切り抱き着かれて頬ずりされた。
そう、今日は湊がSWWを初めてプレイする日である。この子は遂に、ダイブカプセルを入手することに成功したのだ。
「はうううう……! 会いたかった、会いたかったよぉお兄ちゃぁん……!」
「俺も会えて嬉しいよ……嬉しいんだが……できればもう少し力緩めてもろて……」
SWWの中だときちんと意思表示ができるからいいね。リアルでもこれできるようにならねぇかなマジで。
「よかったですね、湊さん」
「はい! SWWさまさまです!」
ニコニコ顔のアカリに、同じような顔で応じる湊。どうやらこの一か月ちょいの間に、しっかり復調したようで何よりである。
なおSWWさまさまというのは、ダイブカプセル購入の資金源がSWWだからだ。
ダイブカプセルの価格はおよそ百万円である。普通の十代が軽々に手が出せるものじゃない。湊の所持金はその普通と比べても多くはなく、これを買ったら完全に貯金がすべて吹き飛ぶ計算だったのだが……。
「言われてみればなるほどではある。これだけ大量の音声データを提供するからには、そういう契約もあってしかるべきだもんな」
その臨時収入の正体は、SWWで使える音声データに声優ミーナとして声を登録することで発生した契約料である。
内容としては、データの提供でまず契約料が。その後はゲーム内での音声使用数に応じて月々いくら、という形で利用料が発生するという形らしい。
なかなかうまいやり方だと思う。声を提供する側としては、最初の契約料でもかなりまとまった額がもらえる。もしゲームで自分の声が使われれば、それだけ定期的な収入源にもなるんだからありがたい話だ。
この案件でミソなのは、「ゲーム内での音声使用数」はプレイヤーに限らないという点だ。NPCの声も登録したデータの中から使われるらしく、一人でもNPCに自分の声が使われれば、それはほぼ永続する収入源となる。このおかげで、有名どころではない声優にもそれなりに収入の当てになるくらいにはなってるらしいんだよな。
「あれ? でしたら故人のものはどうなるのでしょう?」
「遺族に支払われていますね。お兄ちゃんの使用料はお父さんの口座に入ってます」
「なるほど、そういうことなら安心ですね」
「まあお兄ちゃんの使用料はそんなに多くないので、わたしの生活費に充てられたら大体残らないんですけど」
「ぐふ……っ!」
まさかこんなところで過去に刺されるとは思ってなかったぞ。俺がろくに売れてなかったことは事実だが、だからってそんな……あっさりバラしてくれなくても……。
「ま……まあそんなことより……湊……じゃなくて、ここだとミーナか。プレイスタイルはどういう風にするつもりなんだ?」
「事前に聞いてた話だと、お兄ちゃんの周りは前衛の人ばっかりなんでしょ? だからわたしは後衛になるつもりだよ。サポート役がお兄ちゃんだけって、絶対大変だと思って……」
「ミーナはいい子だなぁ……よーしお兄ちゃん後衛用の装備あげちゃうぞぅ」
「わーい!」
「それでいいんですかお二人とも……」
いきなり第四の都市辺りじゃないと手に入らない武器防具を差し出した俺と、それを一切抵抗なく受け取る湊にアカリがやや引いた様子を見せた。
「いいんだよ。MMORPGはゲームだけど、そこにいるのは人間だ。だからこそ人とのコネなんかも大事な武器になるのさ。中には異性にすり寄ってアイテムをもらおうとするやつだっているけどな」
「ゲームと言っても現実的な部分もあるんでしたねそういえば……」
実を言うと、最初の頃はそれっぽい感じのおっさんがアカリ目当てで近づいてきたことがあったんだが、それについては言わないでおくとしよう。知らぬが花だ。
「つーかそもそもの話、今渡したのはダンジョンとかクエストの報酬でもらったはいいが俺には使えないものばっかりだぞ。ぶっちゃけ売る以外に使い道がなかったから……」
「ああ……言われてみれば確かにどれも見覚えがありますね……」
うん、色んなところの報酬で装備品が手に入るのはありがたいんだけどね。というかそれが一般的なRPGってもんなんだが。いかんせん、装備に対して制限を負ってる身の上なんでね……。
と、そうこうしているうちに湊が装備を完了したらしい。初期装備から、いかにも魔法使いですという感じの装いに変わる。
「どうお兄ちゃん?」
「おいヤバいぞアカリ……うちの妹が世界一かわいい」
「えへへ、やったぁ」
「……湊さんのお兄さん好きはこうして育まれたんですね……」
はて、なぜだろう。アカリがツッコミが足りていないと言いたげな顔をしている。今のどこにそんなことを考える余地が?
「そ、それより。湊さん……ミーナさんは後衛とのことですが、最初のスキルチュートリアルは何を?」
「【神聖魔術】の予定です! お兄ちゃんとお揃いだし、このスキルなら攻撃も回復も補助もなんでもできるって聞いたので!」
「おー。そういうことなら俺からスキルの伝授もできるな」
スキルポイントは不足しがちで、あんま軽率に使えないからな。人から教えてもらえば節約できるんだから、積極的に狙っていこう。
湊としてもそれが目当てだろうしな。
「……お、ご主人からだ」
と、そうこうしているうちにご主人からメッセージが来た。
家事があるから先にログインしといてくれって言われてたんだよな。
普段なら待って一緒にログインするんだが、今日は湊とゲーム内での初顔合わせだったから、先に注意事項の連絡とかしたかったんだよな……って、そういやご主人に関して何も言ってねぇや。ちゃんと説明しておかないと。
あっと、その前にご主人に返信だ。「ミュウちゃんとゲーム内で合流したから今から一緒にそっち行くわね」……か。了解ーっと。
「返信ヨシ! さてミーナ……これから俺のご主人がこっちに来るわけだが、その件で言っておくことがいくつかある」
俺の正体を、ご主人は知らない。彼女にとって俺はあくまでペットの猫だ。
色々と溺愛してくれるご主人だが、それは俺を賢い猫だと思っているからこそ。もしも中身が人間だなんてバレたら、色々とマズいことは火を見るより明らかだからな。湊には悪いが、俺のことはあくまで猫として扱ってもらう。お兄ちゃん呼びはキャンセルだ。
「……いいけど……。お兄ちゃんのご主人様ってどんな人? 変な人だったらわたし許さないよ?」
明らかに不満そう! 下手なやつだったらお兄ちゃんどいてそいつ殺せないとか言い出しそう!
まったくもう、こいつは本当にブラコンだなぁ。しょうがないやつめ。
「まあ大丈夫だろ。ご主人は身元もしっかりしてるし、常識もある。俺は大船に乗った気でいるぜ」
「本当かなぁ……」
「大丈夫ですよミーナさん、その点については私も保証しますから!」
「ん……お嬢さまがそうおっしゃるなら」
湊が……俺よりアカリの意見を優先した、だと……?
そんな……そんな、湊お前……。
「……成長したなぁ……! ……なんだアカリ、フレーメン反応みたいな顔して」
「いえその……なんでもないです」
アカリがそんな煮え切らない態度なのも珍しいな。何かあったんだろうか。
「あ、いたいた。ナナホシー! アカリちゃーん!」
「おー、ご主人」
と、そこにご主人の声がかかったので、俺は手を挙げて応じる。
同時に、正面にいた湊がすごい勢いでご主人のほうに振り返った。その目はさながら、箱入り娘を嫁にもらいに来たどこの馬の骨ともわからん男を出迎える男親のごとしだったが、直後にそれは霧散した。
代わりに、彼女の顔は驚愕一色に染まる。その視線は、主にご主人の隣に向けられていた。
「MYUさん!?」
「あれ、ミーナちゃん?」
ああ、そういえば二人は同じ事務所だったっけ。
「アカリちゃんの友達が来るって聞いてたけど、もしかしなくてもミュウちゃんの同じ事務所の子?」
「うん。まさかこんなところで会うなんてさすがに思ってなかったけどねぇ」
「世界って案外狭いわよね、ホント」
和やかな様子の二人だが、対する湊が恐縮しまくってる。
気持ちはわからんでもない。さっきまでどっちかっていうと品定めするような心境だったろうに、よりにもよって現れたのが今を時めく女優二人組だもんな。
「ウチの自己紹介はなくてもよさそうだねぇ」
「みたいね。あたしはミュウちゃんの友達でカナっていうの。そっちのナナホシの飼い主でもあるわ。よろしくね、ミーナちゃん」
「は、はい……よ、よろしくお願いします……み、ミーナと申します……あの、もしや中村加奈子様では……?」
にこやかに差し出されたご主人の手を、ミーナは恐る恐るという様子で取った。その態度は完全にメイドのそれである。あれは突然のビッグネームに驚いているというのもあるが、シンプルに人見知りだな。湊は結構そういうところある。
「ええ、中村加奈子よ。……そんなにかしこまらなくても」
「いえ、副業としてメイドをしておりますので、これは癖のようなもので」
その人見知りを、メイドとしての態度を崩さないことで悟らせないようにしてるって寸法だ。芸は身を助くってやつだな。
なお、MYUは「いいセンスだ」なんてつぶやいていた。ブレない人だ。
「まあそういうことなら。……ところで、今日はこのメンバーでミーナちゃんのレベリングって感じかしら? ナナホシ、@さんは?」
「あいつなら職場が繁忙期入ったから、平日はしばらく夜遅くじゃないとログインできないって言ってたな」
「あら、それじゃ仕方ないわね」
ちなみに、明人以外の地元の友人たちはまだSWWには来れなさそうである。なんか、子供が未就学児のうちはネトゲをやる時間が取れなさそうだから、とのことで。
いつの間にか明人以外全員結婚してた上に、子供までいることを知らされたときは良くも悪くも衝撃だったぜ。時間の流れって残酷よね。
「まあそういうことなら、そろそろ行きましょっか? いくらここの時間が引き伸ばされてるって言っても、限度はあるしね」
「そうですね、そうしましょう!」
「さんせー! ……そんじゃ、まずはミーナちゃんのスキルチュートリアルをみんなで見学と行きますかー!」
「ええ……!? そ、それはちょっと恥ずかしいというかですね……」
「がんばれよ、見てるからな」
「うん! わたしがんばる!!」
おい待て、俺への矢印が何も隠せてないぞ。手のひら返しはまだしも、ハートマーク飛ばすのはやりすぎだろう! 明らかに俺にだけ態度が違う湊の様子に、MYUもご主人も訝しげじゃないか!
「ほぉーう? もしやほしりん、モテ期ってやつぅ~?」
「ふふ、相変わらず隅に置けないわねナナホシ?」
「い、いやその、これについてはだな……その……えーっと……と、とりあえず! いつまでもここにいるわけにもいかないし、先行こう先!」
にんまりとした楽しそうな顔と、息の合った動きで左右から俺をロックしようとする二人から大慌てで離れ、俺はいつもの定位置に着地する。
定位置……つまり肩を貸し出す形になったアカリは、苦笑することしきりだ。
「あっ、お嬢さまズルいですよ!」
「うふふ……ダメですよ、ミーナさん。こればっかりはミーナさんでも簡単には譲れません」
「むぅ……! きょ、強敵……! どうしよう……」
「いやー、これはどうやら色々と問い詰める必要がありそうだねカナちゃん?」
「そうね、飼い主として状況を把握しておく必要がありそうだわミュウちゃん」
「ほ、ホラ行こう! な! 時間は待ってくれないし! ……アカリ、出発しよう! 俺たちにはすべきことがある! 立てよ勇者! いざうちてしやまん!」
「ふふ、はい。ではみなさん、本当に参りましょう。ね?」
依然として慌てている俺に対して、アカリはあくまでいつも通りだ。いつも通りニコニコ微笑むと、たおやかに席を立つ。
湊もややむくれながらこれに続くが、視線は完全に俺に固定されている。
遅れてご主人たちも続くが、その表情は完全におもちゃを見る目だ。あれはそう、コイバナで初心な男子をもてあそぶとき特有の女子の目……!
くっ、女子のそういう話は苦手だ……! 高校生の頃、明人とそういう関係なんじゃないかと腐った女子たちに散々つつきまわされたおかげで……!
ましてや絶対に明かせない秘密を抱えている以上、俺から言えることはマジで何もないというのに……どうごまかしたもんだろうか……!
「うふふ、賑やかで楽しいですね、ナナホシさん。私、このゲームを始めてよかったって心から思います」
そんな焦ってるときに、そういうエモいセリフぶち込んでくるのどうかと思うぜアカリさんや!?
「……まあ、うん、それは、そう」
だから俺は、何もうまいことを言えないまま言葉を濁すことになったのだが……アカリの言葉に全面的に同意なのは間違いない。
このゲームがあったから、俺は前世の縁を諦めずに済んだ。かつての友達や家族と、また繋がることができた。それは素直に嬉しいし、ありがたいと思う。感謝しているよ。
だから……願わくば。
これからも、彼女たちと同じ時間を楽しめていけたらいいなと。
こんな何気ない日々が、これからも続いていけばと……そう、思う。
それは間違いない、俺の本音だ――。
――「猫に転生したけど、暇なのでゲーマー女子と一緒にVRMMOをする」
ひとまずはめでたしめでたし
以上を持ちまして、本作「猫に転生したけど、暇なのでゲーマー女子と一緒にVRMMOをする」はおしまいです。
ここまでお付き合いいただきましたみなさん、本当にありがとうございました。
多少なりともみなさんのお時間が意義のあるものになったのならいいのですが。
それと小説版とは別に、本日この小説のコミカライズ版14話がピッコマさんから先行配信されます。
全書店配信は7月12日になっていますので、こちらもよろしければ触れていただけると幸いです。
まあこの14話でコミカライズ版のほうも最終回なんですけどね!!!!
ええはい、打ち切りです。残念ながら、売り上げが芳しくなかったのでね・・・。
本当に残念ではありますが、市場の原理に従う以上そこは仕方がない話なわけで。
次の作品では・・・と決意を新たにするところであります。
ちなみに本作がここで完結となるのは、別にコミカライズ版が打ち切りになったのがショックで・・・とかそういうのではないです。
最初からこの辺りで終わりにしようと思ってました。いや本当なんです、信じてください裁判長。
本作のそもそものテーマは、「自分が元いた世界に地続きで生まれ変わった場合、人は前世の縁にどう対応するか?」でした。
当初の予定では普通に人間に転生するつもりでしたが、それだと前世の関係者にコンタクト取れるようになるまで作中時間めちゃめちゃ必要になるなと思ったので猫に。さらに距離の問題や言語の問題を諸々解決するために未来技術もりもりのVRゲームに、という形で本作は生まれたのです。
そのため、VRMMOものではありますが本作の根幹は人間関係の変化と変化のなさであり、前世の関係者とのあれこれが一段落するところが終着点だった、というわけですね。
ゲームに関するあれやこれやが薄めだったのはそのためですし、この先を書こうとしても本来のテーマである前世とのあれやこれやはかかわる余地がなく、ただゲームを遊ぶだけになるのでここから先は蛇足になると判断したわけです。
・・・まあ最初に思いついた段階ではこれ18禁なえっちなやつで、前世の縁と並行して同い年の女の子と・・・みたいなことを考えてたので、そっちの方向でやってたら一区切りついた先のお話も意味のあるものになったのかもしれませんが。
実際に形になった本作で、それはありません。あしからず。
ともあれそういうわけで、わりとプロット通りに着地できたので書き手としては一応ほっとしているのですが・・・。
それはそれとして、最初から最後まで満足できる出来になったかと言うとそこはまた別の話だったりして。
少なくとも、前作「確かにちやほやされたいって願ったけども!」に比べると満足できてないのが本音です。途中色々やってたこともあってかなり更新が滞ったことも含めて、もうちょっとうまくできたんじゃないかなぁとも思うわけですが・・・。
ま、そんなときもありましょう。創作をしていないと死んでしまうタイプの人間なので、なんやかんや言いつつまたやりだすでしょう。次がある。次うまくやればいいのさの精神で、頑張っていこうと思います。
次回作は・・・一応プロットはそこそこできてきているので、年内には更新を始めたいところです。
予定通りに行くなら、次回作は現代異能力バトルものになるはず。
普段にもまして性癖ましましの作品になりそうなので、どれだけの方がついてこれるかちょっとわかりませんが、もしそのときが来たらまたお付き合いいただきたく。なにとぞよしなに。
では、またどこかでお会いしましょう。
改めまして、最後まで本作を読んでいただき本当にありがとうございました。




