56ねこ ドリルよお前もか
さてもはや何度目かわからないダンジョンアタックだが、さすがに二人より五人(みずたま含む)だと色々と気楽だ。敵のレベルがかなり高い地点を歩いているのにもかかわらず、さほどダメージもなく進めたんだから、気楽というか物理的に楽というか。
まあさほど広くはない通路で戦うに当たって、俺以外全員前衛という状況はちょっとだけ戦いづらかったが……引っ掛かったのはそれくらいだった。
おかげでドリル野郎のところまで来るのに、いつもの半分近い時間しかかからなかった。ショートカットルートを見つけるための寄り道や遠回りをしてなおその程度しかかからなかったんだから、いかに戦いで人数が大事かがよーくわかるぜ。
で、そうしてやってきたドリル野郎との戦いだが……。
「【ソーラーブロウ】!」
最も技術のあるご主人が最前衛につき、中心として敵とぶつかり合う。彼女は金色に輝くオーラをまとって、的確にヘイトを稼ぎながらも致命傷を避け続けていた。
ただし散々言ってきた通りドリル野郎はひるんだりしないので、高火力のヤバい攻撃がちょくちょくご主人を襲うことになる。そうなったら、明人かアカリちゃんがクトゥグアの種火を使ってヘイトを逸らし、被弾を避けるのだ。
使いすぎないように注意が必要ではあるが、今のところ下手な消耗はない。
「【ライトブリンガー・レベル15】!」
「【フォースアタック】!」
もちろん二人がただヘイト調整だけをしているわけではなく、スキを見て攻撃を重ねている。
ご主人が攻撃を引き受けていることもあって、明人は問題なく【魔法剣】を繋げていける。アカリも、クリーチャーを【ディペンディング】して攻撃を重ねた状態で、スタミナを消費して威力を上げるらしい杖術系スキルでダメージをしっかり与え続けている。
それは俺もで、多少動くことはあれど、基本的には離れたところから固定砲台と化していた。ただし俺は唯一俯瞰した状況にいる立場なので、
「ご主人、横から来るぞ! @、スイッチ!」
「りょーかい!」
「お任せを!」
自然と指示を出す立場になったわけだが、これもある意味いつも通りと言えるだろう。
ただ普段なら回復も担う俺だが、フレイムクリーチャー・オブ・クトゥグアを【ディペンディング】すると回復効果量に露骨なデバフがかかるので、今回はそれはほぼナシだ。今回は完全に、やられる前にやれというスタンスで全員が攻めに攻めている。
一応今のところは、これでかなりの勢いでダメージを与えられている。ドリル野郎のライフゲージの減り方が尋常ではない。それでもなかなか減らないあたり、どんだけHPあるんだって何度も突っ込みたくなるがよ。
「きゅっきゅーい!」
そして何より忘れちゃならないのが、みずたまの存在である。
こいつの種族固有スキルには、色んなデバフ効果がある。これによってドリル野郎の防御力や素早さはいつもより低減しており、現状では恐らくこいつが一番のMVPだと思われる。
もっとも敵もさるもので、デバフが有効な時間はそこまで長くない。そのためみずたまは、中距離からのデバフ要員に専念していた。
「……! ゲージが85%切った、来るぞ!」
だが問題はここからだ。一定ダメージで発生する特殊技に、俺たちが身構えた直後……、
『オオオオオ゛オ゛!!』
雄たけびを上げて、ドリル野郎の全身から大量のドリルが突き出て現れる。もちろんぎゅいんぎゅいん言いながら、派手に回転している。
やつはそうなった身体を一度ぐぐっとかがませると、次の瞬間大きく跳躍した!
「避けろォォーー!」
俺は叫ぶと同時に、横に大きく跳んだ。すると直後、今まで俺のいた場所にドリル野郎が突っ込んできてド派手な音を響かせる。
当たり前のように床が破砕し、破片が飛び散るのをよそにドリル野郎はボールのようにそこから別の場所へすっ飛んでいく。そのまま誰かを狙うとかいうわけでもなく、ランダムに部屋の中を跳ね回る姿はやはり何度見てもピンボールだが……ピンボールの的なんてなりたいはずもない。
「……! アカリ! 上だッ!」
とかなんとかやってるうちに、案の定だ!
だがこれを不注意だと責めるのは理不尽ってもんだ。何せただでさえヤバい絵面なのに、この殺人ピンボールのスピードやたら速いんだよ……!
今回の俺はある程度距離があったし、そもそも人間より反射神経には自信がある。咄嗟の瞬発力も高い。だからこそなんとか回避できるが、アカリはそうもいかない。
「……っ、せぇい!」
だが彼女もなかなかやるもんだ。どうあがいても回避できないだろうと思って歯噛みした俺の予想に反し、彼女は突っ込んできたドリル野郎を杖で真横から殴り返したのだ!
結果、やつはそれこそボールのようにはじき返され、アカリはバランスを崩して倒れはしたもののダメージは少なそうだ。なんとまあ、とっさの判断としては百点ではなかろうか。
……あー、でも、満点とはいかないか。持ってた杖がボロボロになってる。壊れる一歩手前ってところかな。泣きそうな顔を一瞬見せた。かわせるならかわしたほうがいいのは間違いなさそうだ。
その点、しっかり回避行動ができているのは今のところご主人だけのようだ。俺には信じられないことだが、どうも彼女はあのスピードの特大ピンボールをかろうじて目で追えているようなのだ。あとは不規則な弾道に気をつけていれば、なんとか回避できるといったところか。
「ご主人って人間なんだよな……?」
思わずつぶやいてしまったが、いや本当、人間か? それともその手のサポートスキルでも載せているんだろうか。
……おっと、見とれてる場合じゃない!
「みずたま、すまん!」
「きゅっ!?」
全力でみずたまを蹴り飛ばし、その反動で俺もこの場から距離を取る。
直後、それまで俺たちのいた場所にドリル野郎が降ってきた。工事現場のほうがン倍マシって音を響かせて、ド派手に床に穴が開く。噴水かって言いたくなるくらいの勢いで破片が周辺に飛び散りまくる。
ドリル野郎はなおもとまることはなく、数瞬ののちにまたあさっての方向へと跳ねていった。
思わず安堵の息が口をついて出たが、まだだ、まだ終わらん。前回の経験上、このクソみたいなピンボールアタックは二十秒ほど続くのだ。
「今度はどこに……あっ」
気合いを入れなおして戦場に目を向けた俺は、ある種の予定調和を感じて思わず声を上げた。
なぜって? やけに気合いを入れたキメ顔の明人が、剣を構えて何やらスキルをチャージをしているのが見えたからだ。
俺にはわかる。あいつ、アカリの対応を見てあいつなりに思いついたんだろう。すなわち、回避に専念してどうせ防具が壊されるなら、いっそ玉砕覚悟で攻撃しつつはじき返したほうがいい、とかなんとかな!
まあ確かに、今あいつが着けているプレイヤーによるハンドメイド装備に比べれば、店売りの剣は使い捨ててもさほど問題はないだろう。懐は痛むだろうが、市販のそれなら最小限で済む。
一番使い込んでいる武器から、失っても構わない程度の武器に持ち替えているみたいだし、あいつなりにこの土壇場を凌ごうとしているんだろうが……。
だが、なあ……どうにも嫌な予感がする。ぬぐえない不安感が。
それはすなわち、今までの付き合いで散々見てきた残念なムーブに対する、ある種の信頼感でもあるのだが……。
「……! ここだッ! チェェェェェイ【フレイムタン・レベル18】ィッ!!」
突っ込んできたドリル野郎に、明人がチャージしていたスキルをぶっばなした。
火属性の【魔法剣】だ。真紅の光と炎をまとった刃は、轟音を響かせながら襲い来るドリル野郎を真正面から迎え撃つ。それはまさに、突撃バカの明人らしい迎撃と言えよう。
と同時に、凄まじい騒音が響き渡った。金属と金属がぶつかり、こすれ、砕ける耳障りな音。公害と言っても過言ではない音が鳴り響き……しかし、そこでドリル野郎の動きがとまる。
「すごいです! もしかしていけるのでは!?」
「あッ、アカリちゃんそれ……」
「フラグゥ!」
「えっ!?」
思わずご主人と二人して突っ込んでしまったが、やはりフラグだったのか。
拮抗したと思った明人とドリル野郎のせめぎあいは、直後に剣の刀身が粉々になると同時に明人が派手に吹っ飛んだことであっさりと終わりを迎えた。
明人はそのまま壁に激突し、ドリル野郎はそこを起点に元来た方向へ跳ねていく。
「@、無事か!?」
「ノープロブレムッ!」
さすがに殴られ慣れているというかなんというか、明人はすぐに戦線に戻ってきた。武器も元のものをストレージから出したのだろう、すっかり元通りだ。
ただ、ライフゲージはそれなりに減っている。直撃よりは間違いなく少ないが……。
「それより、さっきのでダメージは入りましたか!?」
「正直わからん!」
明人を気にしつつも注意はしていたから、ドリル野郎のライフゲージから目を離してはいないんだが……。
さっきの明人の一撃が果たして効いていないのか、それとも効いてはいてもダメージがほとんどなかったのか、そこらへんが見ただけではわからない。レベル18の【魔法剣】だから、直撃していたらそれなりに効いているはずだが……。
「あの技で身体から生えたドリルに当てても本体には影響が行かないとか、そんな感じかしら……」
回避のついでに俺たちのほうに回ってきたご主人が、首を傾げながらつぶやいている。
確かにその可能性はありそうだ。だとしたら、なおのことあのピンボールアタックのクソさが上がったわけだが……。
「なら、もう一度やってみましょう。コツはなんとなくわかったので、次ははじき返してやりますよ」
一度の検証でわからないなら、もう一度やってみる。それは大事なことだが、あの攻撃に真正面から立ち向かえるクソ度胸はさすがだな。こいつのそういうところは、今みたいなときはやけに頼もしく見えるぜ。さすが俺の親友だよ。
「終わるみたいですよ皆さん!」
と、そうこうしているうちにドリル野郎はドリルを引っ込めながら部屋の中央に着地した。お互いすぐに改めて身構えるが……おっと、こいつはまずい。
「みんな気をつけろ、デバフが全部はがれてる!」
「おっけー!」
「わかりました!」
「了解!」
前回の挑戦ではデバフをかける手段がなかったからわからなかったが、そんな追加効果まであったとは……! やはりこのピンボールアタックはクソだな!
だがデバフがはがれたなら、もう一度かければいい。
「やるぞみずたま!」
「きゅきゅーい!」
というわけで彼(?)を前線に向かわせ、スキを見てデバフを食らわせる作業に従事してもらうことにしたわけだが……。
「待って待って、なんかデバフ効いてないっぽいわよ!?」
一番ドリル野郎の近くにいたご主人が、最初に気づいた。
「なん……だと……?」
「えっ、どうしてです!?」
「おいおいおい、マジか!」
彼女の声に三者三様に驚いた俺たちだが……言われてみれば確かに、最初はデバフがあっさりとかかったみずたまの攻撃各種が、効果を成していない。
いや、当たっていないわけじゃないんだ。それどころか、ほとんどはしっかり命中してる。この辺りはみずたまの腕がいいんだろうが、そもそも今彼に期待されている役割はアタッカーとしてではなく、デバッファーだ。
にもかかわらず、ろくにデバフが入らないようでは意味がないじゃないか!
だが理由はなんとなく想像がつくぞ! 俺だって伊達に色んなゲームをやってきたわけじゃねぇからな!
「ナナホシ、これはもしや!」
「ああ、耐性が増えていくタイプのボスだ! 条件がライフの減少なのか、デバフの被弾回数なのか、時間経過なのかまではわからんが!」
普通のRPGでは滅多にお目にかかれない特性だが、MMORPGやソシャゲだとたまに見るヤツだ。明人の声に応じて、俺は舌打ちする。
だとすると、こいつはデバフをかけるタイミングを計算して戦わないといけない敵ということになる。くそう、面倒だな! そこまで盤面を管理できる自信はないんだが!
……ま、まあいい、まだこれは最後のチャンスってわけでもない。この情報は次に活かすとして、まずは今ここでどうするべきかだが……!
「ご主人!」
「聞こえてた! そういうことなら……みずたま! 一緒に戦うわよ!」
「きゅいっ!」
それまで中距離からスキルを使っていたみずたまが、ご主人の号令によって一気に前へ飛び出した。もはやスキルのチャージゲージは見えず、ご主人の隣に並んだかと思えば息の合ったコンビネーションでドリル野郎を常に前後から挟むような位置を取る。
ひるまない特性もあって依然としてドリル野郎の抵抗が弱まる気配がまったくないが、それでも最前線でヘイトを稼ぎまくる存在が前と後ろにいるのは、ゲームの敵キャラとしては対処しづらいだろう。
ここにアカリと明人が脇を固める形で攻撃を行い、俺も再度固定砲台となってガンガン魔法をぶっ放す。削れるうちに削ってしまおうという判断だな。
さっきまでよりもさらに攻撃的になった俺たちの猛攻で、ドリル野郎のライフゲージは見る見るうちに減っていく。その分俺たち……特に前線の四人のライフもかなり減ってきているが、まだ危険水準とまでは言えない。やはり一対多数の状況だと、一の側の攻撃が分散する分囲んでるほうはちょいと楽だな。
そして攻撃を続けることしばし。再びドリル野郎が雄たけびを上げ、全身から大量のドリルが出現させたかと思えばぎゅいんぎゅいん音を響かせて、跳ね回り始めた!
「来たぞーッ!!」
二度目のピンボールアタック。相変わらずランダムに跳ね回る敵の軌道を読んで、できる限り回避していく。
初見で十分回避できていたご主人はもちろん、アカリも今回はなんとかギリギリで回避できているようだ。
しかしその中で一人、回避を選ばなかった男がいた。
「はあああぁぁぁぁっ【フレイムタン・レベル10】ッ!」
明人である。前回とほぼ同じ状況で、しかし前回よりもレベルの劣る【魔法剣】で敵を迎え撃った明人は、
「グヘハァー!」
結局防ぎきれず、派手に吹っ飛んだ。コントみてぇだ。
「大丈夫かー!?」
「大丈夫だ、問題ない!」
俺に応じながら戻ってきた明人は、兜が吹っ飛んだようで顔があらわになっていた。久々に見たダブルメガネに笑いそうになる。
「あえて同じ状況を狙ってみましたが、前回よりも耐えられませんでした。どうやら今の自分があの攻撃を殴り返すには、最低でもレベル20くらいの【魔法剣】が必要そうです」
顔をしかめて見せる明人に、俺も思わず顔が歪んだのを自覚する。強すぎ。
しかし明人がこれなのに、アカリがさっきできたのは……二人の違いはまず純粋にレベルの差があるが、大きいのは【ディペンディング】による自己強化だろうな。あとは、確かアカリの武器である錫杖は多くの武器と違って、ダメージ計算に魔法攻撃力も関係するはずだから、その辺の絡んでそうだ。
「いい武器を使えばもっと対抗できそうですが、壊れてしまうのでそれはナシですかね……」
「となると、もっとバフを盛るしかないな」
「ええ、その通……りっ!」
会話中に突っ込んできたドリル野郎に対して床に伏せ、スレスレで回避する俺たち。
さらに床を転がりながら体勢を整えつつ、会話を続ける。
「生憎と俺が使えるスキルではこれ以上のバフはできねーぞ?」
「幸いスキルポイントは多少余っているので、この戦いが終わったら少し見直してみますよ」
明人がそう言ったところで、二度目のピンボールアタックは終わった。前回以上に回避に専念していたからか、被害はほとんどない。
とりあえず、明人にはちゃんと効果が重複するバフスキルを取るようにあとで話しておかないと、と考えながら攻撃を再開する。もちろん先ほどまでと同じく、超攻撃的な布陣でだ。
このおかげもあってか、二人で挑んでいたときはついぞ超えることができなかった、ライフゲージ50%の壁を突破することについに成功する。
「よーし、あと半分!」
「この感じなら行けそうですね!」
ご主人とアカリが少しだけ弾んだ声を上げ、攻撃を続けようとした。
その瞬間だ。
『オオオオオ゛オ゛!!』
雄たけびを上げたドリル野郎の全身から、黒い霧のようなものが噴射された。それはあっという間に部屋の中に広がり、ほどなく下から上まで全体に充満してしまった。
だが、ダメージを受けた感じはない。一体何を……? と思ったが、答えはすぐにわかった。
「……ッ!」
俺の視界の中で、アカリの身体から光が消えたのが見えたのだ。
あれはただの光ではない。彼女に何らかの強化が……バフが付与されていることを示していたものだ。それが消えたということは、そういうことである。
だが霧によると思われる現象は、それだけではなかった。アカリの身体から炎が消え、元の彼女の姿に戻ってしまったのである。さらには、他のバフを示していた白い光もきれいさっぱり消えている。
ということは今、彼女はすべての強化を打ち消されたということになるわけで……。
「……俺もか! いや、つまりこれ、全体に対してなわけだ……!」
周囲に目を向ければ、そこに例外はいなかった。戦っていた俺たち全員から、完全にバフが抜けている!
そうこうしているうちに黒い霧は消えていったが、これはまずい。一刻も早くバフを張りなおさないと……!
『【ドリルレイン】』
「どわぁぁーっ!?」
しかしそんな俺たちをあざ笑うかのように、ドリル野郎は部屋全体にドリルのエネルギー弾を連射してきた。これは! 戦闘開始直後、最初にぶっ放してきた技か!
だが当時と違い、今は俺たちにかかっていたバフがすべて消えている。ということはすなわち、クリーチャーを【ディペンディング】していた俺とアカリに対するヘイトがかなり下がっているということになる。
一方で、アイテム【クトゥグアの種火】によってヘイトを調整していたご主人と明人のそれは、変化がない。いくつか消費したから、多少下がってはいるが……それでも俺とアカリほどではない。
するとどうなるかというと、
「く……っそ、こなくそぉ!」
「ぬわーーーーっっ!!」
明人とご主人のほうに攻撃が偏るということだ!
ご主人はなんとか装備した手甲で攻撃をかなり弾いているが、それでもすべてではない。それなりにダメージを受けてしまっている。
明人に至っては、ほとんどろくに対処できずライフゲージが砕けた。つまり戦闘不能だ。
「ナナホシさん、@さんは私がやりますのでバフのほうを!」
「……っ、おう!」
倒れた明人にアカリが走る。彼女に応じて、俺はバフをかけなおすべく魔法を用意するが……。
『【ダークレーザー】』
「ぐァ……ッ!?」
チャージゲージを見せることなく、ノータイムで放たれた真っ黒なレーザーが俺の身体を貫いた。
バカな!? 今の挙動は、その動きは……まさか!
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名無し イビルホムンクルス・ドリル・スペシャル・ハイパー Lv???
称号 イベントボスモンスター
守護星 ???
守護神 ニャルラトテップ
状態 特殊強化(ウィズダム)
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「……ッ、ふっざけんなお前もかよ!!」
いつかのクリーチャー戦と同様の状態に、思わず悪態をつく。
『【ドリルチャージ】』
だが次の瞬間、今までのドリル野郎なら絶対にやらない行動に出た。すなわち、周りよりヘイトが低いはずの俺に向けて、攻撃を重ねるという行動に。
スキルによって地面を高速で滑りながら俺に向かってきたドリル野郎は、そのまま激しく回転させたドリルの片方を思いっきり俺の腹めがけて突き出してきたのだ!
「ナナホシ!?」
「ナナホシさん!!」
二人の声が耳に届くが、もはや俺にリアクションをするだけの余力は残されていなかった。
なぜなら俺のライフゲージは砕けており、その場に倒れ伏すことしかできなかったのだから。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
中ボスが強化状態になるんだから、大ボスがならないはずがないんだよなぁ。