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フラグ

殿下付きの乳母になって約二ヶ月が経ち、殿下や同僚(側付き次女やら護衛騎士やら)とも大分仲良くなって充実した毎日を過ごしているリュシー&フィオレ親子です。


ここトバリ王国では、毎年桜に良く似たセレスの花咲くこの季節に【大武道大会】というファンタジー世界定番の大会が催されるんだけど、この大会には世界中から腕に自信のある猛者達や名前を広めたい貴族達がこぞって出場する。つまり、トワイライト王国でトップクラスの戦闘力を持っているヒロインさんと愉快な仲間たちもやって来るってことよ!。

最近色々マズイことになってるから、国力的には何も問題が無いことを周辺諸国にアピールしなければいけないからだそう。


で、どうしてトバリ王国で開催するのかと言うと、この世界には24個の国と6個の大陸があるんだけど、その真ん中の大陸の中心にあるのがここトバリ王国で、更に国力も常にトップ3に入っているから、大会を開催するのに申し分ないってことみたい。

大会に参加する選手や観戦しにくる観客達がお金を落としていってくれるからこの時期王都は物凄い人になるらしいわ。

私も過去に何度か両親に連れられて観戦しに来たことがあるから知ってるけど、元の世界で言うところのオリンピックみたいだな〜なんて思って見てたわよ。


他国の出場選手達が王都に集まるのは一週間後。大会が開催されるのは3日間だから計9日間のお暇をいただいて、私は大会が開催されている間王都から離れる事を決めた。


こうして、宮廷薬剤師になるまで暮らしていた街ローザに向かう箱馬車に揺られている訳である。


「おやお嬢さん、大会が始まるこの時期に王都を出るのかい?」


ポカポカ暖かい春の日差しに包まれ眠ってしまったフィオの寝顔を見ていたら、斜め向かいの席に座っているお婆さんが不思議そうに聞いて来た。


「ええ、そうなんです。急用ができてしまって…」

「そうかいそうかい。私も娘の出産が近づいて来てね、ムシュカに戻らなくちゃいけなくなってしまったんだよ。大会も見たかったんだけどね〜」


お婆さんは残念そうに呟くと、私の隣に腰掛けフィオの頭を優しく撫でた。

ムシュカは、ローザの隣街で良質な紅茶の茶葉の産地で有名な街である。私ムシュカ産の紅茶大好きなのよね〜。


「おぉおぉ、元気で可愛い良い子だねぇ。お嬢さん達は何処まで行くんだい?」

「ローザです。」

「おや、意外に近いね。お互い無事に街に着けたらいいけどねぇ。」

「そうですね〜」


魔物やら賊やらがいて何かと物騒なこの世界では、半日馬車に乗るだけでも何が起きるか分からない。銃刀法なんてないからね。


…そしてお婆さん、人はそれをフラグと呼びます。



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