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午後の一時

今回は説明回です。

長らくお待たせしてしまってすみません(涙)

大会が終わって数日後の午後、本日の殿下のご予定はすべて終わり、只今殿下の私室にてまったりタイム中。

今日のフィオは、ソルとシアに預けて部屋でお留守番。


「リュシーそこのほんとって」

「はい殿下、こちらの本ですね」


どれほど賢くても所詮は幼児。本棚の上の高い所にある本が取れなかったらしい。けれど殿下の指差した本の題名は『魔法について ルスカー・ロイテル・シュバルト コリオストロ教会出版』という、とても三歳児が読むような本ではなかった。


「殿下、魔法について興味がお有りなのですか?」

「うん、せんせいにきいてもぼくにはまだはやいといって、おしえてくれないんだ。だから、じぶんでしらべようとおもって」

「なるほど、でしたら私がお教え致しましょうか?」

「え、いいの⁉︎」

「はい。魔法の使い方ではなく、一体どういうものかという程度でしたら、私がお教えしても大丈夫かと思われます」

「やったぁ!ありがとうリュシー‼︎」

「ふふふ、どういたしまして」


満面の笑みの殿下につられ、思わず笑い返しながら、手を引き導かれるままに殿下の隣に座りその分厚い本を開いた。


「『第1章 魔楽器奏者について』

魔楽器奏者とは、魔楽器を扱う才能を持つ者が、世界共通成人年齢の十八歳になってから入学することができる、三大大国に一つずつ世界に合計三校しか存在しない『国立魔楽器奏者育成楽器』で二年間修行を積み、卒業した者のみが名乗ること許される特別な職業である」

「ねぇリュシー、じゃあじゅうはちさいになるまではなにをしていればいいの?」

「皆んなそれまでは、自分の行きたい学校で、自分が学ぶべき事を学ぶのです」

「まなぶべきこと?」


殿下が可愛らしく小首を傾げて、頭の上にクエスチョンマークを浮かべる。


「はい、平民なら自分のなりたい職業に就く為の知識を学び、貴族ならノブレスオブリージュについて学ぶのです」

「そうなんだ!つづきよんで‼︎」


袖を引っ張って催促する殿下に苦笑しながらも先程まで読んでいたところを見つけ、そこからまた難しそうなところを出来るだけ掻い摘んで読んでいく。


「『第2章 属性について』

魔楽器を用いて使うことが出来る魔法には、属性と呼ばれる複数の種類がある。

《火、土、風、水、光、闇》の六種類を【主属性】と呼び、《治癒、音、心、鑑定》の四種類を【稀属性】と呼ぶ。そしてそれぞれの主属性には【特殊魔法属性】というものが存在する。

火の特殊魔法属性は《焔》、土の特殊魔法属性は《木》、風の特殊魔法属性は《空気》、水の特殊魔法属性は《氷》、光の特殊魔法属性は《聖》、闇の特殊魔法属性は《影》であり、これらの属性の力は主属性の比ではないとされている。

また極稀に【無属性】を持って生まれる者もおり、そういった者は【身体強化魔法】を使用することが出来る。

そして最後にこれらすべてに当て嵌らない【神属性】《魅了》《断罪》《祝福》の三種類が神話に描かれているが、その存在は極々少数で滅多に現れることはない」

「リュシーはどのぞくせいがつかえるの?」

「私でございますか?」


こくりと頷く殿下に正直に答えていいものかどうかと少し悩みはしたものの、結局マズそうなもの以外答えることにした。


「私の属性は稀属性全種と《氷》《空気》《影》です(実は断罪も使えるんですけどね)」

「それってすごいの?」

「はい恐らくは。ですので殿下、これは内緒にして下さいね?」

「うんわかった」

「ありがとうございます」


取り敢えず言質をとって安心したから、また続きを読む。


「『第3章 魔楽器について』

魔楽器奏者の使用する魔楽器は多種多様であり、その形や種類に決まりは無く、自身が最も使いやすいと思う物を使うのが一般的である。最も多いのは魔力を直接流しやすい管楽器であり、最も少ないのは大型の持ち運びしにくい物である」


今回は殿下ストップが入らなかったから、そのまま読み進める。


「『最終章 曲について』

魔楽器奏者の演奏する曲はその場面場面によって異なり、難易度や演奏時間によって奏者の腕前を測ることが可能である。

それが最も顕著なのは治癒属性であり、奏者の腕前に患者の生死が関わることが多い為、治癒属性の奏者にはその道の熟練者が多い」


殿下が首を傾げ私を見上げて問う。


「じゅくれんしゃって、いっぱいじかんをかけてれんしゅうしたひとってことでしょう?でもリュシーはわかいよね?」

「私は例外ですよ、例外(何せ転生者ですから)」


強張る顔に何とか笑顔を貼り付け、冷や汗をダラダラ流しながら誤魔化す。


「れいがい?リュシーってほんとうにすごいんだね‼︎」


顔を赤らめ、キラキラした目で見上げられて私は苦笑した。


こうして長閑な午後の時間は過ぎていく。

だが、そんな時間は長くは続かない。

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