表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/36

残り香

日付が変わるまで30分ほどしかありませんねぇ。ぎりぎりです(笑

読んでくださる方が、いかほどいるのかわかりませんが、遅れて申し訳ありません。


1回ほど、すっぽかしても誰も気付かないのでは? という思いもしますけど……


「本日未明に起きた、殺人事件の現場写真だ」

 田坂さんは、20枚ほどの写真を広げて見せてくれた。

 私はその中から4枚ほど抜き取り、じっくり見た後にレイに渡した。レイも写真を見ると頷いた。

「田坂さん、十中八九ヴァンパイアの仕業だと思います。喉を噛み千切られているにしては部屋の血痕が少なすぎますし、もう一人の被害者の衰弱死ですが、おそらく精気だけ抜き取られたのでしょう。部屋の状態から性交の後がありませんでしたか?」

 私の問いかけに佐藤さんが答えた。

「ええ、確かにベットのシーツから、体液が検出されています」

「聞きたいのだが、ヴァンパイアが精気だけを抜き取るなんて可能のか?」

 これは田坂さん。ベテラン刑事なのだから、これくらいの知識は持っていると思うのだけど……

「はい。可能です。精吸鬼とも呼びますがヴァンパイアと同種です。あまり世間では知られていませんでしたが、ハンター内では有名な話ですし最近はテレビで紹介されていますから」

「そうか。続けてくれ」

 私は他の写真をもう一度めくってみたが、興味を惹かれるものは無かった。

「佐藤さん、一緒に部屋に入った女性の写真はこれだけですか?」

 私は金髪の女性の写った写真を手に取る。画像が荒い上に後ろ姿だ。これでは人物の特定は難しい。

「これだけです。後はうまく死角に入られてしまって」

「しょうがないですね。では行きましょうか」

「どこに?」

 レイが怪訝そうな顔で聞いてきた。

「もちろん現場によ」

 私は男三人を急かして事務所を出た。




 現場はわりと近かった。事務所から車で十分ほど行ったラブホテルだ。部屋に入るとまだ血の臭いがした。

「……ものの見事に空ね」

 警察は小さい物は根こそぎ押収したらしい。部屋にあるのはベッドやテーブルなど大型のものだけだ。掃除機までかけたらしく埃一つ落ちていない。手がかりになる物はありそうに無い。

「一応、調べてみましょう。盗撮カメラでもあったら儲けものよ」

 男達が部屋中に散る。私はバスルームを覗いてみたが、手がかりになりそうなものは無い。そこに残された香以外は……

「田坂さん、現場検証の時に女性の方いましたか?」

「いや、いなかった筈だがどうかしたのか?」

「香水の香が残っているんです。本当に微かにですけど」

 だが私には確信があった。それが嗅ぎ慣れた香だったから……

「嬢ちゃんがつけているものじゃないのか?」

「私がつけているのは『SENTIMENTセンチメント』というもので、このストロベリーの残り香は多分『SEXYセクシー GRAFFITIグラフティ』です」

 田坂さんは信じられないと言う顔をしている。田坂さんが佐藤さんを見ると佐藤さんは首を振った。「わかりません」という事らしい。

「確かに秋穂のとは別の香がする。香水の名前まではわからないが……」

 レイが、助け舟を出してくれた。

「一体、どんな鼻をしているのだか。嬢ちゃん、俺は香水の事はまったくわからん。そのセクシーグラフティという香水の残り香で間違いないのか?」

「『リーフ』の秋保さんが、良くつけていますから間違いありません」

 田坂さんは少しだけ考えて。

「わかった。捜査会議で報告しておこう。おい佐藤、鑑識呼んでもう一度徹底的に調べさせろ」

 どうやら、信じて貰えたようである。


今回もお付き合いありがとうございます。


秋穂ちゃん、どんな鼻をしてるんですかという話(笑

次回は新たな犠牲者が出ます。今回のパートの続きですね。

ではまた来週の水曜日に。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ