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ゾンビはいやー


 『リーフ』から出ると、右手の大通りから悲鳴が聞こえてきた。

 化物がどうとか、聞いた私はハンドバックからCZ−75を引き抜きながら走り出した。

 大通りに出て、逃げ惑う人の波に逆らって走る。100m程走った所で10体のゾンビを遠巻きにしている人々がいた。ここまでくると野次馬根性もたいしたものだ。動きの遅いゾンビとはいえ、人間より力は強いのだ。

 他のハンターも、警察もまだ到着していない。むー、現場整理してもらわないと、銃が使えないじゃない。

 断っておくが、ハンターがモンスターを狩る時に、周囲の被害を考慮する必要は無い。たとえ、流れ弾で一般人が死傷しても、責任を取る必要はないのだ。多少の被害が出ても放っておくと危険なモンスターの駆除が優先される。周囲の被害を考慮するかどうかは、ハンター個人の判断に委ねられる。

 Dクラスのモンスターであるゾンビは、捕まりさえしなければ危険性は少ないし、通常の武器でも脳さえ破壊すれば行動不能となる。

 警察の到着を待ってから、アクションを起こせば良いと判断した私の目にゾンビに押倒され必死に抵抗している中年男性の姿が映った。

 反射的に身体が反応していた。男とゾンビの元に駆け寄り狙いを定めて足を振る。パンプスがゾンビの大きく開いた口にのめり込み、ゴキッという音と供にゾンビの頭が腐汁を撒き散らしながら宙を舞う。

 きゃー、汁が服にはねたー。高かったのになぁ、この服。しかし視線を下ろすともっと悲惨な目にあっている人がいた。中年男性は命こそ助かりはしたものの、ゾンビの腐汁を顔に被っている。ごめんね、おじさん。

 後ろを見ると、佐藤さんの姿が見えた。

「佐藤さん!ほら、早くこの人を安全な場所に」

 佐藤さんが、あらさまに嫌そうな顔をする。

 ……気持ちはわかるけど、あなた警察官でしょう……

 だがその行動がゾンビ達の関心を買ったようだ。残ったゾンビ達がこちらに身体を向け近づいてくる。

 う、予備弾倉持っていないのに…… 怖くは無いが生理的嫌悪感は拭えない。汁っぽくてぐちゃぐちゃしてるし、何より腐敗臭が尋常ではない。

 えい!と気合を入れなおし、近づいてくるゾンビ達に向かい突撃する。先頭のゾンビの懐に潜りこみ、喉にCZを押し当て発砲する。降り注ぐ腐汁。もちろん私も無事ではすまない。もうこのスーツは駄目かなぁ。

 ゾンビの動きが止まった。よし、あと8体。

 ゾンビ倒すたびに歓声と拍手が起きる。いい気なものだ。私は貫通した弾丸が野次馬に当たる事を恐れて、距離をとっての射撃ができないと言うのに…… 歓声送ってないでさっさと逃げなさいよ!

 9体目を倒した所で弾丸が切れた。ゾンビから距離をとって周囲を見回すが、警察も他のハンターも到着していないらしい。

 何でこんなに遅いのよ。いいかげん腹が立つ。ついでに言うと佐藤さんと田坂さんの姿も見えない…… 警察官が何をしているのよ。

 私は覚悟を決めて近づいてきたゾンビの腕と襟を掴む。ぐにゅ、とした嫌な弾力の無い柔らかな感触と、何か液体が滲んでくる感触…… 総毛立つがその感触を我慢して一本背負いで跳ね飛ばし地面に叩きつけたゾンビの首を踵で踏み潰す。腐汁が派手に飛び散り胴体から切り離されたゾンビの首が転がっていく。ビクンと数回痙攣してゾンビが動きを止める。

 私は息を吐き出し、その場に座り込んだ。

 うう、お風呂に入りたい……

 私の頭の中には、その思いだけが巡っていた。


読んでいただきありがとうございました。


何故このシーンが入ったかというと、とあるチャットで、近接戦闘(格闘戦)をしたくないモンスターは? という話になりまして。

私はゾンビが一番嫌だなぁ。と思ってます。

ぐちゃぐちゃしてるし、臭いし、臭いし、臭いし、うじとかも沸いてるし、臭いし(笑


来週の更新は、事情により一日早くて火曜日になると思います。(水曜日になったときは勘弁してください)

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