尋問
ぼやけた意識が戻ってきた。頬に小石の当たる痛みで地面に転がされているのがわかった。無意識のうちに手が銃を捜すが見つけることができない。
「目がさめたかしら?」
女の声、しかも人を馬鹿にした響きがある。私は身体が訴える痛みを無視して体を起こし、顔を声のした方向に向ける。
金髪の背の高い女…… それに香水『SEXY GRAFFITI』の香り。防犯カメラの画像に写っていた女性に間違いない。
「あなたね、ホテルで人を殺していたのは」
「殺す? 彼等は食料よ。下僕にするまでもないクズ」
女が鼻で笑う。
「ならば、あなたを滅ぼします。たとえ原種のヴァンパイアだとしても」
反射的に腰に手がいくが武器はない。女の姿が消え、後頭部に圧力がかかったのを感じた瞬間、私は地面に押さえつけられた。
「勇ましいのは良いけど、力量の差は把握しておく事ね。武器は捨てさせてもらったわ。それと、原種なんてあんな未覚醒の半端者と一緒にしないでもらいたいわね。不死の一族の私とは別物よ」
ありったけの力で女を跳ね除けようとするが、ピクリと動かない。
「さて、無駄な抵抗は止めて、今から質問に答えてもらえないかしら?」
私はせめてもの抵抗に女を睨みつける。が女はそんな私を無視した。
「美月という名前に聞き覚えは?」
私は首を横に振る。
「そう、あなたはレイと私の関係を知らないのね?」
私は頷いた。
「巻き込んだ私が言うのも変だけど、あなたには知る権利があるわね。時間があれば話してあげる」
女が意味ありげに笑う。
「レイは、あなたの血を吸ったの?」
私は答えずただ睨みつける。
「その目…… あなたみたいな娘、嫌いじゃないけど、答えてくれないとこうするしかないの」
女が私の腕をひねりあげる。
「うぐっ」
悲鳴を上げたいのを必死に堪える。
「あと、1センチひねれば折れるわよ。答えてくれないかしら?」
痛みに耐えながら頷く。腕が解かれた。
「で、どうなの?」
首を横に振った。
「本当ね? それならレイは私には絶対に勝てないわ。彼は只のヴァンパイア。私を殺すには役不足よ」
女は少しの間、何か考えていたが、私の方を見ると口を開いた。
「それじゃ、あなたにも教えてあげる。レイとアルセクトが何故私を追いかけているわけ…… 200年前の事をね」
秋穂ピンチの状態のまま、次回からレイ君の過去編です。
レイとアルセクト、カミラの因縁が明かされますよと。結果だけ書くと1行で事足りる因縁ですが(笑
ではまた水曜日に