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月島 舞奈


「ふん、人間の割にはよくやった方だな」

 黒衣の男が数メートル前にたたずんでいた。私は廃墟の壁にもたれかかり、男、いや、ヴァンパイアを無言で睨みつけた。はっきり言ってしんどい。あの娘、よく1人でヴァンパイアを退治したものだ。アシスタント達ともはぐれてしまったのは思いのほか痛かった。

「ほう、いい目をする。我が花嫁にしてやろうか?」

 冗談じゃない。

 ヴァンパイアが少しずつ歩みを進める。あと、2メートルまで来た時、私は右手に持ったワイヤーを思い切り引いた。

「ぐぉぉぉ、おのれ、人間ごときが!」

 目の前でヴァンパイアが極細のワイヤーに娶られている。

「人間を舐めるな。クソヴァンパイア」

 さらにワイヤーを引く。目の前で断末魔の悲鳴を上げてヴァンパイアが細切れになる。

「早く、皆と合流しないと……」

 足から力が抜けた。視線が低い、バラバラになったヴァンパイアの残骸と同じ高さだ。私の意識はそのまま闇に飲み込まれた。




 バラバラにされた肉塊が、グチョグチョと蠢くと人型を成した。

「このクソアマ、カミラ様の血をもらって無ければ、消滅する所だったぞ。殺す前に、生きている事を後悔するまで、犯しぬいてくれる」

 女の腕を掴もうとした時、胸に灼熱感が走った。胸から血に塗れた銀色の切っ先が生えている。消滅する前にヴァンパイアが見たモノは金色に光る双眸だった。




「月島さん、大丈夫?」

 俺は目を覚ましかけた、舞奈さんの頬を軽く叩きながら声をかけた。

「あ、貴方は? 確か、秋穂の所の…」

「秋穂の助手をしているレイ=ブラッド」

「ヴァ、ヴァンパイアは?」

 まだ力ない声で、舞奈は聞く。

「月島さんの横で灰になっていたよ。灰は回収しておいたから、少し休んで秋穂達と合流しましょう」

「あなた1人なの? 今、秋穂達は?」

「本部の近くで、月島さんといた警官達と合流したよ」

「早く、合流しないと、あの娘に負担がかかりすぎる」

 まだ、力の入らないはず身体を起こすと、舞奈にかけられていたレイの上着が落ち、白い肌があらわになる。

 レイは舞奈から視線を外した。

「すいません。脱がさないと止血できなかったものですから」

「謝らなくてもいいわよ。ちょっとだけ、そのまま向こうを向いていて」

 衣擦れの音だけが静寂に響く。

「もう、いいわよ。ごめん、上着、血で汚れちゃった。帰ったら弁償する」

「いいですよ。気にしなくても」

「駄目よ。お姉さんの言う事は聞きなさい。レイ君に似合いそうなのコーディネートしてあげる。秋穂も一緒にショッピングよ」

「はいはい。分かりました」

 早い話が、荷物持ちじゃないか…… レイは、投げやり気味に返事した。


秋穂の師匠月島舞奈さんの登場です。

ピンチです。

それにしても、レイは何をやっているのだか。あちらこちらフラフラとしてからに(笑


次回からある意味新展開です。ではまた水曜日に。

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