表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忠誠と代償  作者: 羽秀
5/5

四章:血と名前1

「お願いします」


ジクスは頭を下げた。










「全く、お前は。犯罪者を生かしておくなど何事だ!!」


怒声が響いたのは、王座の間。王座には怖い顔をした白髪の男が一人座ってい、その横には黒服をまとった六人の術師が居た。以前、ルルアが言っていた「うえ」とは、ここにいる人たちの事だ。

全てを知り、全てを動かし、全てを罰することのできる究極の組織――マギラ。

マギラは全員で八名。もう一人は、今は不在らしい。

ジクスの前で王座に座っているその男の名は、カテリア・ウル・ニルグ。通称カテル。

マギラのリーダーであり、ジクスの父である。


「…………親父」


父親の前では、目つきと口調が悪くなるジクス。


「アイツは、そんなに汚い人間じゃない。ちゃんと更生すれば、戦力になるさ」

「ふん、そんなこと俺がきくと思うか」

「思わねえ。だから…。おれは、おれの好きなように動く」


その言葉に、カテルは眼を丸くした。


「なにをしようと…?お前ごときに、なにができる!」

「おれには、仲間が居る」

「……」


はあ、と思いため息をつく。二十三にもなる独身の男が、仲間だのどうのこうの言ってる暇があるのだろうか。

マギラは、まだジクスには任せられないとカテルは思った。


「婚約相手に、このことが知れたら…婚約破棄だぞ」

「破棄、か。いいじゃねぇか」


ニヒルに笑うジクスを観て、カテルはぞっとしたように肩をあげた。


「跡継ぎは、どうする。おろかな民に、ニルグ城を………国を任せるつもりか!?」

「…愚か、だと?」


愚かという言葉に反応するジクス。怒ってしまったら、もう手のつけようが無いことをカテルは知っている。しまった、と内心毒づいた。


「民は…、ルルアやジーランドは…。愚かじゃ、無い。お前よりは愚かじゃない!!」


大声を出したため、はあはあと肩で息をし、眼は見開かれている。数秒後、チッと舌打ちをして「胸糞悪ぃ」とドアを乱暴に閉めて出て行った。

はあ、とまたもや深いため息をついたカテルのもとに、小さな光が飛んできた。それは次第に人の形を成していき、やがては綺麗な女性に変わる。


「……ノア」


名前を呼ばれた女性は、優しく微笑んだ。

カテルに手招きされて膝の上に座ったあと、ノアは周りの六人に各自室に戻るように言い、王座の間は二人きりになった。


「カテル。ジクスの言うことも、わかってあげて…」

「ああ…努力はしている」

「でも、素直だからいいじゃない。捻くれていたら、今より厄介だったかもしれないのよ?」


ふふっ、と笑うノアが可愛らしくて、口付けを贈る。


「んっ…」

「お前に、似たのかもな」


そうね、と言い、カテルの首筋に顔を埋める。


「体質まで似てるから、少し大変だけどね?」


ノアは、精霊。そのノアから生まれたジクスは、半分人間で半分精霊なのだ。

精霊の体質は、無意識に光になることがあること。ジクスが小さい頃、かくれんぼした際に見つからなかったことがあった。無意識に光になっていて、誰にも気づかれなかったという。

そういった体質のせいか、動物や精霊がなつきやすい。下手をすれば、アミューズメントパークになるかもしれない。


「母親って、大変ね…カテル」

「だが、辛いことばかりではないだろう?」

「ええ。貴方が居るもの。私は、貴方の精霊なのよ?」

「知っているさ」


もう一度、ノアに口付けを贈る。ノアもそれに答え、口付けは次第に深いものへと変わっていく。

ジクスがこれからどう動くか、見ものだなとカテルは思った。









「くそ、」


イライラする。というか、している。

カテルにではなく、自分にだ。

どうしてあの時、ジーランドのことを戦力などといったのだろう。戦力でなく、もっと大事な存在のはずなのに。


「…大事?」



大事。


彼女が大事。


大切。


可愛い。


愛おしい。


欲しい。


欲しくてたまらない。


好きだ。


好きだ、好き。


大好きで大好きで仕方が無い。



「…そこまで、好きだったのか?おれ」


だから、婚約破棄と聞いて嬉しかったのだろうか。

自然と頬が緩み、イライラしていたのに気持ちが軽くなった。

よし、と。

ジクスは彼女の部屋に行くことを決意した。行動派なので、すぐに告白しようと思った。


結ばれるように。


おれと、彼女が。










「お願いします」


ジクスは静かに祈った。




あれ、最後のほうミラエクを出すつもりだったのに…。

出なかった?


ごめんよミラエク!!次、出すからああ!!!


というわけで、今後ともよろしくおねがいします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ