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ねずみさん


 ステラは必死で逃げてきたので、すっかり疲れてしまいました。

 倒れ込んでからしばらく動けずに、そのまま寝転んでいました。

 森は変わらず暗くて不気味です。

 ステラは怖くなって、涙を流しました。

 「お母さん・・・・・・、お母さん・・・・・・」

 一人で森に来てしまったことに、後悔も思い始めます。

 「う・・・・・・うぅー・・・・・・」

 しかしその時、ステラの泣く声の合間に、近くで誰かが苦しんでいる声が聞こえてきました。

 ステラがそれに気がついてその声の方へゆっくりと近づいていきますと、するとそこには怪我をしたねずみがいました。とても痛そうに苦しんでいます。 

 ステラはそれを見て驚き声を掛けようとしましたが、しかしその時ステラはそれをためらいました。

 また嘘かもしれない。騙されるかもしれない。そう思ったのです。

 しかしステラは、目の前で苦しむねずみを見て見ぬふりすることは出来ませんでした。

 ステラはその時ねずみに駆け寄って心配そうに声をかけたのでした。

 「大丈夫?ねずみさん!」

 そして持っていた傷によく効く薬をつけて、着ていた服の裾を破ってねずみに巻きつけました。

 するとそれに気づいたねずみがステラに声をかけました。

 「う・・・・・・あ、ありがとう。助けてくれて。でも、何故僕を助けたんだい?ここは迷いの森。これは罠かもしれないよ?」

 しかしそんなねずみの言葉に、ステラは首を振って答えました。

 「迷いの森だってなんだって関係ないわ。私は苦しんでいる人はそれがたとえ嘘だって見て見ぬふりなんかできない。私はあなたを助けたかったから助けたの。それに理由なんかいらないわ」

 「・・・・・・君は、とっても優しいんだね」

  私がそう言って微笑むと、ねずみも少し微笑みました。

 「君は、なんて名前なの?」

 「ステラよ!」

 「そうか、ステラって言うのか。とってもいい名前だね」

 するとその時、ねずみが傷ついた体を引きずりながらステラの手のひらへと登ってきました。

 ステラはそれを心配しながら見ていますと、その時ねずみが言いました。

 「じゃあ、そんなやさしい君に一つお願いしたいことがあるんだ。僕にキスをしてくれないかな?」

 ステラはそう言われて頷くと、ねずみのおでこに優しく口づけをしました。

 するとどうでしょう。みるみるうちに傷が治っていき、そして次第にねずみの体は大きくなっていきました。

 ステラが驚いて見ていますと、そのうちねずみに羽が生え、そしてねずみはペガサスの姿へと変わっていきました。

 「ねずみさん!」

 ステラがその姿に驚いてそう声をかけると、その時ペガサスが言いました。

 「ありがとう。実は、僕はいじわるな魔女に魔法でねずみの姿に変えられていたんだ。僕を助けてくれたお礼に、ステラ、君の願いを聞こう。僕に出来ることで、君の役に立てることはあるかい?」

 そんなペガサスに、ステラが言いました。

 「じゃあ、この森の先にある、お花畑に連れて行ってくれないかしら。そこにある、四葉のクローバーを見つけたいの。そして、お母さんの病気を治したいの」

 ステラがそう願うと、ペガサスが頷きました。

 「わかった。じゃあ、君をお花畑に連れて行こう。僕の背中に乗って!」

 「うん!」

 ペガサスに言われて、ステラはペガサスの背中に乗りました。

 するとその時、ペガサスは翼を羽ばたかせると、空に向かって飛んで行きました。木々を潜り、森を抜けていくと、その時眩しいほどに輝く太陽と青い空が見えました。太陽は地平線の向こうへと向かっていて、空は少しオレンジ色を帯びてきています。

 「わあぁ!なんて綺麗なのかしら!」

 ステラがそれを見て感動していますと、その時ペガサスが笑って、そして言いました。

 「さあ、もうそろそろ着くよ。しっかり捕まってて」

 ペガサスがそう言うと、その時段々と地上へと降りていきました。

 真っ暗な森の上空を抜けて、美しい色の一面の花畑が見えてきました。

 ステラがそんな花畑を見て感動していますと、そのうちその花畑へと降りていきました。




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