姉さまキツネ
いつもの森を抜けていくと、そこに一際暗い不気味な森がありました。
そこは、『一度入ったら帰って来られない』と森の動物たちに恐れられる迷いの森です。
ステラも、お母さんに決して近づいてはいけないと教えられていました。
しかしこの森を抜けないと、四つ葉のクローバーは探せません。
ステラはその森を見て恐ろしく思いましたが、しかしお母さんのためにと思い、勇気を振り絞って森の中へと進んで行きました。
そこは薄暗く、とても不気味な場所でした。
空で輝いているはずの太陽姿は見えません。
見たことのない恐ろしい生き物たちが通りかかっては、ステラを無視したり、睨めつけていきます。
なので、ステラは道を聞こうにも聞けずに森の中で迷い始めてしまいました。
「あら、お嬢さん。こんなところでどうしたのかしら?」
そんな時、ステラを呼ぶ声がしました。声の方を見てみると、そこには姉さまキツネがいました。
「道に迷ってしまったの。お花畑はどちらかしら?」
そんな姉さまキツネにステラは正直に話しました。
するとその話を聞いて、姉さまキツネは驚いていいました。
「あらあら、それはかわいそうに。それじゃああたしが道を教えてあげるわ」
姉さまキツネはかわいそうなステラに涙を流しながら答えます。
「お花畑はここからまっすぐ右に進んで、かかしが立っているところを左に進んだところにあるわよ」
ステラはそう言われると、嬉しそうに笑顔になってお礼を言いました。
「ありがとう、きつねさん!」
「気をつけていくんだよ」
ステラは姉さまキツネに手を振ると、言われた通りに進んで行きました。
しかしステラが行ってしまったあと、姉さまキツネは笑い転げていました。
「バカだね、あの子は。そっちは真逆だよ!」
そうです、実はステラは姉さまキツネに騙されていたのでした。