エピローグ(裏) ~第2回焼き鳥女子会~
「さいちゃ~ん。予約取れたよ~」
「・・・取れちゃったんだ・・」
私、武田彩音は、姉である武田彩からの報告に返答する。・・若干ため息交じりに。
「うん。6人、もしくは7人になるかもって伝えたら、「・・じゃあ、お座敷を個室にしますね」って女将さんが」
ナイスです、女将さん!!
「あと、なんでか「妹さんも来られますよね!?」って言われたから、「はい、その予定です」って答えたら、「ぜひお願いしますね!」って念を押されちゃった。・・さいちゃん、女将さんと仲いいの?」
「・・頑張って、病気とかで欠席にならないようにするね・・」
女将さんの気持ちは察しが付く。・・と言うより、私と同じ心情だろうから・・
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「第2回焼き鳥女子会をやります」
事の発端はここからだった。
「お姉ちゃん。いきなり言われても」
「すでに渚ちゃんからは承諾を頂きました。後、私の上司である前野さんも来てくれるようです。なので、さいちゃんも予定なければお願い!」
正直。
断りたかったけれど、予定が無かったので受け入れた。うう、やだなぁ・・
「・・ちなみに、他に来る予定の人は?」
「いや~、それが。渚ちゃんを誘った時に、「じゃあ、他のメンバーは私の方から誘っておきます!」って言われちゃったので「お、おう・・」と。」
「だから私も、誰が来るかは知らないんだ。テヘッ」
「・・・お姉ちゃん。全然かわいくないよ」
「シビアな妹! でも嫌いじゃない!!」
ハイハイ。私もお姉ちゃん好きですよっと。
「だけど一つだけ言える。・・・みんな女子だよ!」
「女子会だからね!!」
前言撤回。世話の焼ける姉です・・
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どんなに気が重くても、その時は来る。まるで人生だね。
「・・武田彩音です。姉がいつもお世話になってます」
「前野です。彩さんには頑張ってもらってますよ」
「頑張ってますかね?」「・・そう言う事にしといてあげるから」
年上二人のやりとりが聞こえる。うん。聞いてた通り、仲良さそうだ。
「それにしても、彩さんや渚さんから聞いてた通りの素敵な子ね~」
「ちょうだい?」「あげません(ニッコリ)」
・・仲が良いのはわかったから、そういうのは本人の聞こえない所でお願いします。あと親友よ。文句言わせてもらうからな。
そんな感じで会場となる焼鳥屋の前で女子3人待っていると、程なくその親友も着いたようだ。
「ごめ~~ん。まった~~??」
「大丈夫。時間ピッタリだよ」「そこは、「ううん。今来たとこ(ハート)」でしょ!」
私は全力でスルーした。「かっこハートかっことじ」まで声に出されて、相手にできるか。
「お久しぶりです、渚さん。・・と、奥様」
「あら、前野さん。お久しぶりですね。本日は娘ともども、よろしくお願いします」
大人の女性同士が挨拶している。・・いや、渚ちゃんと一緒に、渚ちゃんと同等レベルかそれ以上の超超美女な方がいるのは気づいてたんだ。
・・・多分、無意識に考えないようにしてたんだと思う・・
(・・ねぇ、お姉ちゃん、聞いてた?)(・・・うううん。聞いてない)(そりゃ言ってませんですもん)
目をパチクリさせている我ら姉妹の小声のやり取りに、さりげなく加わる我が親友。
「・・よーし、渚。・・・覚悟は良いね?」
「殺生です御代官様!どうかご慈悲を!!」
なんか色々混ざってるけど、それだけ親友が浮かれてるってことで、一応の主催者側である私は納得することにした。・・一応ね。
「と言う事で、第2回女子会のスペシャルゲストその1は、私の母、陣内貴音です。パチパチパチパチパチ~」
「渚の母です。娘がいつもお世話になってます。ごめんなさいね。若い子の中にこんなおばさんが入っちゃって」
「「いえ、そんな」」「奥様は大変若々しいですよ」
本当に若々しい。親子どころか、渚と姉妹と言われても納得しちゃうレベルだ。
「そして渚さんも、・・しばらく見ないうちに奥様に似てこられましたね」
私よりずっと以前から知っているという前野さんから見ても、そうなんだぁ。遺伝おそるべし。
「あっとそれで、渚ちゃん。・・あと一人か二人来るって言ってたけど?」
「あ、二人です。「少し遅れるんで、先に始めててください」だそうです。彩さん」
「オッケー。じゃあ全部で7人ね。入りましょう。みなさんどうぞ~」
そうして彩姉、前野さん、渚さんのお母さんの貴音さんの順にお店に入っていく。
次に入ろうとしていた人物に、私はサッと近づき、確認する。
「・・・さっき、スペシャルゲスト「その1」って言ったよね?」
「ええ、言いましたわよ」
すっとぼける親友を、ちょっと張り倒したいと思ったのは許して欲しい・・・
―――――――――
「すいませ~ん。予約していた武田でーす」
「はい、お待ちしておりまし・・・た!?!?」
「「!・・・?・・!!!!?」」
あ~、そうなりますよね~
一応説明しておくと、「客観的に見て美女に相当する」前野さんと、「誰が見ても超絶美女な陣内親子」を見た女将さんと、その反応に釣られた見た別のお客さんの反応です。わかる。
だって、普段から渚を良く見知ってる私でさえ、時折「神様っているんだなぁ・・」って思っちゃうもん。わかりまくる。
空気が止まった店内を、いい意味で空気を読まない姉(だから好き)が動かす。
「7人で予約してたんですが、2人遅れるので、先に5人入っててもいいですか?」
「・・・え?・・あ、どうぞどうぞ、こちらです!」
再起動した女将さんが、丁寧に接客してくれる。う~ん、プロだ。
「こちらです。どうぞ個室としてご利用ください」
「あら、広い」
「10人ちょっとは入れそうな座敷ですね。いいんですか、使わせてもらって?」
「ええ。お得意さんってことで」
と言っている女将さん。・・嘘ではないだろうけど、私は流石に察した。
(・・渚が他のお客さんと一緒だと、前回のようになるだろうからなぁ・・)
詳細は「第一回焼き鳥女子会」をご覧ください。・・私は見たくありませんが・・
実際、私と渚が座敷に上がろうと靴を脱いでいると、女将さんに小声で尋ねられた。
「ちょっとごめんなさいね。・・前回来なかったあのお二人は?」
「私の母と」「姉の上司の方です。・・どちらも一般人の方ですよ」
「・・芸能人とかの方がまだ良かったよ。ハァ・・」
心中お察しします。・・・でも、多分、フラグです。
「・・ごめんなさいね。すぐに注文取りに来るから、上がっててね」
「「お世話になります」」
ピッタリだった。私たちは、見合ってクスッと笑う。
女将さんも微笑んでくれた。
――――――――――
「では!とりあえず、生5でいいかな?」
「良い訳ないでしょう。未成年が二人いるんですよ」
「え~~、「とりあえず生!」は、久々にやってみたかった~」
「・・・奥様の意見はわかりました。じゃあ、大人組は生ビールで。未成年組はどうします?」
「あ、私はウーロン茶お願いします」「カルーアミルクで!」
「・・ハイハイ。ウーロン茶と青汁でいいですねっと」
「せめて聞き返して!というか青汁あるの!?ジンジャーエール、ジンジャーエールで!!」
「最初からそう言えばいいんですよ、渚さん」
親友、陣内渚のハイテンションに冷静に対処する前野さん。
「・・慣れてらっしゃいますね。渚の扱いに」
「ああ。私の上司が陣内社長と昔から懇意なこともあって。渚さんが小学校くらいの頃から、知ってますから」
「小学生時代の渚・・」
「あ、興味あります?その辺の話、良ければ致しますよ?」
是非是非!と私は答えた。
・・・なんか横で、「人を珍獣みたいに言うな―」「イヤー辞めて―黒歴史辞めて――」とかほざいてるのは、やはり全力で無視させてもらった。
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「それでは、お飲み物がいき渡ったところで」「・・待って、お姉ちゃん」
耳を澄ます。
いや、そこまでしなくても、私たちのいる座敷の外。そして建物の中。
つまり、お店の中から。喧騒が聞こえてきた。
・・・具体的にはこんな
「すいませーん。予約取ってあると思うんですけどー?」
「はいはい。・・・・・ は?」「おい、あれって」「・・え、まさか!?」
隣にいる親友にも聞こえたらしく「あ、来たみたい」とニヤリと笑い、すたすたと座敷の戸を開け、
「皆瀬さーん。こっちですー」
「あ、渚ちゃーん。誘ってくれてありがとー」
そのまま座敷に上がろうとする有名女優と、付き添いよろしくそのマネージャーさん。
「は?皆瀬・・?・・・・・は?」「ウソ!?本人!!?」「まじ!!?」
どよめく店内。してやったりと満足そうな親友。放心状態の女将さん。
・・・そして頭を抱える私の構図がそこにはあった。とりあえず女将さん、フラグ回収ご愁傷様です・・
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「と言う事で、スペシャルゲストその2は、最近また話題沸騰中の女優、皆瀬瑠衣さんでーす。ぱちぱちぱちー」
「はーい、ご紹介に預かり女子会に参加させてもらいます皆瀬でーす。よろしくお願いしまーす。そして一緒にいるのが、」
「皆瀬のマネージャーの野上です。私まで呼んで頂き、ありがとうございます。・・それで渚さん。あちらの方はお母さまですか?」
「うーあい!スペシャルゲストその1で私の母の陣内貴音です」「と言う事は陣内社長の・・ご挨拶させて頂きます。・・皆瀬さんも」「がってん承知」
友人?の母でかつ大企業の社長夫人となると大人的なあれこれがあるようで。大人的なあれこれが終わった後、今度は私に水を向ける。
「・・そしてあちらにいるのが、彩音さんのお姉さんの」
「あ、そうです。姉の彩です。」
「・・そうですか。私たちのことをご紹介してもらってもいいですか?」
(・・ん?あ、そっか!)
「お姉ちゃんゴメン!・・えっと、私が以前バイト先でお世話になった野上さん。・・と、野上さんが担当されてる女優の皆瀬瑠衣さん」
ポカンと開いた口の彩姉。我に返るや、私につぶやく。
(ちょっ!さいちゃん!皆瀬瑠衣が来るなんて、聞いてない!!)(私だってそうだよぉ~)(そりゃ言ってませんですもん)
再び姉妹のやり取りにいつの間にか加わる渚氏。私たち姉妹が睨みつけても、彼女は当然のごとく悪戯顔で満足そう。
「コホン。はじめまして。彩さん、でよろしいですか?妹さんには大変お世話になりました」
「あ、失礼しました。はじめまして、武田彩です。妹がお世話になりました」
・・う~ん、こういうのなんか恥ずかしいなぁ。
「はじめまして、彩さん。皆瀬と言います」
「あ、え、と、存じております。武田彩です。はじめまして」
・・そうなるよねぇ~。いきなり目の前に超有名人が来たら。彩姉は悪くない。
・・・悪いのは私の親友です。ゴメンね。
「・・・コホン」
絶妙なタイミングで前野さんが仕切る。
「皆瀬さん、野上さん。まだ乾杯をしていないんですよ。飲み物、何を頼まれます?」
「あ、私は~・・皆さんと同じくビールでお願いします」
「私は皆瀬を送らないといけないので、すみませんがオレンジジュースで」
・・こうしてようやく参加者全員が集まり、女子会が始まろうとしていた。
―――――――――
「・・・ねぇ、さいちゃん」
「・・何、彩ねえ?」
「・・・・・なんか、凄かったねぇ・・・」
「・・・そうだねぇ・・・」
これは一体、何の会話か?
・・はい、「第2回焼き鳥女子会」終了後、帰宅の途につく一般人、武田姉妹の会話です・・・
・・・いや、ね?女子会の実際の様子、伝えたいんだよ?
でも無理!!
内容が濃過ぎる!!!
まずね、皆瀬さん。・・女優さんがあんなに弾けるなんて、思わないじゃん!!
それを野上さん、マネージャーさんが止めるのかと思えば、むしろ煽ってくるし!
しかも、前野さん。できるはずの姉の上司が乗っかってくるし!!
そして極めつけが、陣内母娘!!
娘がその舌で前回のごとく忖度なく料理を評価していったと思えば、
お母さまがほぼそれを聞いただけで、評価ポイントと改善ポイントを、案含めて的確に口に出すんだよぉ~
これを聞いた女将さん、目を丸くした挙句、「ちょっと待って、主人呼ぶから!!」とメモらせる始末。
最初は訝しがってたご主人も、最後は
「やるねぇ・・俺もまだまだだったぜ・・・きっと精進してみせるから、次また挑戦させてくだせぇ!!」
と、90度以上に頭を下げる始末。なんだこれ
・・・他にも、「ある人」が話題に上がった途端、急激に室内の温度が下がった気がして、身震いして御手洗いに立っちゃったことも。
・・・だから、その時の顛末は、実は私も知りません・・彩姉はその時、部屋にいたはずだけど・・・
「・・・ねぇ、さいちゃん」
「・・何、彩ねえ?」
「・・・・・・気が早いかもだけど・・・第3回、どうする?」
「・・・・・・・」
私はすぐに返答できなかった。
正直、怖いです。・・んでも、怖いもの見たさみたいなものもあるんです。
- あの空間はなんていうか、「特別」な気がして -
「・・とりあえず、保留で」
「・・ん、そっか」
――――――――
こうして、「第2回焼き鳥女子会」は、無事(?)に終わりました。
第3回はあるのか?
今後、参加者が増えたりするのか??
それはまた、別のお話です。




