↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/36

第2話 担当医師

「はじめまして。瀬崎 臨也さんですね?」


「はい、瀬崎です。よろしくお願いします」


見た目40くらいくらいだろうか?男性医師に挨拶をする。


「整形外科医の緒方(おがた)と言います。よろしくお願いします。」


お互いに挨拶を終えると、緒方医師が話を始める。


「さて、診断結果拝見させてもらいました。少々確認したいことがあるので、すいませんが、眼鏡を外して顔を触診させてもらっても良いですか?」


「あ、はい。」


緒方医師は、先日の健康診断で診てもらった医師の方と同じようにまぶたの裏側、顎の輪郭、両手でこめかみを軽く触るなど、うなずきながら真剣な表情で診ていく。


「・・・ふむ、なるほど。ありがとうございます。」


緒方医師は真剣な表情のまま、再び椅子に腰かける。俺はメガネをかけ直す。


「さて、今回の健康診断で出た症状は今回が初めてですか?」


そりゃそうだろうと心の中で言いつつ、普通に返す。


「はい、初めてです」


「そうですか。では、今回の診断結果がどういった症状か、テレビなどで聞いたことはありますか?」


問診特有の言い回し。こういうのが苦手な俺は、単刀直入に聞く事とする。


「いえ・・・と言うより、「顔が悪い」ってそもそも病気なんですか?」


緒方医師がどう説明したものかと言った感じで、丁寧に返答する。


「う~ん、まだ一般に広まった症状ではないですし、医師会の一部では病気としないと言ったところもありますが、」


今なんて言った?


「・・・専門は違いますが「虫歯」みたいなものですかね。放置しておくと徐々に悪化する類の病気の一つです」


「・・えっと、それは顔の皮膚病みたいな感じですか?」


「顔が悪い」で自分が一番該当しそうな病気を言う。緒方医師は、否定するように首を振り、答える。



「いえ、皮膚病などではありません。骨格がおかしいとかでも。・・・そのままの意味です」


そのままと言われ、察しはできても理解はできない。


「・・・失礼に聞こえたら大変申し訳ありませんが、いわゆる「不細工」と言われるものに近い症状です」


 ・・・本当に失礼だな。



「えっと、すみません。不細工って、病気なんですか?」


若干の怒りを抑え、俺は質問を続ける。


「誤解を受けやすいのですが、一般的に「不細工」と呼ばれる方が全てこの病気という訳ではありません」


それはそうだろう。


「ちょっと専門的に言うと「ストレス等の精神的な要素に起因し、顔面の統一性が損なわれていく傾向となる症状」と言ったものに分類されます」


うん、わからない。


「つまり?」


緒方医師もまた、自分の中で説明をまとめるように告げる。


「顔面の内側から表面、外側に「悪化」・・・つまりは「顔が悪く」なっていく訳です。正式な病名は「内面性顔面悪性傾向化症候群」と呼ばれています」



まだ突っ込みたいところはあったが、目の前の医師は全く悪びれた様子はなく、普通に話している。

これは徒労になると感じた俺は、質問を進める。


「・・・なんとなくですが、わかりました。それでこの症状はどうすれば良くなるんですか?まさか、整形が必要とかではないですよね?」


「整形外科」の先生である緒方医師には悪いが、先んじて言わせてもらう。

一応言っておくと、俺は別に「整形」自体を否定はしていない。それで「前向きな人生を送れるようになった」と言うなら喜ばしい事だろう。

ただ自分自身は、時間とお金をかけてまで行おうとは思わないだけだ。


「確かに「整形」と言う手段も、状況によっては改善手段の一つではあります。ですが、瀬崎さんの症状に関しては、自分ではあまり感じにくいストレスなど、内面的な要素を少しずつ改善していく方向が良いと思います」


ほう、自分の専門分野を押し付けようとしない態度には好感が持てる。


「そうですね。・・・瀬崎さんの症状に合わせた「健康改善プログラム」をつくろうかと思います。1週間・・・10日ほど期間を頂いても良いですか?」


「プログラム」とやらがどんなものかはともかく、現時点で文句を言う事ではないな。


「大丈夫です。では、10日後以降にまた来ればいいですか?」


「そうして頂けると助かります。私の説明が無くてもできるプログラムをつくるつもりですが、私が担当する平日火曜、木曜の午前、金曜のどれかに予約頂けるとありがたいです。お仕事の兼ね合いもあると思いますので、なるべくですが。」


まぁ、取れなくはないだろう。


「わかりました。よろしくお願いします」


「こちらこそ。さて、本日の診察はここまでにしますが、何かご不明な点はありますか?」


「いえ、大丈夫です」


「それでは、お荷物を忘れずにお帰りになってください。お疲れ様でした」


「ありがとうございます。失礼します」


緒方医師に見送られ、診察室を出る。


診察にそれほど時間はかからなかったので、まだ診察待ちの患者さんの多い待合所を抜けて会計に向かう。


初診の会計でいくら取られるか若干不安だったが、問診だけだったためかほとんど取られなかった。


「改善プログラム」がどういったものかはわからないのは不安だが、現時点で金額的、休み的な不安はそんなに無いのは良い事だ。


一つ問題があるとすれば、


「・・・課長とかに聞かれたら、どう答えようかなぁ・・・」


ため息を軽くつき、俺は病院を後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。